ハートネットTV ブレイクスルー33「難病ALSと闘う広告プランナー・ヒロ」 2015.07.06


この日一人のALS患者の願いが込められたCMが流れました
このCMを企画したのはヒロさんこと藤田正裕さん35歳。
現役のプランニングディレクターです。
5年前全身の筋肉が動かなくなる難病ALSと診断。
原因不明治療法がない病と闘ってきました。
そして今仲間たちと共に患者のための新しい制度を設立しようと呼びかけています
そのヒントはアメリカにあります
末期患者に限り未承認の薬や治療法を試す制度です
ALSを知ってもらいみんなの知恵で患者に希望を。
ヒロさんの闘いです
東京都内の撮影スタジオ。
この日ヒロさんが企画したCMの制作が行われました。
ヒロさん入られますのでスタンバイよろしくお願いします。
集まったのは50人ものスタッフ。
CM監督会社の同僚ライバル会社の広告マン。
皆手弁当で参加しました。
1年前は笑顔が印象的だったヒロさん。
しかし現在顔の筋肉まで自由を奪われ僅かに目を動かす事しかできません。
もしこのまま進行したら…。
ヒロさんが最も恐れている事があります。
まぶたも動かせず音だけが聞こえる世界。
TLS完全な閉じ込め状態と呼ばれ意思を伝える事読み取ってもらう事が非常に困難になる状態です。
残された時間で自分にできる事は何か。
ヒロさんは広告プランナーとしてCMでメッセージを発信する決意をしました。
制作費はインターネット上で寄付を募りました。
ALS患者や家族を中心におよそ300人から応援の声と募金が寄せられました。
「兄が現在ALSと闘っています。
この病と闘っておられる方々全ての勝利を心から願います」。
ヒロさんの声となりメッセージを伝えるのは歌手のAIさん。
人がすごい!人が。
こんにちは。
よろしくお願いします。
10年来の友人です。
もうね今だって「酔っ払いだったね」っていうの書いてるんですけど。
おいおい!ふざけんなよっていう。
よ〜いスタート。
ヒロさんが訴えたい事。
コンパッショネートユースと呼ばれる海外の医療制度を日本にも作りたい。
人道的な見地からほかに手だてがない患者が未承認の薬や治療法を試す制度です。
日本には安全性の問題などからまだ導入されていません。
ヒロさんはこの制度は日本の患者にとっても希望になると考えました。
カット!カットです。
お疲れさまでした。
ありがとうございました。
(拍手)撮影終了後ヒロさんがAIさんに話しかけます。
スタジオにはVTRに登場したヒロさんこと藤田正裕さんにお越し頂きました。
よろしくお願いします。
(安藤)よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」。
そして安藤さんお久しぶりですね。
ご無沙汰しております。
今日復帰1発目ヒロさんですけどヒロさんとは最初の「ブレイクスルー」もヒロさんだったので何かすごくご縁があるのかなと感じてます。
「桃さんがいなくて風間さんが寂しそうでしたよ。
またこれからもよろしくお願いします」。
風間さん寂しかったですか?寂しかったですよ。
そしてヒロさんCMが完成して放送されて反応や感触っていうのはいかがでしたか?「日本中世界中からの応援に胸が痛むほど感謝の気持ちでいっぱいです」。
「さまざまな業界から弊社の競合会社まで毎週ボランティアで集まって頂いています。
人生で一番の勉強を今になってさせて頂いています」。
(2人)う〜ん。
本当にヒロさんから訴える事で難病患者の方だけではなく更にマイノリティーと呼ばれる人であったり何かやっぱり抱えている人たち全ての人たちにいろんな希望と兆しが見えてくるきっかけになるんじゃないかなと感じます。
僅か半年で1億1,500万ドルおよそ138億円を集めたチャリティーです。
その巨額な寄付金の行き先は?アメリカALS協会。
全米のALS患者の半数に上る1万5,000人が会員です。
個人や企業からの寄付で運営。
経営やPRなどさまざまな専門知識を持つ職員が働いています。
患者の声を受けて協会が整備を進めているのがALS患者専門の医療体制です。
多職種連携医療とは異なる分野の専門家が集まり一度に患者を診る仕組みです。
ALSは全身に症状が及ぶため連携して治療に当たります。
また移動が困難な患者にとって全てが一度で済む事は大きな助けになります。
この医療が受けられる病院は現在全米に100か所以上。
更に数を増やす予定です。
更にALS協会が積極的に支援しているのが最新の治療研究です。
どの研究に集中的に資金提供するかは専門医で構成する検討委員会が判断。
世界8か国で100以上の研究プロジェクトに8億円を提供しています。
ALS協会が研究資金を提供しているバイオテクノロジー企業です。
本社はイスラエルにあります。
この企業が開発した治療法。
患者の脊髄にある幹細胞を取り出し独自の技術で神経細胞に変化させて患者の体内に戻す仕組みです。
イスラエルではこれまで26人が治験を受け呼吸機能の改善などが見られたといいます。
中には車椅子の状態から一時的に歩けるまで回復したケースもありました。
この治療法は現在アメリカで効き目を確かめる第2段階の治験に進んでいます。
有効性が認められれば最終段階に進む可能性があります。
原因不明治療法なしといわれてきたALSの研究はどこまで来ているのか。
コロンビア大学にあるALSセンターの所長三本博さんです。
ALS研究の世界的な権威です。
アメリカでは寄付で資金を募り治療法の開発と患者を支える医療体制の整備を進めALSの撲滅に挑んでいます。
ここからは取材に当たった宮脇ディレクターに聞いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
残念ながら今まだALSを完治させる治療法っていうのは世の中にはないと。
アメリカは新しい治療法や薬の開発に力を入れているだけではなくてクオリティーオブライフといわれる生活の質を上げるためのケアにも力を入れています。
それは闘病生活というのはやはりつらくて長い苦しいものですからそれを少しでも和らげたいというねらいがあって力を入れているんです。
ヒロさん。
ALSの当事者として生きていくために必要なものっていうのはどのようなものなんでしょうか。
完治するためのお薬の開発もそうですけどもそれと同時に今ヒロさんもおっしゃっていたように個人個人が生きる気力っていうのをなくしたらどんな病気も治らないと思うんですね。
やっぱり生きたい。
明日にまだ向かっていきたい。
それを諦めた瞬間にやっぱり体は病に侵されていく方向に向かっていくような気もするのですごく繊細なケアというかそれを大事にしないといけなのかなと思いましたね。
コンパッショネートユースでALSの未承認薬を試した人がいます。
ハローエリック。
IT企業のシステムエンジニアとして活躍し幸せな人生を送っていたエリックさん。
ALSと診断されたのは35歳の時でした。
病気が進行しエリックさんは会社を退職。
妻とも介護の問題から離婚しました。
現在人工呼吸器を装着し首から下は全く動かす事ができません。
このまま死を待つしかないのか。
エリックさんは大学の通信課程でALSを学び研究論文を読み込みました。
そして見つけたのがある治験中の薬でした。
神経細胞にさまざまな刺激を与え病気の進行を抑える可能性があるといいます。
この薬をコンパッショネートユースで試したいと考えたエリックさん。
しかし母のジョーンさんは反対しました。
エリックさんは製薬メーカーと交渉。
特別に許可を得ました。
去年7月から治験を開始。
するとある変化が起きました。
飲み込む力が僅かに回復。
口から水分をとれるようになったのです。
エリックさんが試した薬はほかの患者にも効き目があるか適切な処方や副作用などまだ確認されていません。
しかしエリックさんは生きる希望を取り戻しました。
すごくズシンと来る言葉ですけれども。
宮脇さん。
日本ではコンパッショネートユースというのはできないんですか?実は日本でも厚生労働省がこのコンパッショネートユースを今年度中にスタートさせたいと調整を進めています。
しかし製薬企業や患者団体の中にはこれを慎重に進めるべきだという声もあるんです。
その慎重を唱えている人たちというのはどのような事を危惧してるんでしょうか。
それはこのコンパッショネートユースを利用して重い副作用が出た場合正規の薬の承認が後れてしまう可能性があると。
そうなるとその薬を待ち望んでいるほかの患者さんの手元に届く事も遅くなってしまう可能性があるんですね。
また重い副作用が出た患者さんに対してコンパッショネートユースっていうのは国の制度ですから個人だけの責任だというふうにしていいのかというような話もあります。
そういう事も含めて決めなければならない事というのはまだまだあるんですね。
それぞれの意見というものを本当に届けるメッセンジャーとしてこういう場であるとかいろんな所でまたみんなの助け合いというかそういう事がなされていけばいいなと思いますね。
あとこの制度を切望している人たちっていうのはALS患者だけじゃなくてほかの難病患者もたくさんいると思うんですね。
しかし僕はこの制度の名前を今回まで知らなかったので今放送を見ていて初めて知る方もたくさんいると思うんですね。
この制度を話し合ってるという事自体を広く知ってもらう必要があると何か強く思いました。
「そうですね」。
世界ALSデーに向けCMの完成披露会が開かれました。
集まったのはインターネットで寄付してくれた人たち。
その数100人。
ALS患者の姿もありました。
「希望は見えてる。
ALSは治せる病気だって証明したいです」。
(拍手)あ〜ありがとうございます!すいません。
持って帰りますね。
ありがとうございます。
2015/07/06(月) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー33「難病ALSと闘う広告プランナー・ヒロ」[字][再]

6月21日は世界ALSデー。ALSの広告プランナー・藤田正裕さんが企画したメッセージCM制作の現場に密着。また、アメリカでの寄付金による難病撲滅の仕組みを探る。

詳細情報
番組内容
6月21日は世界ALSデー。ハートネットTVでは6月をALSの認知・理解を深めるキャンペーン月間に設定。これまで密着してきたALSの広告プランナー・藤田正裕さん(35)が企画し、シンガーのAIさんが友情出演して制作されたメッセージCMの現場に密着する。また、アメリカ取材を敢行しアイスバケツチャレンジで集まった巨額の寄付金を、どう患者の支援と治療法の研究開発に生かしているのか、難病撲滅の仕組みを探る
出演者
【出演】藤田正裕,【司会】風間俊介,安藤桃子,【語り】Chiko

ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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