(斎田修)山崎。
(山崎善行)あっ署長。
今日退職だったか。
色々とお世話になりました。
長い間ご苦労さま。
ありがとうございます。
では…。
(山崎芳江)42年間ほんとにご苦労さまでした。
はいありがとう!はい!これ。
え?悟と私から。
ああそう。
なんだろう?おぉ!いや…こりゃあいいなあ!だからって飲み過ぎないでくださいよ。
そうだな。
悟一杯どうだ?
(山崎悟)俺はいいわ。
レポートあるから。
ごちそうさま。
悟〜。
いいいい!足元気をつけろよ。
はい。
(カメラのシャッター音)傷をしっかりおさえろ。
ここ。
(宮下晴彦)え?元警察官?
(田代)ええ。
10日ほど前に退職した山崎巡査長です。
部署は?警務課留置管理係です。
(多中)看守の…山崎さんですか?
(田代)親子二代の警察官だと聞いてます。
昔から病弱でこの20年近くは昇任試験も受けず異動願いも出さずに地味な署内勤務に当たっていたようです。
署長!山崎が殺されたと聞いたが…確かか?間違いありません。
あっこちらは本庁一課の宮下警部補です。
斎田署長です。
どうも宮下です。
署長自ら現場入りとはどうも恐れ入ります。
彼とは昔から縁があってね…。
ほう。
大切な私の部下だ。
(加賀見亨)ご苦労さん。
加賀見課長。
(曽根武雄)ガイ者はここの署で看守をしていた…。
ああわかってる。
続けてくれ。
(堂本治)遺体にはかなり争った痕跡が残っています。
死因は頭部打撲による外傷性の脳内出血。
死亡推定時刻は昨夜9時から11時の間です。
すでに地取りは動いていますが今のところ目撃者などは浮かんでいません。
遺留品はどうだ?おい糸村!
(糸村聡)はい!まず気になるのはこの就職情報誌でしょうか。
就職情報誌?ガイ者のカバンに入っていました。
いくつかの会社に印が付けてあります。
こことかあとは…こことか。
それがどうした!?ガイ者は退職したばっかりだ。
新しい仕事を探してたんなら情報誌があってもおかしくないだろう。
警察官なら再就職先には困らないはずです。
どうですか?署長さん。
山崎は再就職を断ったと聞いている。
気になりますねえ…!
(曽根)退職してから気が変わったのかもしれん。
他には!?あとはこのグローブです。
現場近くに落ちていました。
もしかしたら犯人のものかもしれません。
これもDNA鑑定に回します。
いやそれなら鑑定の前に…。
加賀見課長本庁の鑑識から警察犬の導入をしてもらえませんか?警察犬?はい。
いいですねえ!犬の嗅覚は人間の8000倍ありますからこのグローブから犯人の足取りがたどれるかもしれませんね富樫さん。
(富樫謙三)それが犯人のものだと仮定しての話だ。
無駄骨になる可能性もある。
我々の仲間だった男が殺されたんだ。
(斎田)無駄骨を恐れてどうする!?よし!警察犬を導入しよう。
お待たせしました。
ご苦労さん。
富樫さんお願いします。
うん!さて…うまくいくといいですね。
出来るさあ。
うまくいけるな?なあ!頼んだぞ。
日本の警察犬は優秀だからな。
よし!署長さんも犬飼ってらっしゃるんですか?ああ昔からね。
(織田みゆき)お気持ちお察しします。
ご遺体は署のほうで預かってます。
司法解剖が終わり次第ご連絡差し上げますので。
はい…。
山崎さんは昨日どちらかにお出掛けになられたんですか?はい…。
ここのところ外に出る事が多くて。
どちらにお出掛けになってたかは…。
主人はあまり口に出して言うほうではありませんので。
ただ2日前は…招願寺に行くって言って…出掛けました。
どなたかお知り合いと?
(芳江)ああそこまでは…。
定年退職したばかりなのでもう好きなようにって…そう思って…。
それがこんな事に…!
(泣き声)
(悟)母さん…ねっ?行こう。
大丈夫?あの…もういいですか?まさか就職口を探してらしたって事はないですよねえ?糸村さん…!あっいや…。
どういう事ですか?ちょっとすいません…。
失礼しまーす。
山崎さんがこんな就職情報誌を持ってらしたものですから…。
申し訳ないけどわかりません。
父は仕事の事もあまり話さない人でしたから。
ああ…。
あっ親子二代だそうですねえ。
あなたも目指されるんですか?え?ですから…山崎さんとあなたのおじいさんと親子二代で警察官だったと伺ったものですから。
はあ…らしいですね。
らしいって…?母は僕が幼い頃に父と再婚したんです。
つまり僕は連れ子ですから。
(悟)あまりそういった事には興味がなくて。
それに警察官って割に合わないじゃないですか。
親子二代なんて言いながらこんな目に遭ってしまって。
いつも仕事仕事で不規則な勤務をし続ける。
それは父の勝手ですけど。
文句一つも言わずに支えてきた母がようやく楽になれるって時にこれじゃあかわいそうすぎます。
気持ちはわかるがそれじゃあ親父さんの立つ瀬がないだろう。
田代さん…!同じ警察官だからかばう気持ちはわかりますけど結局は使い捨ても同然ですよ。
父の仕事なんて。
(曽根)お前一課に来る前にここの所轄でガイ者と面識があったそうだなあ。
(多中)はい。
刑事養成講習を受けている時に3か月ほど一緒に勤務してました。
どんな男だった?仕事熱心な人でした。
留置されてる被疑者に対しても誠心誠意…っていうか正直そこまで面倒見なくても…と思った事があります。
つまりおせっかいという事か。
おせっかいっていうか…ウザイっていうか…。
周りから浮いていたって事か?正直そんな感じもしました。
ああ…わかった。
もう戻っていいや。
(多中)失礼します。
(曽根)署長!どうですか?警察犬のほうは。
まあある程度までは追えるだろう。
それより加賀見課長。
山崎が署内勤務に当たる前の刑事だった頃の事を少し調べたほうがいいかもしれませんねえ。
刑事課にいたんですか!?短い間だったがね。
もう20年近く前になる。
刑事なんてものはどこで恨みを持たれてるかわからんからねえ。
(携帯電話の振動音)あっ…。
ああ俺だ。
部下だった男を殺されたんで必死ですな署長も。
ですがガイ者の事ご存じだったんですか?課長は。
うん…。
新宿中央署で刑事課長をしていた頃のほんの一時だ。
(加賀見)あの斎田も山崎も俺の部下だったんだ。
そうでしたか…。
しかし20年近く前の事で今さら殺されるとは…。
そうだなあ。
(佐々木)へえ〜あの山崎さんがねえ。
そうですか。
お前何度か世話になってるそうじゃないか。
ちょっと…勘弁してくださいよ。
今真面目にやってんですから。
そうじゃなくて。
お前が知ってる山崎さんの事を話してくれたらいいんだ。
まあ…面倒見はいいんですけどねえ。
正直あんまりかかわりたくないっていうか…。
ほらあの人度を超したおせっかいだからさうるさいんだよねえ。
この間も電話があって真面目にやってるかとかなんとか。
もう関係ねえっつんだ。
電話があったのか…。
他になんか言ってなかったかい?え?別に。
ああ…以前面倒見た若い奴がまたフラフラ遊び歩いてるって気にしてるみたいで。
嫌われてるのも知らないでいい気なもんだなと思いましたけど。
なるほどな…。
その若いのが誰かは…?知りませんよ!興味もないし。
うん…。
ああ…。
ああ!来た来た!来ましたかこの人。
ああ。
仕事の内容とか勤務時間とかどんな会社と契約してるのかとかしつこく聞いてくるんだよ。
なんなんだよあんた…。
前にどこで働いてたんだ?ここに「経験不問」とありますが。
仕事探してるわりには態度がでかいから聞いたんだよ。
ちょっとー態度がでかいと雇ってもらえないんですか?ケンカ売ってんのか?あんた。
冷やかしなら帰ってくれ。
あのねえ社長のあなたがそういう事じゃ社員はいつかないんじゃないだろうか?どうですか?いいから帰れよ!一体何しに来たんでしょうねえ?この人…。
あんたもケンカ売ってんのか?いえそんなつもりは全然…。
邪魔だよ!これ。
あっどうぞお構いなく。
「年齢不問経験不問…」みんな同じなんだよなあ。
邪魔だってば!あっどうも。
ありがとうございました。
よいしょっと。
土下座ですか?ああ…。
この方がねえ40代のきれいな女性と若い娘さんの2人連れに頭下げとった。
ほんとに申し訳ありませんでした。
自分はあれ以来二度と同じ失敗をすまい繰り返すまいと生きてきたつもりです。
どんな女性だったか覚えてますか?あーっと…。
あっそうそう!あんたら絵はうまいほうかね?
(2人)え?
(横山恵一)ちょいちょいちょいちょい…。
なんで俺が似顔絵描かなきゃいけないの?漫画家志望だったんでしょう?いつの話だよ…中学の時だよ?歩いて。
うん!そう…そうこれです。
(横山)ありがとうございます。
女に土下座かよ。
理由はわかったのか?いえそこまでは。
似顔絵が出来次第ガイ者の周りを当たってみます。
(横山)あれ?何?いや…なんでもない。
あっ山守から電話です。
おう。
はい曽根。
(山守)ここでにおいが途切れてるようなんです。
多分犯人は車でここから逃走したものと思われますが…。
だったらその周囲を徹底的に聞き込め!それとタクシー会社を当たるんだ。
犬?犬はもういいよ。
(斎田)ああちょっと!ちょっと待ってくれ。
ああ署長の斎田だ。
もう一度現場から徹底的ににおいを嗅がせてみてくれないか?ああ日本の警察犬は優秀だ。
ああ頼む!ああすまん。
もう少しやらせてみてくれないか?はあ…。
先に行ってくれ。
江藤奈津子さん…でしたね?
(江藤奈津子)覚えていてくれて光栄です。
ここにいらっしゃると聞いたものですから。
2日前高見杏子さんの命日でした。
そこで山崎さんに偶然会ったんです。
山崎さんは私を覚えていました。
警察を退職して初めて杏子さんに手を合わせたくなったという事でした。
そして山崎さんは私に18年前銀のスプーンは確かに遺留品として押収したが紛失したのは管理していた自分のせいだと頭を下げてくれたんです。
あったんですよね!?銀のスプーンは。
それがなくなった。
そういう事ですね。
山崎が何を言ったかは知らないがあの現場に銀のスプーンはなかった。
あなたの見間違いですよ。
失礼。
お疲れさまです。
お疲れさまです。
あれ?あの女性似顔絵の…!私追います。
俺課長に…。
お願いします。
(携帯電話の振動音)はいもしもし?ちょっとちょっと…横山君何興奮してんの?だから殺された山崎っていう人を土下座させた女ってのがいてその女が江藤さんそっくりなんですよ!日本音響研究所の江藤奈津子さん!ん?どういう事?知りませんよ!それより一体どこにいるんですか?「今は会社訪問中なんだ」転職…?ラッキー。
先ほどの女性は?気づいたか。
まさか…?18年前の弁護士殺害事件の遺族だった江藤奈津子だ。
やはりあの時の…。
あれ?織田君!織田君!織田君っ!ごめん!ちょっと席外してもらえる?
(2人)はい。
あっいつぞやは…。
18年前私の兄で弁護士をしていた江藤隆義がナイフで刺されて殺されました。
その時の第一発見者が私だった。
お兄ちゃん?お兄ちゃん。
ハッ…!あっ…!犯人としてまず疑われたのが兄の恋人だった高見杏子さん。
この人。
(奈津子)当時杏子さんは兄の子供をうんだばかりだった。
でもそれ以前から赤ん坊をうむうまないで2人の間で口論が絶えなかった事を知った警察は…。
(斎田)重要参考人としてご同行願います。
(高見杏子)どういう事ですか?私関係ありません!詳しくは署で伺いますので。
どうぞ。
あっ…。
(赤ん坊の泣き声)ごめんね…。
ごめんね。
私じゃありません。
どうして私があの人を殺すんですか?赤ちゃんの父親なのになんで私が…。
私じゃない!!だがねえ指紋こそ付いてなかったがナイフには江藤さんと同じ血液が付着していた。
どういう事だね?違う…違います!凶器が彼女の住んでいたアパートの庭から発見された事で杏子さんは結局逮捕された。
でもその翌日彼女は留置場で首を吊って自殺した。
自殺?彼女は自分の置かれた状況に絶望したんだと思う。
でもそれは…。
そうね。
私の思い込みと言われたら仕方がない事。
でも…銀のスプーンは確かにあった。
銀のスプーン?
(奈津子の声)それが現場に落ちていたの。
私は確かに見た。
でも事件が終わって兄の遺留品を返してもらった時に銀のスプーンはなかった。
返してほしいって警察に言ったけど見間違いだって言われた。
意識が混濁して見てないものを見たんだって。
でも…。
(山崎)ほんとに申し訳ありませんでした。
自分はあれ以来二度と同じ失敗をすまい繰り返すまいと生きてきたつもりです。
許してください…!!山崎が彼女に認めたんですか?銀のスプーンが紛失した事を。
ああ。
なんて事を…。
(奈津子)私は騒ぎを大きくしたいわけじゃない。
ただ真実が知りたいだけ。
真実?兄の買った銀のスプーンがどうして紛失したのか?その理由を知りたいだけ。
わかります。
いつかどこかで声が上がるはずです。
銀のスプーンから。
(江藤美佐)ただいま。
おかえり。
娘です。
警察の方。
(美佐)警察?お母さんには仕事で大変お世話になってます。
あっ申し遅れました。
糸村と申します。
それでこちらは…。
織田です。
織田みゆきです。
江藤美佐です。
キンカ堂のロールケーキ買ってきた。
ほんと。
中で待ってて。
うん。
じゃあ失礼します。
かわいい娘さんですね。
しかし江藤さんにあんな大きなお子さんがいるなんて知りませんでした。
まさかあの子…。
ここで失礼します。
(鳴き声)
(男性)うん。
この間も来てたよ。
(田代)山崎さんを見たのか?うん。
名前はよくわかんないんだけどよく見る奴と揉めてたよ。
そこの便所の前で。
いつものあいつだろ?あの…。
ウゼェおっさんでしょ?あの。
アハハ!あいつなぁほんとおせっかいなんだよな。
ストーカーかっつうんだよな。
そのよく見る奴っていうのはいくつぐらいなんだ?ねえマジほんとウザイ…。
すいません。
それっていつの事ですか?あっ!
(田代)山崎さんだ。
確かこいつ…。
ご存じなんですか?若い人…。
そう。
大田とかいってたかな。
昔やんちゃしたらしいんだけどいい子だからっていうんでね。
その子の就職先を探していたんですか?うちもちょうど人手不足だから採用したんだけど…。
えっ?あの今日どちらにいらっしゃいます?いやいやいや自分で寿司屋に就職決めたって。
あっ…こちらにじゃあいないんですね。
なんで申し訳ないってまたわざわざ訪ねて謝りに来てね。
律儀な人だよねこの人。
その寿司屋ってどこだかおわかりになりますか?あれっ?織田君!糸村さん!またあんたか。
ご苦労さまです。
何やってるんですか?うんちょっとねお寿司屋さんに。
お寿司屋さん?うん。
すいません。
大田君ですか?
(大田進)はあ?大田お前山崎巡査長と1週間ぐらい前に会ってるだろ。
ああ。
そこで何があったんだ?いや何がって…。
山崎さん殺されたぞ。
えっ?言ってみろ。
確かに会いましたよ山崎さんに。
こっぴどく叱られたんです。
せっかく執行猶予になったのに仕事もせずフラフラしてどうする。
俺が仕事探してやるからしっかりしろって。
けどそう簡単に仕事なんか見つからないじゃないですか。
あの…そこ店先なんでどうぞ中へ。
大将…。
いいから。
よいしょ…。
こいつ居酒屋で酔っ払って愚痴ってたんですよ。
たまたま隣の席にいたもんですから言ってやったんです。
俺んとこならいいぞってね。
ただし修業はつらいからなって。
なあ。
冗談かと思ったら大将本気で言ってくれて。
だから…だからっていうかここで世話になったんです。
その事を山崎さんは?知ってますよ。
仕事決まったって連絡したら山崎さんここに来てくれて。
昨日の事です。
いいか?お前はすぐにカッとなる。
我慢しろよ。
頑張れ!負けるな!いいな?相変わらずだなあんたは。
コラ!あんたとはなんだあんたとは。
(大田)いいんすよ。
ハハハハ…。
(大田)すごく喜んでくれて…。
あんなに親身になって俺の事心配してくれた大人に初めて会いましたよ俺。
(大田)けど殺されたなんて全然知らなくて…。
頑張って仕事を続ける事だと思う。
えっ…。
(田代)そうだな。
それが山崎さんが一番喜ぶ事だと思うよ。
どうもありがとうございました。
山守さん。
おう。
どうしたんですか?午前中は表通りのほうまでにおいを伝っていたんだが今度は現場からこっちのほうへと方向転換してな。
ここから動かねえんだよ。
富樫さんすいません。
グローブちょっといいですか?ん?ああ。
失礼します。
ほら。
おいで。
はいはい。
(鳴き声)ありがとうございました。
ここなんじゃないでしょうか。
何っ?つまり犯人はここから出掛けてで殺人を犯し表通りに向かったって事なんじゃないでしょうか?じゃあここに?
(パトカーのサイレン)どうした?昨夜から留守にしていた2階の住居で盗難に入られたとの通報がありまして。
盗難?お疲れさまです。
お疲れさまです。
えー犯人の遺留品であるこのグローブなんですが警察犬の次は科捜研の出番となりました。
DNA鑑定よろしくお願いします。
(村木繁)警察犬の次ってなんですか?次って。
もっと他に言い方あるでしょ!それにねあなたのその笑顔あまり好きではありません。
またまた〜。
またまたじゃないですよ!どうせ超特急でとかなんとか言うんでしょ?当たりです!さすが!よろしくお願いします!嫌い!ガイ者は寿司屋を出た直後隣の住居で盗みを終えた犯人を目撃。
恐らくその男のあとをつけ河川敷で捕まえようとして殺されたものと推測される。
(曽根)おう。
ここ最近管内一帯で住居を狙った窃盗が増えています。
恐らく同一犯の可能性があります。
(曽根)なるほど。
おう。
現場から不審な指紋は出ていません。
(曽根)表通りから犯人は車に乗って逃走している。
明日からはタクシー会社を徹底的に当たると同時に同じ手口の窃盗犯の割り出しに全力を注ぐ。
以上だ。
解散!
(一同)はい!
(曽根)みんな労を惜しむな!
(一同)はい!お手柄だったな。
警察犬。
おい。
あっ…。
お疲れになったんじゃありませんか?ああいやいやそんな事はない。
さてあと一息ですな。
なんだ?課長にお話があります。
江藤奈津子さんから全て聞きました。
18年前遺留品は紛失していた。
その事を課長は隠した。
そうですね?遺留品を紛失した事認めたほうがいいと思います。
嘘をつくのはいけない事です。
…って誰かが言ってました。
お前はお前の仕事をすればいい。
その他の事に口を挟む事は許さん。
(宮下)安川真一だな。
(刑事)おい!
(宮下)捕まえろバカ!
(宮下)何してんだオラァ!
(宮下)安川!確保しろ!
(安川真一)離せコラ!離せよ!
(安川)ぐっ!ああ…!11時3分確保!このグローブに見覚えがあるだろ?前科があるお前のDNAの型とぴったり一致したよ。
あとは質屋にアタリをつけてマークしてたら連絡が入ったってわけだ。
お前ガイ者に盗みを見られたんだな。
はい…。
(安川)離せ!うう…。
(安川)離せよ!
(安川)オラァ!離せ!わざわざありがとうございました。
母にはあとで伝えておきます。
よろしくお願いします。
失礼します。
糸村さん。
やあ。
悟さん。
あなたのお父さんの事で少しお話があるんです。
僕にはありません。
帰ってください。
3分でいいんです。
なんなんですか一体。
結局父は最後まで警察官でいたとでも言いたいんですか?当たりです。
だからなんだっていうんですか?すごい事だと思いませんか?山崎さんは最後まで仕事を全うしたんです。
理屈ではわかっていてもなかなか出来る事じゃない。
山崎さんはそうやって生きていこうと18年前に誓ったんです。
18年前?当時証拠品係の刑事だった山崎さんはある事件の遺留品を紛失してしまいました。
あってはならない事です。
最近偶然ご遺族に会われた山崎さんは土下座までしてこう言ったそうです。
警察官の誇りを取り戻すために定年になるまで一警官として勤めてまいりました。
これからもそうするつもりです。
許してください…!!18年前刑事だった山崎さんが署内勤務の道を選んだのはそのせいだったんじゃないでしょうか?異動願も出さず昇進試験も受けずただただ警察署の一角で裏方として生きていく事を選んだんです。
山崎さんが看守をしている時に留置場で知り合った青年はこう言ってました。
あんないい人いないって。
自分はあんな大人に初めて会ったって。
その青年の勤め先が決まった時山崎さんまるで自分の事のように喜んでいたそうです。
そしてその帰り道に窃盗犯に出会ってしまった…。
定年退職をした後でも警察官としての誇りを胸に最後まで人生を全うしようとしたんです。
あなたは息子としてお父さんの事を誇りに思ってもいいと思いますよ。
息子って…。
僕連れ子ですよ?山崎さんはそんなふうに思っていませんでした。
えっ?今お話しした青年寿司屋に勤める事になったんですね。
その寿司屋で山崎さんこんなふうに話してたそうです。
俺の息子さあ寿司が好きなんだ。
だから早く握れるようになってくれよ。
ああ。
そしたら息子を連れて食べに来る。
息子が好きなのはエビとイカだ。
覚えとけよ。
(大田)わかったよ。
その時は一緒に酒を飲む。
俺の夢だからなそれが。
いいか?忘れるな。
(大田)はいはい。
父さんがそんな事を?そして山崎さんは寿司屋にこのぐい飲みを置いていきました。
これは退職祝いにあなたとお母さんがプレゼントしたもの。
そしてこれは山崎さんがあなたのために買ったものです。
大将。
これ預かっといてくれ。
はい。
息子と一緒に酒を飲む。
山崎さんはあなたのお父さんなんです。
父親なんて昔からあんまり語ったりしないものです。
僕は…。
父のような生き方が好きじゃなかった。
いつも同じ事の繰り返しの毎日を送る父を僕はいつの間にか疎んじるようになってました。
父さん…。
僕もっと父さんと話さなきゃいけなかったね。
もっと…。
もっと…。
けど…僕がエビとイカが好きだったのは小学生の頃だよ…。
今は…。
(携帯電話の振動音)はい。
(奈津子)「日本音響研究所の江藤です」ああ…何か?玉川南署の斎田署長さんってどんな方かご存じ?「斎田署長?よくは知りませんが部下思いでああ犬が大好きな人みたいです」「もしもし?江藤さん?」えっ?ひとつ聞いてもいいですか?今ここに18年前の資料があるんですがここにあなたが聞き慣れない音を聞いたと証言しているんですが…。
(奈津子)ええ。
あの時事務所に入ってすぐ犯人に後頭部を殴られて意識が混濁し始めた時耳障りな不快な断続音が聞こえたの。
多分犯人が走った音だと思う。
でも私以外その音を聞いた人は近所にいなかった。
誰に尋ねても聞こえなかったって言われたの。
もしかしてあなたが音響研究所をやっているのは現場で聞いた不快な断続音の正体を知るためじゃ…。
おやすみなさい。
糸村さん。
犬…。
うわーっ!
(パトカーのサイレン)
(携帯電話の振動音)はい糸村です。
えっ…?2015/07/06(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
遺留捜査[再][字]
「遺留品、紛失!!」
詳細情報
◇番組内容
警視庁捜査一課・科学捜査係を舞台に、遺留品から真実に迫る新たな刑事ドラマ誕生!主演・上川隆也演じる刑事・糸村が明らかにする被害者たちの伝えられなかった想いとは?
◇出演者
上川隆也、貫地谷しほり、佐野史郎 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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