MERS:「情報統制で被害拡大」 遺族・患者らが国を提訴

「感染の可能性を予見しながら情報を統制、被害を拡大」

 中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)に感染し死亡した患者の遺族と、隔離された患者たちが9日、韓国政府と地方自治体、病院を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こした。MERSによる被害者ではない弁護士が先月、政府を相手取って「不作為(しなければならないことをしなかった)による違法行為の確認」を求める訴訟を起こしたが、被害者が直接訴訟を起こすのは初めてだ。

 建陽大学病院(大田市)でMERSに感染し死亡した、45番目の患者の遺族9人は、国と大田市、建陽学園(建陽大学病院の運営法人)を相手取り、約3億ウォン(約3200万円)の損害賠償を求める訴状をソウル中央地裁に提出した。また、江東慶煕大学病院で感染し自宅隔離となった3人は、国と京畿道始興市、慶煕学園(江東慶煕大学病院の運営法人)を相手取り、総額約670万ウォン(約72万円)の支払いを求める訴状を同地裁に提出した。

 原告たちは憲法第34条の「国は災害を予防し、その危険から国民を守るため努力する」という条項や、感染症患者などの治療や保護について定めた「感染症予防および管理法」などを根拠とし「MERS患者がほかの人に感染させる可能性を予見できたにもかかわらず、国や地方自治体などが情報を統制したために被害を大きくしたことから、それに伴う損害を賠償する責任がある」と主張した。

キム・アサ記者
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