【ソウル聯合ニュース】韓国の政府系シンクタンク、統一研究院は10日に発表した報告書で、北朝鮮が韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領や青瓦台(大統領府)に対する非難を続けているのは、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記のカリスマ不足から目をそらさせるためだと分析した。
統一研究院は2013年2月から今年5月までの北朝鮮・朝鮮中央通信の発表内容を分析した。それによると、朴大統領と青瓦台に対する非難は152件に上る。2013年の64件から2014年は69件に増加したが、今年は5月までで19件と減少傾向にある。このうち朴大統領を名指ししたのは計95件だった。
計330回の非難の内容は、北朝鮮向けの批判ビラ散布など北朝鮮体制の正当性に関するものが66回と最も多い。対話や人道支援を基に南北の信頼構築を目指す韓国政府の「朝鮮半島信頼プロセス」(44回)、韓国の体制(34回)、北朝鮮の核問題(33回)、韓米同盟(31回)に関する非難も多かった。
発表を行ったのは対韓国窓口機関の祖国平和統一委員会が56回で最多、国防委員会が16回で、談話(45回)や報道(34回)、論評(26回)などの形式が中心だ。
時期としては毎年3~5月に非難を強める傾向がある。この時期に韓米合同の軍事演習が行われる影響といえそうだ。
報告書は「金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後、経験不足のまま若くして権力を握った正恩氏が内部に対しカリスマ不足から目をそらさせ体制の結束を強化しようと、韓国大統領への非難を政治的な防御の手段に活用している」と分析した。