小田邦彦
2015年7月16日10時49分
■どすこい取材日記
土俵周りのたまり席に目を向けると、名物とも言える好角家を見かけることができますが、名古屋場所と言えばこの人かもしれません。西の花道に面した席で、和服姿が目を引く磯部安江さん(73)。名古屋市内で90年近く続く鶏肉屋を経営しています。その凜(りん)とした姿から一部の親方衆に「白鷺(しらさぎ)の姉御」と呼ばれ、一般の相撲ファンからも声をかけられる存在です。
「相撲はね、真剣に見る気持ちが自然とわくんです」。そう語る磯部さんは美容院で髪を整え、着物を装い、名古屋場所にやってきます。話しかけてくる女性ファンには和服を勧めます。「相撲は『和のスポーツ』ですから」
そう語る磯部さんだが、かつては相撲に興味がなかったそうです。のめり込むきっかけは21年前、知人からチケットをもらい、相撲を見たことでした。
力士のひび割れた足の裏に稽古での努力を感じました。土俵上での所作には「武者震いがした」と言います。「相撲は心技体。自分にはぴったりだと思った」
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