情熱のシーラ(5)「暗躍の調べ」 2015.07.05


(カンデラリア)どうだい?シーラ。
ここならあんたの工房にちょうどいいだろ。
(シーラ)完璧だわ。
これ以上の場所はありえない。
そう?
(バスケス)あなた1人でどうやって始めたんですか?この商売を。
地道な仕事です。
恥知らずな男のせいでこの1年さんざんでした。
(パロマレス)署長。
どうしたんです?これの持ち主が見つかったようだ。
いいえ。
5着よ。
テニスウエアも頼まれたから。
(ジャミーラ)それはどうやって作るんですか?
(フェリックス)大丈夫そうですか?
(ロザリンダ)ロザリンダ・フォックスです。
突然お邪魔してごめんなさい。
実は急いで服をあつらえなければいけなくて。
だから私たちは…何て言うの?アァ…縁があったっていう事ね。
(フェリックス)誰かに過去のことを聞かれたらどうする?婚約者を振ってタンジールに行ったのに恥知らずの男に身ぐるみはがされて捨てられたって?
(バスケス)あなたは恋人にお金も宝石も全て盗まれたんですね。
何が言いたいんです?どこかへ逃げるなら当然宝石も一緒に持っていくはずだ。
まさかそんな…。
ハァ…ハッハァ…。
そんなはずない。
(泣き声)悪魔に勝つただ一つの方法は悪魔と向き合うことだ。

(礼拝の呼びかけ)
(呼び鈴の音)
(シーラ・キローガ)ああやっちゃった。

(ジャミーラ)私が開けます。
(足音)
(バスケス署長)こんにちはキローガさん。
どうも。
約束を覚えてますか?ラミーロ・アリーバスのことです。
逮捕しました。
タンジールで。
ハァ…。
どこか具合でも?いえ。
大丈夫です。
ちょっと針で指を…。
ハァ…。
でどうなるんです?あなたにも話を聞きたいので一緒に尋問を受けてもらいます。
彼と一緒に?ええ。
それは避けられません。
ひとつ助言をしても?化膿しないよう消毒したほうがいい。
傷は完全に治すことです。
多少痛くても。
いいですね?そうします。
彼が署に着いたら連絡します。

(呼び鈴の音)
(足音)
(ロザリンダ・フォックス)ハァ…。
ああ…大変なの。
どうしたんです?お掛け下さい。
まずはお酒を頂けない?アァ…突然押しかけてごめんなさい。
でも急な用事で着飾らなければならなくなってそれもまるでお姫様のように。
大急ぎでイブニングドレスが必要なの。
アァ…そのつまり正装よ。
とてもエレガントな。
ちょうど2度目の仮縫いができるドレスがあります。
それならあとアァ…数日で出来るかと。
それじゃ遅すぎる。
本当に急いでるの。
いつ必要なんですか?あしたの夜には出来てないと。
それは…無理です。
申し訳ないですが。
何か出来上がってるドレスはない?他のお客様のものでも買わせていただくわ。
それがあいにく全て注文を受けてから仕立てるので。
ウーン。
アァアッ。
タンジールからテトゥアンに引っ越してくるときになくしてしまったのよ。
アァ…いくつかその…トランクを。
ドレスの入ったものをね。
それはともかくさっき知ったんだけどあしたドイツ領事が主催する晩餐会に招待されたの。
ご一緒するのは私にとって特別な人でその方の同伴者として公の催しに出席するのは初めてなの。
(ライターの着火音)ここのドイツ人社会にいい印象を与えることが私の大切な役目でね。
お力になりたいんですがそのクラスのドレスはどんなに急いでも2〜3日はかかります。
お役に立てずすみません。
気にしないで。
分かってる。
とりあえず聞くだけ聞いてみようと思ったの。
とにかくありがとう。
失礼するわ。
アァ…。
(足音)・
(礼拝の呼びかけ)
(呼び鈴の音)・
(ジャミーラ)私が開けます。
(ライトのスイッチを入れる音)
(足音)何時か分かってる?どうしたの?
(カンデラリア)信じられないことが起きたよ。
パトリシオ・ルビオの情報をつかんだ。
お母さんを助けられる男。
いい?やつはドイツ領事があしたの夜開く晩餐会に招待されてるんだ。
特別な人たちの集まりよ。
私にとっては月に行くのと変わらない。
その晩餐会に着ていくドレスを今日頼まれたけど断ったし。
私は伝えに来ただけさ。
でもこれが最後のチャンスかもしれないよ。
必要なのはこのドレスです。
デルフォス?マリアノ・フォルチュニィの?ええそうです。
デルフォスはベネチアで作られていてヨーロッパの大都市にある厳選されたお店でしか売られていません。
作り方も完全に秘密にされています。
それじゃあ手に入れるのはほぼ不可能ってことじゃない。
どこで買えるっていうの?即席のデルフォスを作るんです。
偽のデルフォス。
そんなことができるの?ええ。
きっとできると思います。
何時からです?9時から。
だとするとドレスをお宅に届けるのは無理です。
じゃどうしたら…。
ここに来てもらえますか。
お化粧を済ませて髪も整えて靴や宝石も用意して。
でも宝石は控えめに…。
アクセサリーはシンプルな方がドレスが引き立つと思います。
分かったわ。
では後ほど。
ウフッ。
ありがとう。
じゃあ取りかからないと。
もう時間が…。
ジャミーラ!緩めないで。
しわが寄るようにこのまま乾かすから。
はい。
いいわ。
いい?はい。
そう。
じゃここ気をつけて。
ハァハァ…そのまま。
(フェリックス)一体何事が始まったのか聞いていいかな?偽のデルフォスのドレス。
その…話すと長いから。
こんにちはエンカルナさん。
(エンカルナ夫人)どうも。
母さん店が閉まっちゃうから。
行きましょう。
もっと絞って。
もっときつく。
そう。
しわが大切なの…そう。
日が照ってません。
乾くでしょうか?少し雲が出てるだけ。
すぐに晴れるわ。
(雷鳴)やだ…。
どうしますか?よし。
戻りましょう。
ほらしっかり絞って。
そう。
もっとこっちへ。
そう。
次はそっち。
引っ張って。
じゃあこっちへ貸して。
とても…すてきです。
フッ。
(呼び鈴の音)いらしたわ。
開けてきて。
これじゃ出られないから。
ハァ。
ハァ…ハッ。
(足音)ハァ…ウーン。
いかがです?世界一すてきなドレスだわ。
ウフッ。
さあ。
できました。
アハッ。
ハーッ。
ウフッ。
ハーッハァ…。
ありがとう。
本当に。
心から感謝するわ。
お気に召してうれしいです。
でも1つだけ言っておきます。
急いで作ったのであしたにはしわが伸び始めるかと。
着られるのはたった一晩だけです。
ウフッ。
たった一晩で十分。
あなたは恩人だわ。
どうお礼すればいいのか…。
あの…ずうずうしいとは思いますが私どうしてもお願いしたいことが…。
どんなことでも言ってちょうだい。
さあ遠慮しないで。
ではマドリードにいる母を何とか助け出したいんです。
あっちでは大勢の人が亡くなってると思うと心配で…。
内戦はいつ終わるか分からないし…。
ウン。
どうしても母を呼び寄せたいんです。
今日の晩餐会にパトリシオ・ルビオという人が…。
彼はマドリードからこっちへ人を連れてくる闇商売をしているそうです。
彼と話をしたいんですけど私にはとても。
私が話すわ。
心配しないで。
ありがとうございます。
精いっぱいやってみるわ。
できるかぎりのことを。
約束する。
せめてもの恩返しよ。
どうぞお気をつけて。
こんばんは。
こんばんは。
フェリックス!
(フェリックス)今すれ違った麗しいご婦人が例の偽のデルフォスの?ええロザリンダ・フォックス。
どうもありがとう。
どういたしまして。
もう休んで。
いつの間にそんな大物になったの?ロザリンダ・フォックス?すごいよ。
アァ…何言ってるの?ひょっとして君知らないのか?あのロザリンダ・フォックスを。
この数時間ですばらしいドレスを作ってあげたばかりなのに?イギリス人で長い間インドに住んでて5歳の息子がいるけど。
ハァもうちょっと仕事を減らして街なかを歩けば分かるはずだ。
あのイギリス人はね今テトゥアン中を騒がせてる噂の人なんだよ。
大変な愛人がいるせいで。
愛人がいるの?誰?ドイツ人?ハズレ。
じゃあ…。
考えて。
すごい人だよ。
その人のおかげで彼女は多分この保護領で最も力のある女性だ。
解決できないことなんてないだろうね。

(フェリックス)ロザリンダ・フォックスはここでいちばん偉いスペイン人の愛人だ。
バスケス署長?おいおい頼むよ。
えっ?それは警察の偉い人。
正解はフアン・ルイス・ベイグベデル。
モロッコにあるスペイン保護領の高等弁務官兼植民地の総督だ。
その人がロザリンダの愛人なの?もしウソだったら母さんが長生きするよう神様に祈ってもいい。
どんな人?年は?持って。
親子ほど離れてる。
でもかなりの教養人らしい。
語学に堪能で僕たちが見慣れてる反乱軍の連中とは大違いだよ。
残念ながらその仲間ではあるけどね。
(フアン・ルイス・ベイグベデル)気分は?何だか少し緊張しているみたい。
大丈夫。
そのドレスを着た君にみんな夢中になるよ。
そんなにすごい人?
(フェリックス)内戦が始まった時からこっちで采配を振るってる。
フランコ将軍は大満足だよ。
モロッコ人を集めてどんどん前線へ送ってるから。
ウフッ。
奥さんは?多分いる。
軍人は普通任地に家族を連れていかないからね。
まだ信じられない。
事実だ。
(フェリックス)以前は先住民局の副局長を務める控えめな人だった。
でも今は間違いなくこの保護領でいちばん偉い。
一晩でものすごい権力を持つ人物に変身したんだ。
こんばんは。
(将校)お会いできて光栄です。
奥様。
(夫人)こんばんは。
はじめまして。
どうも。
失礼します。
では領事に挨拶しよう。
ええ。
(会場に流れる音楽)
(女1)奥さん?
(女2)とんでもない。
愛人よ。
(会場に流れる音楽)
(ドイツ領事)ああ!ちょっと失礼。
ようこそ。
どうも。
領事。
お会いできて光栄です。
(夫人)よくいらっしゃいました。
はじめまして。
領事夫人。
フォックスさんです。
どうぞよろしく。
(夫人)ようこそ。
あの…セニョリータ。
警察の人が来てます。
こんな時間に?
(ジャミーラ)バスケス署長が警察署で待ってるそうです。
今行くわ。
ラミーロか?ええ到着したんだと思う。
勇気を持つんだ。
ん?
(歌手の歌声)ああお元気ですか?
(歌手の歌声)失礼。
すみませんが人を捜しているんです。
パトリシオ・ルビオさんはどの方ですか?
(歌手の歌声)どうも。

(歌手の歌声)
(パトリシオ・ルビオ)おつけしましょう。
どうぞ。
ありがとう。
パトリシオ・ルビオです。
よろしく。
こちらこそ。

(足音)わざわざどうも。
早く済ませたいので。
ラミーロは…。
います。
でも先に言わなければならないことが…。
ラミーロは死にました。
けさタンジールからテトゥアンに彼を護送していた時のことです。
一瞬の出来事でした。
途中の道で油断した警官の銃をラミーロが奪ったんです。
射殺するほかありませんでした。
とても残念です。
会えますか?いいえ。
その必要は…。
どうしても会いたいんです。
ではこちらへ。
(足音)
(歌手の歌声)パトリシオさんは何のお仕事を?あなたはとても感じのいい方のようだ。
でもまだお名前を伺っていない。
ロザリンダです。
こんばんは。
ハァ…。
あのロザリンダ・フォックスか。
えっと何を話してたかしら?あなたの事をお聞きしてたのよね。
私のことは話してない。
ハァ…そうね。
白状するわ。
あなたが誰なのか知ってる。
頼みたいことがある。

(歌手の歌声)マドリードからモロッコに人を運ぶお仕事をしてるでしょう?何をおっしゃってるのか私にはさっぱり分かりませんな。
そう?分かってるはず。
これは何かの罠か?まさか。
どうかとぼけないでください。
みんな知ってるんだ。
あなたが誰の…。
分かったわ。
(領事夫人)ダイニングルームへおいでください。
ええ。
でもこれは私たちの間だけの話よ。
フアン・ルイスは知らないわ。
知られたら私だって面倒なことになる。
本当に何の話やら。
お願い。
私ではなく友達のためなの。
何をすればいいのかそれを知りたいだけ。
ただそれだけよ。
お願い。
いいでしょう。
まず手始めに決して安くはないとお伝えください。
ウン。

(歌手の歌声)大丈夫?ええ大丈夫。

(歌手の歌声)フッハァ…。
捨てられた時は死んでしまえばいいと毎晩思った。
きっと…復讐したかったんでしょうね。
私の苦しみを少しでも味わわせたかった。
でも…冷たくなった彼を…こうして見ると…もういい思い出しか浮かんでこない。
こんな最期なんてあわれすぎる。
ハ〜ハァ…。
引き取り手はいるんですか?いいえ。
内戦で連絡が断たれているので。
スペイン本土への移送は不可能です。
ハァ…。
埋葬の費用は私が払います。

(礼拝の呼びかけ)
(カンデラリア)シーラ。
こんな悪党のために涙なんか流してやることないよ。
埋葬代を出しただけでも上等さ。
分かってる。
だったら行くよ。
ほら。
(鐘の音)
(車の走る音)
(パロマレス警部)ちゃんと連絡するんだぞ。
おや。
すっかり元気そうだ。
まるで別人だよ。
バスケス署長と話したいんです。
留守だ。
でも待ってるといい。
そこにでも座って。
どうもありがとう。
(警官1)いい女だな。
(警官2)まったくだ。
連れて帰ってお楽しみといきたいね。
(警官3)何言ってる。
あれは身持ちが堅いぞ。
連れて帰ったらお祈りさせられるのがオチだ。
(警官1)だな。
ありゃ相当頭も切れるぞ。
(笑い声)フアレス!商店街へ行け。
傷害事件だ。
コルテス。
マッチ工場の報告書を10秒で持ってこないと砂漠の中の町に飛ばすぞ。
パロマレス…。
あっ今日はどうしてこちらに?お話があるんです。
でしたら奥へどうぞ。
(足音)
(ドアの開閉音)お掛けください。
どうも。
あれから少しは落ち着きましたか?ええだいぶ。
ありがとうございます。
話というのは?旅券を返してほしいんです。
どうしてですか?タンジールへ行ってホテルと交渉したいんです。
交渉というと?借金の返済を遅らせてほしいと。
工房はとてもうまくいっていると思っていましたが…。
ええそのとおりです。
借金を返すお金は十分できました。
でも他のことでお金が必要になったんです。
家族のことで。
確か家族はマドリードに…。
だからお金が要るんです。
母をテトゥアンに呼び寄せるために。
タンジールへはいつ行こうと?できるだけ早く。
許可がいただければ。
(足音)
(ドアを開ける音)・
(バスケス)パロマレス。
検問所通行証を持ってこい。
今すぐにだ。
ではお気をつけて。
失礼します。
みんな何ぼんやりしてるんだ?あのお嬢さんも出世したもんですね。
病院で会った時はあんなにみすぼらしかったのに。
ヘッ。
ノミがいそうだった。
今すぐ黙らないとへき地に異動させるぞ!みんな仕事してろ!
(ニワトリの鳴き声)
(車の走る音)おはよう!どうも。
ウフッ。
バスでどこかへ行くつもり?ええ。
タンジールへ。
じゃあバスに乗ることない。
私もタンジールに行くの。
乗って。
さあどうぞ。
じゃあ遠慮なく。
ご親切にどうも。
やめて。
そんな水くさい言い方。
私たちもうお友達でしょう?フフッ。
フアン・ルイスのおかげでモロッコ人がフランコ側についたことは?いえ知らなかった。
彼はアラビア語を話すしモロッコ人の信頼も厚いの。
だけど他の軍人たちとは違う。
彼はインテリなの。
ウフッ。
それにとってもロマンチスト。
ホント?私たちは出会う星のもとに生まれたとそう思わせてくれる。
タンジールに越したとき彼を訪ねたの。
勲章で埋め尽くされた威圧的な軍服姿だと思ったらとんでもない。
シンプルな黒のスーツだった。
モロッコは他に類を見ない国です。
さまざまな民族が…。
あの日の昼食は忘れない。
彼はずっとモロッコの話をしていた。
そのあと散歩をしたの。
彼は石を拾った。
白い石と黒い石を。
そして私が選んだ手に黒い石が握られていたらもう2度と会わないと。
でももし白い石だったら君が僕のそばにいることを運命が望んでいるんだって。
ウフフン。

(車の走る音)で白い石だったのね。
ええ。
それからは彼が任務でどこかへ行かなければならないとき以外離れない。
ウフフッ。
もちろん一緒には住んでないけど。
彼が結婚してるから?いいえ。
そうじゃない。
結婚なら私だってしてる。
ドイツ人が私たちの関係をよく思わないのよ。
ドイツとイギリスは仲よくないから。
スペインはこの内戦でドイツに大きな借りがあるしご機嫌を損ねたくないの。
だってそれとこれとは話が別でしょ?彼があなたといてもドイツを裏切ることにはならない。
それがなるの。
明らかにね。
なぜ?私はドイツ人に目をつけられている。
フアン・ルイスがイギリスと強い関係を結ぶためだったらどんなことでもするつもりだから。
ホント?ヨーロッパの状況はどんどん悪くなってる。
もし次に戦争が起きることがあったらスペインにはイギリス側についてほしい。
でもそんな大事な問題に口を出したりして彼は怒らない?大丈夫よ。
私に夢中だもん。
彼もこう言ってる。
「僕のロザリンダのためなら地獄に落ちてもいい」って。
ありがとう。
(茶店の男)どうぞ。
ウーン。

(鳥の鳴き声)
(足音)こんにちは。
支配人とお話ししたいんですが。
(フロント係)どちら様ですか?シーラ・キローガです。
お待ちください。
(電話のダイアルを回す音)例のシーラ・キローガという女が来てます。
(受話器を置く音)こちらへどうぞ。
(足音)
(支配人)支払いを延期したい?数か月だけです。
残念ですが認めるわけにはいきません。
どうかお願いします。
母はただ一人の家族でマドリードにいます。
呼び寄せるのにお金が要るんです。
この内戦のせいで大変な目に遭っている家族は他にもいます。
もし泊まり客が皆同じことを頼んだらどうなると思いますか?利子もお付けします。
もう十分寛大な措置は取りました。
無理を言わないでください。
どうしても駄目なんですか?ええ。
残念ですが。
あなたを訴えるようなことは避けたいんです。
そうですか。
でしたらどうぞこれを。
全額返します。
(ピアノの音)ああシーラ!アッ。
ピンクジンは?ええ。
彼はディーン。
古い友達よ。
ディーン。
シーラよ。
服を仕立ててもらってるの。
(ディーン)はじめまして。
よろしく。
(ミルドレッド)ロザリンダじゃないの。
まあ。
(オリビア)こんにちは。
テトゥアンの生活はどう?あなたが行ってしまってみんな驚いたのよ。
あまりにも急な話だったから。
もう最高に楽しいわよ!夢のような家にすばらしい友達。
このシーラもそう。
彼女は北アフリカ一のオートクチュールの工房を持ってるの。
まあ!だったらぜひ一度寄らせてもらわなくっちゃ。
タンジールのデザイナーにはちょっと飽きてきたから。
ねぇミルドレッド。
(ミルドレッド)ええ。
テトゥアンまで訪ねていったらすごく楽しそう。
タンジールの人みんながあなたの新しいお友達に会いたくてしかたないのよ。
待って。
本当はみんなその中でも特に1人の方と知り合いになりたいの。
それはそれは特別な方なんですってね。
近いうちにその方が開くパーティーに招待していただけないかしら。
ぜひお邪魔したいわ。
ねえオリビア。
シーラ。
もう1杯頼んでテーブルに座りましょう。
ええいいわよ。
ディーン。
ピンクジンを2つテーブル席へお願い。
分かりました。
いいわね。
じゃあ私も…。
ごめんなさい。
外して頂ける?
(オリビア)どうして?ウフッ。
あなたたちは「ビッチ」だから。
そういう人のこと何ていうの?「ビッチ」って何?ウーン。
抜け目がなくて厚かましくて嫌な女。
「クソババア」かな。
アッそれよ。
ありがとう。
じゃあクソババアさん。
フフン。
ごめんなさいね。
私打算的な人にはもうウンザリで。
羨ましいわ。
あんなふうに言ってみたい。
アハッ。
それで?用事は無事に済んだ?いいえ。
駄目だった。
まあかわいそうに。
重要なことだったの?ええ。
私には。
母を呼び寄せるにはお金が要る。
それで別の支払いを待ってもらおうと思って。
でも断られた。
残念だったわね。
だからまだしばらくは母を呼び寄せられそうにない。
ありがとう。
内戦のため移動するのはますます難しくなっているみたいだし。
お母様はお一人でいるの?ええ。
1人で暮らしてる。
お母様が共和国政府の地域にいるなんて何をされるか分からないから気が気じゃないでしょう?いいえ。
母も共和国側よ。
仲間たちと一緒に地元で暮らしてる。
母を呼び寄せたいのは心配というより私には母しかいないから。
母と連絡も取れないことがつらくて。
だけどあなたの家族は確か…。
いいえ。
違うの。
私の噂はほとんどウソばかりよ。
名家の娘だとか…。
婚約者がアルゼンチンにいるとか…。
そう。
家族は母と私だけ。
2人とも仕立屋なの。
婚約してるって話は?ウソ。
これが私。
あなたとは…まるで違うわ。
ウン。
どんな生まれであろうとあなたがモロッコ一の仕立屋であることに変わりはない。
フフン。
お母様のことは…何も約束できないけど力になってくれそうな人を知ってる。
レオ・マルティン。
ロンドン銀行の支店長よ。
顔が広いからきっと何か知ってる。
ハァ…。
ハァ…もう2時間よ。
見込みがあるって事?ないって事?今それが分かるわ。
(レオ・マルティン)長らくお待たせして申し訳ない。
現在の状況は非常に複雑でしてね。
どういうことですか?必要となさっている人物かどうか自信はありません。
ですが試す価値はあると思います。
うまくいかなければまた別ルートで方法を探すこともできますから。
誰です?イギリスの新聞記者です。
ただあなた方を助けるには条件があると。
どんなことです?フォックスさん。
あなたと個人的に話したいそうです。
記者たちはハゲタカです。
ご存じですね。
絶えず何かを引き換えに狙ってる。
それは記者に限らない。
他にもいるわ。
じゃあつないでください。
条件を聞きましょう。
では隣の部屋でお話しください。
今そちらに回します。
マーカス・ローガンにかけてくれ。
で2番につないでくれないか。
(受話器を置く音)ローガンさん?ええロザリンダ・フォックスです。
・ええ。
そうです。
多分。
では電報でタンジールに着く日を知らせてください。
ありがとうございます。
それじゃ。
(受話器を置く音)フーッ。
終わった。
さあ帰りましょう。
それじゃレオいろいろありがとう。
助かったわ。
何て言われたの?ウフッ。
「ブラックメール」よ。
ウフフッ。
それって何て言うの?アァ…。
誰かに何かをしてもらう代わりに…。
ウン。
何かをしろっていうこと。
「脅迫」。
「脅迫」ね。
ウフフッ。
どんな脅迫?フアン・ルイスへのインタビューと数週間にわたる公式活動の取材許可ですって。
その代わり彼はマドリードで協力してもらう人物と連絡を取って全てを実行に移す。
あなたは何て?タンジールの港に着く日を知らせるように言ったわ。
シーラ。
これから会う記者にあまり期待しないようにね。
困ってる人間と取り引きするような人を信用したりしないわ。
昨日のケガをしたイギリス人は誰です?
(マーカス・ローガン)お母様の状況は?相当危険なんですか?すぐ人を信じてはいけない。
よからぬ人間とつきあって痛い目に遭ったはずだ。
頼んだものは?ドイツ領事館の文書をもっと入手できないか?結局何が言いたいんです?私を守りたい?それともまだ信じられない?
(バスケス)取り返しのつかない事をさせたくないだけです。
(兵士1)待て。
待て!
(車のブレーキ音)早く乗って!
(車の急発進する音)
さてお立ち会い。
2015/07/05(日) 23:00〜23:50
NHK総合1・神戸
情熱のシーラ(5)「暗躍の調べ」[二][字][デ]

お針子から名スパイへ!時代に翻弄されながらもたくましく生きた女性を描く魅惑のスペインミステリー。シーラは、内戦中のスペインから母を呼び寄せようと決意する。

詳細情報
番組内容
シーラをバスケス署長が訪ねてくる。元恋人ラミーロがタンジールで捕まったのだ。テトゥアンの警察署に護送されしだい、彼と一緒に尋問を受けなければならないと聞き動揺するシーラ。そんなとき、スペイン本土からモロッコに人を運び金もうけをしている人物がパーティーに招待されていると知る。母をスペインから呼び寄せたいシーラは、彼との接触を望むがパーティーに行けるはずはない。そのときシーラが思いついたこととは?
出演者
【出演】アドリアーナ・ウガルテ…渋谷はるか,フランセスク・ガリード…大塚芳忠,ハンナ・ニュー…小島幸子,マリ・カルメン・サンチェス…片岡富枝,ダビド・V・ムーロ…石住昭彦ほか
原作・脚本
【原作】マリーア・ドゥエニャス,【脚本】スサーナ・ロペス,カルロス・モンテーロほか
監督・演出
【演出】イニャキ・メルセーロ,イニャキ・ペニャフィエル
制作
〜スペイン A BOOMERANG TV PRODUCTION FOR ATRESMEDIA制作〜

ジャンル :
ドラマ – 海外ドラマ
趣味/教育 – 会話・語学

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
スペイン語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:4779(0x12AB)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: