宇宙は空っぽの空間が果てしなく広がっているわけではありません。
太陽系には多くの小惑星が存在します。
45億年前太陽系誕生の時に惑星になれずに残ったものでしばしば衝突を繰り返しています。
私たちの地球に隕石となって落ちてくるものもあります。
2013年2月ロシアの上空で隕石が爆発し大きな被害が出ました。
(ケーベール)隕石の地球への衝突は単なる理論上の問題ではないし何百万年に一度の珍しい出来事でもありません。
今現実に起きている事なんです。
隕石は地球上の生物にとって大きな脅威です。
(ハリス)人類を何千年も先まで存続させたいなら対処しなくてはいけない問題です。
6,500万年前現在のメキシコに落ちた巨大な隕石は1億6,000万年以上にわたって栄えた恐竜たちを絶滅に追いやりました。
(モリソン)恐竜には望遠鏡も宇宙探査の技術もありませんでした。
人類がむざむざ同じ目に遭うわけにはいきません。
宇宙から襲い来る隕石の脅威に備え天文学者たちが日夜警戒を続けています。
ロシアに隕石が落ちた日もう一つ別の小惑星が地球のすぐそばをかすめていきました。
地球は常に隕石の脅威にさらされているのです。
アメリカ南西部アリゾナ州の荒野。
世界的に珍しい壮大な風景が広がり観光地として人気があります。
ここには有名な隕石の衝突跡が残されています。
ウィーン大学のクリスティアン・ケーベールは隕石の衝突を専門に研究しています。
大昔の地形が残りやすい乾燥した荒野は研究対象として格好の場所です。
およそ5万年前一つの隕石が秒速15〜20kmの速さで地球に向かってきました。
そして大気圏に突入。
隕石は地面にめり込み爆発しました。
巨大なエネルギーが放出され隕石の直径の20倍はあるクレーターが僅か数秒で出来上がりました。
半径数十km以内にいた動植物は全て死滅したと考えられます。
落下のスピードも驚異的なものでした。
これほどのスピードがあるものは地球上の物体では例がありません。
隕石そのものは衝突によってほとんど消えてなくなりあとには巨大なクレーターが残されました。
クレーターの縁には破壊された地下岩盤の巨大な破片が散乱しています。
地球の衛星である月も天体の衝突によって生み出されたと考えられています。
およそ45億年前「テイア」と呼ばれる天体が原始の地球に衝突しました。
宇宙に散らばった破片が集まり新たな天体が形づくられました。
「月」です。
およそ41億年前月に多くの小惑星が衝突しました。
衝突によって月の表面には数多くのクレーターが出来ました。
小惑星の衝突は断続的に続いています。
NASAアメリカ航空宇宙局は月を回る人工衛星を使って月の表面を観測しています。
大気も水もないためクレーターが浸食される事はありません。
クレーターの形が変わるのは新たな衝突が起きた時だけです。
原始の地球にも無数の隕石が衝突し金やプラチナイリジウムなどの金属が地球の表面にもたらされました。
しかし現在地球上で見つかっているクレーターはおよそ180にすぎません。
なぜなのでしょうか?理由は地球の表面の1/4が海で痕跡が残りづらいため。
また地上に出来たクレーターは水や風の浸食を受け長い年月の間に姿を消してしまうためです。
しかし痕跡は僅かしか残っていなくても隕石は昔も今も地球に降り注いでいます。
ロシア上空に突然火の玉が出現しました。
直径20mほどの隕石が落下したのです。
落下地点はウラル山脈の東カザフスタンとの国境近くでした。
チェリャビンスク市の近くまで来ると隕石は大気中で爆発しました。
突然の出来事に地域の住民は混乱しました。
爆発による衝撃波で何千もの建物のガラスが破壊されました。
屋根が崩壊した工場もあります。
ケガをした人は1,200人以上。
主に飛んできたガラスの破片によるものでした。
文明社会が隕石によってこれほど大きな被害を受けたのは歴史上初めての事です。
幸い隕石は地上まで到達せず上空およそ25kmの高さで爆発しました。
隕石の衝突は単なる理論上の問題ではないし何百万年に一度の珍しい出来事でもありません。
今現実に起きている事なんです。
しかも今回は小規模な例だという事を忘れてはいけません。
ロシアでの出来事から多くの事を学べます。
小惑星が飛んできた軌道は既に計算できました。
小惑星が地球の大気圏内でどんな作用を受けるかも解明できます。
大気圏内における天体の爆発でこれほど多くのデータが得られたのは初めての事です。
比較的大きい小惑星は地表に近いところまで落下し空気との摩擦で燃え上がります。
途中で燃え尽きず地表に到達すると「隕石」と呼ばれます。
95%の隕石は石で出来ています。
残りの5%のほとんどは鉄で出来たものです。
隕石は天からの贈り物として多くの人々を魅了してきました。
ウィーン自然史博物館にはおよそ200年前から数多くの隕石が展示されています。
博物館の基礎を作ったのは神聖ローマ皇帝フランツ1世です。
フランツ1世は博物学の愛好家として知られていました。
隕石の展示室は2012年に大規模な改装が行われました。
隕石の研究者であるクリスティアン・ケーベールは博物館の館長も務めています。
展示室にはおよそ1,100点の隕石があり収蔵されているものも含めれば全部で7,000点を超えます。
展示の目玉は重さ39kgの鉄の隕石です。
(ケーベール)1751年にクロアチアに落下したもので博物館の隕石収集の土台となりました。
収蔵された当時は隕石が宇宙から来るものだという事すら分かっていませんでした。
隕石が宇宙からやって来る天体である事が判明したのは19世紀前半の事です。
今日ではほとんどの場合隕石が宇宙のどこからやって来たのかを正確に突き止める事ができます。
ナクラ隕石は1911年にエジプトに落ちたもので火星からやって来ました。
火星にも頻繁に隕石が落ちています。
衝突のエネルギーが大きい時には火星の岩石の破片が宇宙に飛び出し地球までやって来る事もあります。
1808年には現在のチェコに数多くの隕石が降り注ぎ後に「スタンネルン隕石雨」と呼ばれるようになりました。
スタンネルン隕石には科学的に興味深い特徴があります。
スタンネルンはそれまでに知られていたどんな隕石とも成分が全く違っていました。
現在では火星と木星の間にある小惑星ヴェスタから来た事が分かっています。
ヴェスタは誕生して間もない時期に高い熱で溶けて再び固まった天体なので成分に大きな特徴があります。
2011年5月NASAの宇宙探査機ドーンがヴェスタに到達し1年以上かけてさまざまなデータを収集しました。
観測の結果ヴェスタの中心部には金属で出来た核がある事が分かりました。
直径500km以上ある大型の小惑星ヴェスタには他にも興味深い特徴があります。
ヴェスタの南極に当たる部分には天体の衝突によって出来たと思われる大きな盆地が2つ重なっています。
新しい方は10億年前に出来たものです。
ヴェスタは天体そのものが破壊されかねないほど強い衝突を2回も経験しました。
赤道に当たる部分に沿って走る溝も衝突の名残だと考えられています。
ヴェスタは表面は岩石内部は金属というようにいくつかの層から成り立っている事が分かりました。
地球や火星と同じような経緯をたどって形づくられたためだと考えられます。
火星と木星の間の軌道にはヴェスタの他にも数多くの小惑星が存在するため「小惑星帯」と呼ばれています。
小惑星帯では頻繁に衝突が起きていてはじき飛ばされた破片が地球にもやって来ます。
衝突すれば大きな被害が出る可能性があります。
アメリカカリフォルニア州にあるNASAジェット推進研究所。
地球に接近する天体を発見し追跡する部署があります。
地球に接近し衝突しそうな小惑星の研究は比較的新しい分野です。
1990年代半ばまでは存在しませんでした。
1998年になってようやくNASAが支援する施設で観測が行われるようになったんです。
危険な小惑星を探し発見できているのは喜ばしい事です。
警戒すべき小惑星を見つけたら観測を続け軌道を計算し100年先までの通り道を割り出します。
そして衝突の可能性がないかどうかを推測するんです。
このレーダー画像はロシアに隕石が落下したのと同じ日に地球に近づいた別の小惑星です。
直径40mの小惑星はインドネシアの上空僅か2万8,000kmを通り過ぎました。
静止衛星よりも低い高度です。
直径100mに満たない小型の小惑星は突然やって来る可能性があります。
宇宙にはそんな小惑星がたくさんありますから常に警戒を続けなくてはなりません。
ロシアでの出来事から得られた重要な教訓です。
ハワイマウイ島のハレアカラ山。
海抜3,000mの場所にある天文台で天文学者たちが地球に接近する天体を探しています。
「パンスターズ計画」という国際的なプロジェクトで従来よりもはるかに高性能な天体望遠鏡PS1が使われています。
世界最大のデジタルカメラも備えられていて一般的な一眼レフカメラのおよそ100倍の解像度で撮影する事ができます。
望遠鏡はハレアカラ山の麓にあるコントロールセンターで操作されます。
望遠鏡は非常に広い範囲を詳細に捉え天体の動きや変化をコンピューターシステムで詳しく調べる事ができます。
地球に接近する小惑星を探すため空を細かく区分けして観測します。
15分の間隔を空けて同じ部分を2回観測します。
観測によって得られた膨大なデータをハワイ大学の天文学者たちが検証します。
2つの画像を使って処理を行います。
動いている天体は1つ目が普通の状態2つ目は白黒が反転した状態で見えます。
今モニターに映っているのは1つ目の画像です。
そして2つ目は15分後に写した同じ部分の画像です。
1つの小惑星が少し移動しています。
2枚の画像を重ねて比べると通常と異なる動きをしている小惑星を見つける事ができます。
直径100m以上で脅威となりうる小惑星はおよそ5,000あるとNASAは推定していますがこれまでに観測されたものは3/3にすぎません。
視野が広く観測もデータ処理も素早くできる望遠鏡がもっと必要です。
画像を迅速に分析できれば小惑星を効率よく発見できます。
パンスターズ計画に使われる2つ目の望遠鏡は現在開発中です。
落下した隕石は地球の表面に痕跡を残してきました。
人工衛星が写した画像によって世界各地にあるクレーターを見る事ができます。
しかし全てのクレーターが隕石によって出来るわけではないので詳しい調査が必要です。
クリスティアン・ケーベールはユタ州にあるキャニオンランズ国立公園に向かっています。
どこまでも続く壮大な風景の中に特徴的なクレーターがあります。
「アップヒーヴァルドーム」と呼ばれるクレーターです。
アップヒーヴァルドームの起源については長い間議論が交わされてきました。
かつては地下にあった塩の層が水で流され上部の岩が崩落して出来たものだという説が有力でした。
しかし現在では隕石の衝突によるものである事が分かっています。
(ケーベール)非常に古いクレーターで1億5,000万年から2億年前に出来ました。
今私が立っているのが一番底の部分です。
かつては上の方に高さ1,500mから2,000mの岩がそびえていましたが長い年月の間に風雨によって浸食されました。
岩の種類によって浸食の程度が違うため今のように立体的で変化に富んだ地形が出来上がったんです。
現在クレーターの直径はおよそ5kmですが浸食された部分も含めれば元は8kmくらいあったでしょう。
逆算するとクレーターをつくった隕石は直径500m近くあったと考えられます。
アップヒーヴァルドームは世界のクレーターの中では比較的簡単に現地に行く事ができます。
2012年末までに世界中に隕石によるクレーターが183ある事が確認されています。
アフリカコンゴの東部にあるリュイジ・クレーターは1919年に初めて記録されましたが詳しい調査は行われませんでした。
ウィーン自然史科学博物館の学芸員ルードヴィック・フェリエールはリュイジ・クレーターが隕石によって出来たものかどうかを確認したいと考えました。
フェリエールは調査隊を率いてコンゴ奥地へと向かいました。
(フェリエール)現地に到達するだけでも大変でした。
草をかき分け川に沿って進み数日間探し回った末ようやく手がかりとなる岩を見つけたんです。
「シャッターコーン」と呼ばれるもので隕石が衝突した跡に見られる特徴的な岩です。
見つけた時には本当に興奮しました。
シャッターコーンが存在する以上ここで隕石の衝突があったに違いないとほぼ確信する事ができたんです。
扇形のシャッターコーンは岩盤が衝撃波を受けた時に出来るもので隕石衝突の有力な証拠となります。
更なる証拠を見つけるためクレーターの岩のサンプルを光学顕微鏡で調べました。
フェリエールは岩の中からある特徴的な鉱物を見つけようとしました。
「衝撃石英」と呼ばれる特殊な構造をした石英で隕石の衝突を示す証拠となります。
ついに見つかりました。
衝撃石英の粒です。
特徴的なしま模様は隕石衝突の衝撃波によって出来たものです。
フェリエールはリュイジ・クレーターが隕石の衝突によって出来たものである事を証明しました。
科学者は毎日およそ100tの物質が宇宙から地球に落下していると推測しています。
2012年4月22日ある小惑星が地球の大気圏に突入しました。
火の玉となって落下する隕石の様子が偶然カメラに記録されました。
大きさは1mほどだったと推測されていますが最後はバラバラに砕けアメリカカリフォルニア州の北部に降り注ぎました。
NASAの研究者を中心に落下した隕石の破片を探すチームが組まれました。
メンバーの多くはボランティアで参加した一般の人々です。
草が生い茂り専門家でも見つけにくい場所ですが人々はのんびりと宇宙からの贈り物を探し続けました。
やがて小さな破片がいくつも見つかりました。
これは間違いなく隕石だよ。
おめでとう。
落下からおよそ8か月で隕石の破片が75個見つかりました。
最大のもので205g。
これは8gです。
アメリカカリフォルニア州にあるNASAエイムズ研究センターで生命の起源を突き止める研究が行われています。
生命を形づくるのに欠かせない有機物は宇宙のどこでどうやって作り出されたのか。
さまざまな物質を混ぜ合わせて複雑な有機物を作り出そうと実験が繰り返されています。
紫外線真空極端な低温など地球外の環境に近い状態を人工的に作り出します。
スコット・サンドフォードは生命体の前身となったものは何かそれは宇宙でどのようにして形成されたのかを突き止めようとしています。
アミノ酸を含んだ隕石が見つかっています。
アミノ酸は生命体を形づくるのに欠かせないたんぱく質の構成要素です。
アデニンやグアニンなど遺伝子の構成要素も見つかっています。
生命体の基礎となる物質が隕石から数多く見つかっているんです。
生命が存在しない環境で有機物を作り出す実験は既に成功しています。
宇宙で同じ事が起きたとしても不思議はないでしょう。
隕石に含まれる有機物は地球外生命体が存在する可能性を示しているのでしょうか。
生命体の構成要素となる物質は宇宙の至る所にあります。
もともと生命が存在しない場所で有機物を作り出すのは広大な空間と長い時間が必要であまり効率が良いとは言えませんが宇宙に有機物が存在するという事実は否定できません。
地球上の生命は隕石に含まれていた有機物から発生したという説もあります。
もしその説が正しければ隕石は私たちの生みの親だと言えるでしょう。
隕石の衝突を実験室で再現し影響を調べている研究者もいます。
ドイツ南西部にある施設で大がかりな実験の準備が行われていました。
重さ700kgある砂岩の塊が衝突の標的となります。
筒の中にある鋼鉄の弾を隕石に見立て高圧のガスを使って発射します。
砂岩の塊には衝突の影響を記録する装置が付けられます。
標的に色を付けて破片を見分けやすくします。
衝突によって巨大なエネルギーが放出されるため分厚い扉で実験室を塞ぎます。
最後の調整を済ませガスの圧力を高めます。
カウントダウン開始です。
研究者たちはまず破片を集めます。
破片の大きさと散らばり方で衝突の状況が分かるからです。
衝突の一瞬を捉えるため1秒当たり5万4,000コマ撮影できる特殊なカメラが使われました。
弾が砂岩に衝突し爆発する様子が克明に捉えられています。
発射された弾のスピードは秒速4.6km。
時速1万6,000km以上になります。
隕石の衝突がリアルタイムで観察された例はありません。
研究者たちはさまざまな手段で衝突の瞬間を再現しようとしています。
ベルリン自然史博物館でも隕石の衝突を再現する研究が行われています。
コンピューターのプログラムを使って隕石の衝突を詳しくシミュレーションしています。
どんな実験やシミュレーションも本当の衝突とは比較にならないほど小さなスケールです。
それでも実験室やコンピューター上で得られる結果から実際の現象を推測するのが科学者の役目なのです。
巨大な隕石はいつか再び地球に落下する事でしょう。
今求められているのはいつ落下するのかを予測し被害を食い止める事です。
隕石の衝突から地球を守るアイデアはたくさんあります。
レーザー光線発射装置を備えた宇宙船もその一つです。
レーザー光線を使って小惑星の表面を蒸発させ反動で小惑星の軌道をずらすというものです。
「重力トラクター」と呼ばれるアイデアでは巨大で重量のある宇宙船を小惑星の近くに配置します。
すると万有引力の法則によって小惑星と宇宙船が引き合い小惑星の軌道がずれるのです。
地球に向かってくる小惑星を迎撃するというアイデアもあります。
難しい方法ですが真剣に研究が行われています。
アラン・ハリスは世界的な小惑星の研究者です。
ハリスはベルリンのドイツ宇宙航空センターで働いています。
2012年に発足したNEOシールドという国際プロジェクトの下地球に接近する小惑星の軌道をそらす方法を研究しています。
宇宙を舞台にしたビリヤードと言っていいでしょう。
ビリヤードで球をキューでつくように小惑星を宇宙船でついて地球にぶつからないよう軌道をそらすんです。
ビリヤードをやった事がある人なら物体を効率的に動かすコツも分かるはずです。
防衛策を立てるため科学者たちはまず小惑星の重要な特徴を分析します。
大きさ形組成自転などです。
光度曲線というデータを利用すると小惑星に関するさまざまな情報が得られます。
光度曲線の重要性は簡単な実験で確認できます。
スポットライトを太陽代わりにして小惑星の模型でテストをしてみます。
小惑星が回転すると表面の明るさが絶えず変化します。
この変化をグラフ化したものが光度曲線です。
光度曲線を分析する事で小惑星の形や自転周期を知る事ができます。
次にやって来る小惑星を警戒し地球に被害が及ばないよう対策を立てなくてはなりません。
あまり大きくない小惑星直径50mから200m程度のものなら対処は可能です。
その程度の大きさでももし地上に落下したら重大な被害を及ぼすでしょう。
ベルリンやパリロンドンのような大都市が破壊されるかもしれません。
ドイツのフラウンホーファー高速力学研究所でも小惑星を迎撃する研究が行われています。
小規模な発射実験が行われようとしています。
小惑星を破壊するスペースガンの試作機をテストするのです。
標的は重さ15kgの砂岩。
飛んでいる小惑星に似せて宙につり下げられます。
スペースガンが撃ち出す弾の速度は時速3万6,000km。
安全のため実験設備は厳重に封印されます。
最後の微調整を終えいよいよ発射です。
衝突は一瞬だったため重い砂岩は揺れる間もなく破壊されました。
科学者たちは映像を見て破片がどれほど飛び散ったか砂岩がどう動いたのかを検証します。
実験では弾が撃ち込まれて出来たクレーターから大量の破片が噴き出しました。
(シェーファー)破片が噴き出した反動で岩に更なる推進力が加わりました。
弾がぶつかった事で生じた推進力よりも大きかったほどです。
岩の位置は予想以上に大きく動きました。
さまざまな研究によって集められたデータは小惑星の衝突から地球を守る国際プロジェクトNEOシールドで活用されます。
現在の技術で小惑星の衝突を避けるための有力なプランは次のようなものです。
まず観測用の宇宙船を飛ばし小惑星を調査します。
そのデータに基づき小惑星にぶつける「衝突機」と呼ばれる装置を調整します。
そして衝突機を発射します。
難しいのは小惑星の動きに最も影響を与えられる位置に正確にぶつける事です。
十分な威力で衝突機を当てる事ができれば小惑星の軌道をそらす事ができます。
科学者たちはいずれ本物の小惑星を軌道からそらす実験をしたいと考えています。
隕石の衝突が大惨事をもたらす可能性がある以上有効な対策を考えていかなくてはなりません。
私にとって隕石の衝突は技術的科学的な問題でそんなに心配する必要はないと思います。
しかし人類にずっと存続してほしいと願うなら対処すべき問題です。
気付かぬうちにやって来る小惑星に衝突されたくはありません。
監視用の望遠鏡を地上と宇宙に備え接近を確実に捉えるべきです。
人々は隕石の衝突に不安を抱いています。
しかし6,500万年前に地球に衝突した隕石は恐竜の時代を終わらせ結果的に哺乳類の進化を促しました。
私たち人類が今地球上で繁栄しているのは隕石のおかげだとも言えます。
隕石の大規模な衝突はめったに起きないので今すぐに心配しなくても大丈夫です。
しかしいつか必ず起きるはずです。
隕石は頻繁に地球にやって来ます。
地上に被害をもたらす大規模な衝突も起きるかもしれません。
問題はそれがいつで人類が対処できるのかという事です。
2015/07/06(月) 00:00〜00:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「隕石(いんせき)の衝突を防げ!」[二][字][再]
地球は常に隕石の脅威にさらされている。隕石の到来を予測し、衝突を未然に防ぐことはできるのか。隕石研究の最前線を追う。
詳細情報
番組内容
2013年に1500人以上の負傷者を出したロシアの隕石(いんせき)衝突。実は同じ日、別の小惑星も地球をかすめていた。何度となく地球に衝突してきた隕石。その衝撃は恐竜を絶滅させるほど。私たち人類にも同じことが起こるかもしれない。NASAでは衝突する可能性のある天体の通り道を100年先まで予測。また地球への衝突を防ぐため天体の軌道の変更を試みる壮大な実験も始まっている。(2013年オーストリア)再放送
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:5382(0x1506)