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アッズワースの戦士隊 作者:白色粉末

戦士ティタン

1/13

戦士ティタン 1

 頬を泥と煤塗れにしたアメデューが、乱れた蜂蜜色の髪もそのままに口付けてきた時。
ティタンは城壁の階段から転げ落ち、脳震盪を起こしていたから、まともに返事も出来なかった。

 「ティタン、ありがとう。そしてさようなら」
 「ま……、あ……」

 待て、とそういったつもりだったが、出て来たのは意味を成さない声。顔を歪めて身を捩りながらティタンはアメデューに手を伸ばす。

 いつも凛々しく釣り上がっているアメデューの眦が今だけは優しくなっている。己の運命に殉ずる、諦観にも似たその気配。
 アメデューは震えるティタンの手を握り、そして強く抱き締めてくる。互いの首に喰らいつくように抱き合えば、アメデューの汗と血の交じり合った甘い香りがした。

 「いつだってお前のことを思っている。私の魂が主神の御許に留め置かれるのか、裁かれるのか、それ以前に黒竜との戦いで打ち砕かれるのかは解らないけれど……。
  でも、私の心は如何なる時もお前の傍にいる。……お前を愛している。お前が私を愛してくれたように」

 ゆっくりと離れる愛しい女。ティタンは漸くと言った有様で言葉を捻り出す。

 「待て……。俺も、……俺も、行く……」

 しかしティタンは立ち上がれず、アメデューはティタンを待たなかった。
 背を向けて駆け出すアメデュー。ティタンは獣のように唸った。

 「待て……! 畜生、俺を……置いて……行くな……!」

 畜生、畜生


 巨大な黒竜のブレスによって焼き尽くされ、破壊されたアッズワース要塞。上司、戦友、好きな者もそうでない者も一切合財纏めて焼き滅ぼされた。
 そして己の命より愛した女すら。


 生命の気配の薄くなった大地に興味を失い飛び去る黒竜。ティタンはこの日の事を何があっても決して忘れない。

 己の無力と、敵。そして自分を置いて行ったアメデューを激しく憎悪したこの日を。

 ティタンは決して忘れない。


――


――


 「ティタン殿! ティタン殿! どちらに!」

 足音高く陣幕の合間を歩いてくる騎士。ティタンは剣に砥石を這わせながら視線を遣り、直ぐに戻す。

 アッズワース要塞より北の渓谷部を進んだ位置、ワクトー川の水に濡れた剣がぬらぬら光る。夕日を跳ね返すティタン自慢の名剣は澄んだ刀身に使い手の仏頂面を映し出している。

 浅瀬の水を掬ってもう一度砥石を這わせる。ティタンを呼ぶ騎士は直ぐ傍まで来ていた。

 「こちらに居られましたか」
 「相変わらず騒がしいな、あんた」
 「声がでかいのが自慢ですので。それよりもトリニト将軍が御呼びです」
 「解った、直ぐ行く」

 騎士は己が胸に握った拳を打ちつけた。篭手に包まれた手とブレストプレートが打ち鳴らされ音を立てる。
 敬礼だ。ティタンは目を細めた。

 「……あんた、畏まり過ぎじゃないか、傭兵相手に」
 「そのような事は」
 「クラウグスの誇る正五位の王国騎士がへいこらしていると、面白くない者も居るだろう」
 「……ご冗談を」

 クラウグスの騎士とは軽い名ではない。この大陸で最も恐れられるのがクラウグスの戦士達であり、クラウグスの騎士とはその中核を担う者達だ。

 古来よりこの国家、クラウグスは全ての勢力に恐れられてきた。厳しい環境、様々な外敵によって磨かれて来たクラウグスの戦士達は、泣き言も無く死地に乗り込み、悲鳴も無く死んでいく。
 祖国の為に死を厭わない本物の戦士達だ。その狂気とでも言うべき精神性、鍛え上げられた肉体の屈強さが、全ての者達を震え上がらせ、大陸随一の強大な国家を築き上げるに至った。

 誰よりも真先に血を流し、命を奉げる戦士の気位が、低い訳が無い。その筈の男をして阿らせる程の格がティタンにはある。

 「竜狩りケルラインと彼の元に集いし戦士達。黒竜を討ち果たし、戻られたのは貴方と騎士ブリーズナンのみ。どうして敬意を表さずに居られましょうか」
 「他の者は遠巻きにしてひそひそと何か言ってるぞ」
 「貴方が兵どもを近寄らせないのではありませんか。それに陰口など叩いている筈はない。我が軍随一の勇者を侮る者が居たならば、私は騎士としてその者を制裁しなければなりません」

 騎士は口端を緩めて微笑んだ。ティタンは顔を背けて声を低くする。

 「英雄か……、不本意だ。……俺の望みは戦いの果てに死ぬ事だった」
 「しかしあの恐ろしき竜と相対して尚生き延びられた。戦士は、力ある限り戦い続けなければならない」
 「最近よく聞くな、その口上。流行りなのか?」
 「騎士ブリーズナンが若手に語って聞かせているのです。私も同感です」

 力強く言ってみせる騎士はティタンよりも年上だ。ティタンは漸く二十八、三十まであと少しで手が届きそうな所。まだまだ若造扱いされる年である。
 比べて騎士は四十も間近と言ったところか。その言葉には諭すような響きがあった。

 「……もう行ってくれ。それとも共に向かったほうが良いのか?」
 「いえ、万全を。……貴方の刃の閃きがゴブリンどもを恐れさせ、我等を奮い立たせます」
 「期待に沿えるよう努力するさ」

 もう一度敬礼して騎士は立ち去った。ティタンは澱みない動作で剣を磨ぎ上げ、道具を腰の皮袋へとしまう。

 ゆらりと歩いてゆけば道行く兵士達がティタンを見る度に会釈し敬礼した。ティタンはそれらに目もくれず、ゆらりゆらりと一つの天幕を目指す。

 他と比べて一際大きい天幕は高級将校の会議用の物だった。ティタンがそこに踏み込めば、天幕の主が顰め面で迎える。

 「遅いぞ」
 「剣を研いでいたんでね」
 「座れ」

 老将トリニトは疲れ果てた表情で言う。元々顔色のよい人物ではなかったがここ最近の激務で皺は増え、まるで生気が無い。

 力があるのは声音だけであった。ティタンはトリニトの言うままに椅子の一つに座る。

 先に席についていた数人の騎士達が立ち上がり、敬礼してきた。ティタンは仕方なく拳を胸に当てて応えた。

 「厄介なのが現れたぞ、ティタン」
 「厄介なのか。先日追い散らしたオーガどもよりも?」
 「ふん、奴等あれだけ尻を蹴り飛ばしてやったのに、懲りもせず戻ってきおった。……大勢の仲間を引き連れてな」

 苦々しく言うトリニトに、ティタンは状況の拙さを悟った。暗い土色の肌を持った鬼どもは非常に手強い。人間では抗いようの無い怪力を持っている。


 ティタンを含め、この場に陣を敷いた兵士達はアッズワース要塞所属の精鋭だ。アッズワース要塞は広大なクラウグス王国の北の果て、人と魔物の領域を隔てる場所に存在する。

 アッズワースは古来より魔物との戦いの最前線であった。魔物の地である北から南下してくるゴブリン、オーク、オーガ、ワーウルフ、……兎に角何でも全てを追い返すために、オルカン大渓谷を塞ぐように建設されている。
 そして其処に駐留する兵士達は要塞の防衛は勿論、周辺の魔物の間引きも積極的に行わなければならない。人も物も激しく損耗し、昨日と今日、今日と明日で少しずつ僚友の顔ぶれが入れ替わっていく、恐ろしい戦場であった。

 今は北部より進行して来た魔物達を押し返すために打って出ている。そして、どうやら深入りし過ぎたらしい。

 「アンタが読み違えるとは……、クラウグスの未来は暗いな」

 ティタンは皮肉を吐き出した。トリニトは非常に知恵の働く、軍歴も長い指揮官だ。ティタンの知る限り失態らしき失態を侵した事は無い。
 それがこうも苦々しい顔をしていて、しかも多くの敵が迫りつつある状況のようだ。ティタンはにたりと笑った。

 ティタンに取っては望む所である。苦境を求めていた。トリニトが苦い顔をするほどの苦境を。

 「しかしそうとなれば殿軍に志願する。戦わせてくれ」
 「……」
 「そういう事なんだろう? 何日踏み止まればいい」
 「二日だ。援軍を加えて二日で攻勢を再開する」

 二日。如何に屈強な戦士達を集めても魔の気配の濃いこの場所で魔物の大軍勢を相手取るのは難しい。相当の戦力が必要になる。ここまで魔物達の領域を進んできたアッズワースの戦士達は疲労も深い。

 だが、敵を足止めする……捨て駒部隊に戦力を割き過ぎては本末転倒だ。矢張り生残は難しい。ティタンは小さく笑った。

 「二日か。二日あれば流石の俺もくたばりそうだ」
 「あぁ、死守だ」
 「ありがたい、トリニト将軍。俺はそういう戦いを望んでるんだ」

 トリニトはむっつりと黙り込んだ。死を恐れぬティタンの姿にその場に居る騎士達は敬礼を奉げる。
 雄叫びを上げて奮い立つのでも、ただ使命に邁進するのでもなく、ティタンは自然体であった。平素のままの装い、所作で、まるで散歩に言ってくるとでも言うように死んでやると言ってのけたのだ。
 だが、崇高な使命の為に死ぬのではない。そこが騎士達とティタンの思考の違いである。


 ティタンは立ち上がり踵を返す。やることが定まれば、準備すべき事は幾らでもある。

 天幕を出る前、むっつりと黙り込んだままのトリニトを振り返る。ティタンは目を細めて笑っていた。

 「思えば黒竜戦役以前からアンタとは長い付き合いになった。…………その、なんだ、トリニト将軍。アンタとアンタの部下達に、名誉と栄光あれ」
 「……ティタン、貴様の魂にこそ、名誉と栄光あれ。貴様の勇気と誇り高き戦いを、主神レイヒノムは必ずやお認め下さるだろう。…………貴様が英霊の座にてアメデューと再会できることを祈る」

 やれやれ、とティタンは溜息を吐いた。

 「そうだな、将軍。それも俺の望みだ」


――親衛隊総指揮官、ブリーズナン・アリューカンは残す。

 北の大地、人魔の領域、その境目を守る戦士の中の戦士、ティタン。
 その筋骨は強靭且つしなやか。一振りの剣で以て敵に襲い掛かる姿は天空より舞い降りる鷹。
 体捌きは俊敏。思考は常に怜悧。顔だけでなく背にも目を持ち、如何な奇襲も彼には通用しない。

 竜狩りの英雄ケルライン・アバヌークの掲げる旗の元に集いし戦士達の内、最も秀でたるは彼であり、例え神話まで遡ろうと彼に比肩する戦士は稀である。

 己が栄光の為でなく、死せる戦友のために命を賭す。タジャロ要塞にて黒竜を討ち果たせし後、生き残ったのは彼と私のみである。

 北の果て、アッズワースを越えたさらにその北で、動きを活発化させた魔物達との激戦の末に命を落とす。

 私は重ねて彼を評す。彼の名はティタン。

 戦い、勝利するために産まれて来た戦士の中の戦士。ケルライン・アバヌーク、インラ・ヴォアに次ぐ大英雄であり……
 その戦い、その生き様は永遠の物だ。


――


――


 古臭い英雄の詩を歌い上げる吟遊詩人がいる。錆びかけたボロのハープを愛しげに奏でる黄金色の長髪眩しい美貌の青年だったが、彼の歌を聞くのはフードを目深に被った剣士一人きりだ。

 アッズワース要塞大通りで一番の酒場、「群青の樹」は今宵も無数の荒くれたちでごった返しているが、吟遊詩人の詩に聞き入る者は居ない。
 三百年も昔の古臭い詩。それもこのアッズワースの周辺では最も親しまれている詩だ。赤子の子守唄のような物で、今更物珍しさを覚えるような詩でないのは確かだ。

 じっとそれに聞き入る剣士以外には。

 「……以上が、クラウグス暗黒の時代を切り開いた大英雄が一人、剣士ティタンの歌だ。聞いてくれてありがとう」

 美貌の吟遊詩人の謝意は剣士にのみ向けられていた。この剣士が周囲を黙らせていなければ、今頃詩人は野次やら何やらでまともに歌えなかったに違いない。英雄ティタンの詩など子供向けの御伽噺のような物だ。少なくとも酒場で荒くれ共に聞かせる歌でないのは確かだった。

 剣士が掌中で弄んでいた硬貨を弾く。吟遊詩人は危なげなくそれを受け取り、鈍く光るその意匠が古い時代の貴重な金貨の物である事を理解すると顔色を変えた。

 「こんな貴重な物を……冗談だろう?」
 「そう思いたきゃそう思え」
 「こ、これを……どうしろって」
 「それはもうお前の物だ。お前の物をどうしようとお前の勝手だ」

 ぶっきらぼうに告げて杯を傾ける剣士。詩人は言葉を失った。
 剣士は面白がって言葉を続ける。

 「……三百年もかけて、随分と美化されたモンだ。剣士ティタンも」
 「美化だなんてとんでもない。北の英雄ティタンの戦いは全て本当のことさ」
 「本当かどうかなんて今更解るまい。それに……ティタンが英雄だと?」
 「英雄さ。彼が英雄でなかったら誰を英雄と呼ぶ?」

 決まってる。剣士はカウンターに座り直し、店主に酒を要求した。店主は店で一番高い酒を惜しみなくグラスに注いで出す。

 剣士のマントは一見して古びた襤褸切れのようだが、その下にはよく使い込まれた革鎧が隠れていることを知っている。整備も疎かでない。歴戦の戦士の装いだ。
 それに先程惜しげもなく放って見せた金貨。金払いは期待できた。

 「竜狩りケルライン、だ。お前が英雄と呼ぶティタンも、その他クラウグスの為に命を奉げ、捨て身で戦った高潔とされる戦士達も、全てケルライン・アバヌークの雄叫びに突き動かされたに過ぎない」

 吟遊詩人は金の髪を揺らして苦笑した。誇り高く居丈高な古代の神々すら一目置く英雄の名を引き合いに出されては全てが霞む。
 吟遊詩人は剣士の隣に座って弱い酒を頼んだ。ジッと、剣士のフードの内側を覗き込もうとする瞳から好奇心が伺えた。

 酒を一息に干した剣士は暫く俯いて、饒舌に離し始める。酒には強くないらしい。

 「想像できるか? 相手は竜だぞ。風より速く飛び、ちょいと炎の息を吐き出せば戦士達が何人いようと成す術もない。鱗は頑強でどんな刃も鏃も通さず、そして何より残忍だ。
  どうしても希望を見出せなかったから、ケルラインに縋ったんだ。それしか出来なかった。ケルラインと彼の掲げる竜狩りの旗を頭から信じ込む事で、不安を遠ざけたんだ」
 「……伝承には、彼の掲げる竜眼の旗には戦死した英霊達が青き光りへと転じて宿り、黒竜と戦った軍団はその英霊達と神々の助力を得て漸く硬き鱗を破ったと」

 もう一杯傾けながら、剣士は胡乱な目付きで詩人を睨む。詩人は怯まず言い募った。

 「もしかして伝承に詳しいのかい? 僕も竜狩りの伝承を集めて回ってるんだ。何せ大昔のことだから、色んな説があったり細部が違っていたりして。実はさっき歌ったのもブリーズナン・アリューカンの手記を殆どそのまま使ってるんだ。……君の話も是非教えてくれ」
 「あぁ教えてやるとも」

 剣士の声は別段大きくも無いのに、妙に響いた

 「ティタンは英雄なんかじゃない。奴が黒竜と戦ったのは女に置いて行かれた八つ当たりだし、死ぬまで戦場にしがみ付いたのは自分で死ぬ度胸が無かったからだ。自死は恥ずかしくて、やるせないから、死地を求めてアッズワースに居座った。
  クラウグスを護りたかった訳でも、民草を守りたかった訳でもない。……多少は強かったのかも知れないが、それだけさ」
 「へぇ……。随分となんていうか……、話の正誤は別にしても……」

 随分ティタンに感情移入するもんだね。吟遊詩人はその言葉を飲み込んだ。剣士が虎か獅子もかくやと言う眼光で睨んでくるのが容易に想像できた。
 吟遊詩人が口篭る間に剣士は立ち上がる。店主に必要十分以上の金額を支払って背を向けた。

 「じゃぁな。内容は兎も角、声は良かった」
 「ねぇアンタ、名前を聞いても?」
 「…………ティタンだ」
 「へ?」
 「ティタンだ。残念ながら偽名じゃないぜ」

 吟遊詩人は耐え切れなくなって笑った。

 「成程ティタンか! そりゃ子供の頃からさぞやからかわれて来たんだろうな! 僕でも英雄ティタンが大嫌いになるかも知れないよ!」
 「……ふん」
 「ならばティタン! 僕の歌を大真面目に聞いてくれた剣士さん! また会える時を楽しみにしている!」

 面白そうに笑う吟遊詩人の声を背に受けながら、剣士ティタンは酒場を出た。

 夕暮れが地平線に沈んでいく。燃える日輪を追い立てるようにして薄紫の闇が空を覆っていく。

 妙に生温い風が吹いている。ティタンの知っているアッズワースの風よりも大分暖かい。

 道行く傭兵の一人と肩がぶつかる。傭兵は「気をつけろよ」と言ってそのまま去っていく。ティタンは鼻を鳴らす。

 この要塞は、変わった。その役目は変わらないのに、妙に生温く、腑抜けていて、大層居心地が悪い。

 少し空を見上げてみた。気の早い星達が薄紫の空に俄かに輝いている。ティタンは大きく息を吐き出した。酒臭かった。


 「そうさ、英雄ティタンなんて物は、全部まやかしだ」


 三百年。


 途方も無い時間が経っていた。四方八方からオーガの牙を受けて死んだと思ったが、目覚めた地では全ての戦いは風化した黴臭い伝説と成り果て、自分はかつて共に戦った大英雄達と共にまるで救世の戦士のような扱いを受けている。

 あの真面目腐った仏頂面の騎士、ブリーズナンはさぞや当時の事を面白おかしく美辞麗句で飾り立てて記録したのだろう。そうでなければ自分がこんな胸糞悪い思いをしている筈は無い。


 畜生、結局俺は情けない間抜け面をぶら下げたまま、アッズワースを浮浪者のようにぶらついている。

 燃えるような怒りが胸を焦がす。発作のように唐突に燃え上がる怒りは通り雨にも似ている。

 アメデュー。未だ主神の御許に居るのか? それとも冥府を治める循環の神ウルルスンに導かれ、新たな魂として生まれ変わったのか?
 どうして俺を置いて行ったんだ。俺じゃ、役者不足だったのか。

 「あぁクソ、だらしねぇな」

 酒では酔えない。戦いだけが苦痛を忘れさせてくれる。

 戦いをくれ。脳髄までとかし、五臓六腑まで焼き尽くすような、戦いをくれ。

 その果てに死ねば、きっとアメデューは俺を迎えてくれるに違いない。


 ティタンは何もかもが変わってしまったアッズワースで、魔物との戦いを求めて歩き出した。
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