「アートシーン」です。
じっと見つめていると不思議な事に気付くそんな作品を数多く残したセザンヌの展覧会が開かれています。
セザンヌが得意とした静物画。
実はこの絵の中に一つだけ欠けているものがあります。
ヒントはラム酒の瓶。
そう口の部分が塗られていません。
この塗り残しにこそセザンヌの飽くなき探求心がうかがえるといいます。
なぜあの部分の色を塗らなかったかといいますと最後の瞬間まで色を見つける事ができなかったんですね。
絵画に対して非常に高いレベル完璧を求める画家として知られています。
初期から円熟期までセザンヌの作品がそろった展覧会です。
南仏プロバンス地方に生まれたセザンヌは22歳の時パリで画家の修業を始めます。
セザンヌがいかに若い頃から納得いくまで描き続けたかを物語る作品。
道には緑が残っていますが手前の木には葉がありません。
春に描き始めたのに秋になるまで完成しなかったからです。
やがて実験的な絵画に挑みます。
女性も周りの木も三角形になるように配置されているのに対しそれぞれのディテールはあえてぼんやりさせています。
こうした表現は当時の美術界に受け入れられずセザンヌはふるさとに戻ります。
手前の緑が大半を占め強調されています。
そこに目をやると次第に視線は上の家の方へといざなわれてしまいます。
巧みな仕掛けです。
セザンヌは誰にも評価されないまま一人こつこつと絵を描き続けました。
そんなセザンヌを支えた妻オルタンスの肖像画です。
それまでの絵とは打って変わって優しいタッチが印象的です。
50代にようやく認められて開いた初の個展には二人の肖像画が仲良く出品されました。
円熟期の静物画。
傾いたテーブル。
鮮やかな果物が今にも落ちそうです。
この絵にはもう一つ驚きが隠されています。
砂糖壺の向こうりんごです。
宙に浮かんだようにも見えます。
セザンヌは見たままの姿ではなく絵画そのものの面白さをひたすら追い求めた稀有な画家でした。
見たままを描かないというセザンヌの静物画面白いですね。
苦悩しながらも独自の画法を探求し続けたセザンヌの生き方が感じ取れそうな展覧会ですよね。
そうですよね。
ほんとに自分なりの絵の完成のためには揺るぎない強さを静かに感じ取れる事ができますよね。
ではその他の展覧会です。
続いての主役は朗らかな笑顔のこの男。
なんと37歳の若さで隠居しました。
そこから本格的に絵を描いた田能村竹田の展覧会です。
江戸時代後期豊後国岡藩に勤めていた竹田は政治改革を強く訴えますが受け入れられませんでした。
それをきっかけに隠居。
最新の流行を見る事ができた長崎へ遊学します。
そこで目にした中国絵画に大きな影響を受け作品を描き始めます。
竹田初期の花鳥画。
石に巻きついた牡丹です。
実にこまやかな筆遣いで花びら一枚一枚まで丹念に描いています。
中国の知識人が山の谷間で隠遁生活を楽しむ様子。
海外へ渡る事が厳しく制限された時代竹田が想像を巡らせた桃源郷です。
梅の花が好きな友人のために竹田が描いた晩年の代表作です。
どこまでも梅の林が続きます。
愛すべき梅の花々は一つ一つ丹念です。
中国風の書斎で過ごす2人。
竹田と友人が異国への夢を楽しそうに語っているのでしょうか。
歴史の舞台にゆかりのある女性を追い求めた三木翠山。
大正昭和の作品を集めました。
幕末動乱の京都。
桂小五郎の恋人幾松です。
追われた小五郎にこっそりと握り飯を渡す一場面。
幾松を柔らかく品位のある女性として描きました。
翠山は時に大胆な試みもしました。
東海道五十三次を歩いたであろう女性たちを描くため芸者を連れたスケッチ旅行に出かけます。
翠山が女性たちに江戸時代の服装をさせて絵にしたのがこの作品です。
芸術家の子供時代の作品を集めた展覧会です。
パリに生きる女性たちの作品で知られるロートレックが16歳の頃に描いた兵士です。
当時事故による骨折で馬に乗る事ができなかったロートレックにとって堂々と馬にまたがる兵士は憧れでした。
後の哀愁を帯びた作風とは異なるりりしい一枚です。
複雑な折り紙をヒントに反射鏡を組み合わせたアート。
機械工学とデザインを学んだ2人によって生み出されました。
人間の作り出すさまざまな動き。
その楽しさを伝える展覧会です。
子供の頃のおもちゃから発想を得た作品。
高速回転の扇風機の風で白い球は浮かんでいます。
チェスの駒の前を光の列車が走っています。
動く影絵を楽しみます。
並べられた鉄の棒の間を列車が走るとご覧のとおり。
意外な光景に出会う作品です。
ドイツの作家によるインスタレーション。
68個並べられたものは…。
ごみ袋です。
世の中の面白そうなものを何か観察してるとちょっと共通項が見えてきたんですよね。
その共通項の中に動きというものがあるなという。
年齢問わず家族とか友達とか仲間同士でワイワイとみんなにも来てもらいたいなと思ってます。
「こんぴらさん」で知られる金刀比羅宮の名宝に出会う展覧会です。
海の神様を祭った金刀比羅宮は古くから人々のあつい信仰を集めてきました。
こちらは年に一度の祭りの様子。
江戸時代の人々にとって参拝は数少ない楽しみの一つでした。
こうした海の安全を祈る絵馬も奉納されました。
円山応挙による虎。
客間の襖に8頭います。
せり出すように見える迫力です。
「アートシーン」でした。
ではまた次回。
2015/07/05(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“セザンヌ 近代絵画の父になるまで”展 ほか[字]
「セザンヌ 近代絵画の父になるまで」(ポーラ美術館 4月4日〜9月27日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「セザンヌ 近代絵画の父になるまで」(ポーラ美術館 4月4日〜9月27日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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