形成外科医院で毛髪移植手術を受け、麻酔事故で植物状態に陥った被害者に対し、約7億2400万ウォン(約7800万円)の賠償を命じる判決が下った。
ソウル中央地裁民事15部(キム・ジョンウォン裁判長)は9日、医療事故の被害者の男性が、ソウル市江南地区のA形成外科医院の院長を相手取って損害賠償を求めた訴訟で「被告は原告に対し約7億2400万ウォンを賠償するように」という判決を言い渡した。
ソウル市内の私立大学の教授だった男性は、髪の毛が少ないため悩み、2013年1月にA形成外科医院で毛髪移植手術を受けた。院長は男性に対し、麻酔薬「プロポフォール」などを投与し、局部麻酔状態にして頭皮の組織を切除した。ところが、切除した部位の止血や縫合を行おうとしたところ、男性の酸素飽和度が急激に低下した。男性は近くの大学病院の救急治療室に搬送され応急処置を受けたが、低酸素症による脳の損傷のため、意思疎通が不可能な植物状態に陥った。
地裁は医師の過失を認め、判決理由について「施術の過程で患者を細かく観察する必要があったにもかかわらず、被告は不十分な酸素飽和度維持装置を使用し、さらに酸素飽和度が低下したことを知りながらも、酸素を十分に共有しなかった」と述べた。だが、プロポフォールの投与によって副作用が生じたことについては、男性の体質的な要因もあったとみられるとし、賠償責任を40%に限定した。