中国の邱国洪駐韓大使=写真=が中国人観光客の韓国訪問を増やすため、期間限定で中国人観光客のノービザ入国を認めることを検討するよう求め、実現するかどうか関心を集めている。
邱大使は13日、朝鮮日報の経済メディア、朝鮮ビズと韓国貿易協会が共催した「ユーラシアフォーラム・ソウル2015」に出席し、産業通商資源部(省に相当)の尹相直(ユン・サンジク)長官、国会のナ・ギョンウォン外交統一委員長らと会談した席上、ビザ免除を提案した。
出席者の一部が「中東呼吸器症候群(MERS)感染拡大で中国人観光客の韓国訪問が大幅に減少した。再び多くの観光客が訪れるようにしてほしい」と求めたのに対し、邱大使は「十分に理解している。中国人が再び韓国を訪れるようにするためにはインセンティブが必要だ。今後3カ月限定でノービザ入国を認めれば、かなりの効果があるのではないか」と指摘した。
邱大使はまた、「中国人観光客は最近、(MERSのせいで韓国を避け)日本に行くことが多いが、短期間に韓国を訪れるには経済的に限界がある。ただ、韓国の秋の紅葉は最高であり、3カ月のノービザが適用されれば、中国人観光客がたくさん訪れるのではないか」と述べた。さらに、「済州島を訪れる中国人が多いのは、ノービザによるところが大きい。期間限定のノービザ措置を取れば、大きな中国人観光客誘致促進策になる」と指摘した。同様の提案は韓国政府にも既に伝えられているという。
これに関連し、韓国政府は中国人観光客による期間限定のノービザ措置適用は容易なことではないが、検討を進めたいとの立場だ。観光業界などは過去数カ月のMERSによる被害が大きいため、3カ月の期間限定ノービザ措置に前向きな検討を行うよう求めている。
しかし、ビザ政策を担当する法務部は慎重な姿勢だ。法務部幹部は「中国人が韓国経済に寄与することは十分承知しているが、考慮すべき点が多く、短期間で決定できる事案ではない」と話した。
法務部は中国人のノービザ入国を認めた場合、韓国国内に大きな波紋を呼ぶとみている。下手にノービザ入国を認めた場合、不法滞在者の増加や雇用機会が奪われるなどの副作用が予想される。また、韓国人が中国にノービザで入国できない状況で一方的に韓国だけが中国人にノービザ入国を認めるわけにはいかないとの考え方もある。
外交部関係者は「基本的に国家間でノービザ入国を増やすことには賛成するが、法務部の判断が重要だ。関係官庁が反対しなければ、反対する考えはない」と語った。雇用労働部関係者は「法務部が決定すべき事案だが、ノービザ入国を拡大すれば、不法滞在者が増え、韓国国内の雇用が奪われる懸念がある」と話した。
政府はひとまず中国人が容易に韓国を訪問できるようにさまざまな方策を講じていく構えだ。法務部関係者は「団体観光客にインターネット経由でのビザ申請を認めるなどの対策を考えている」と説明した。