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【埼玉】

安保法案 強行可決に県民憤り

 安全保障関連法案の採決が十五日の衆院特別委員会で強行され、可決された。「国民をばかにした独裁政治だ」「武力で平和はつくれない」。自民、公明両党は十六日の衆院本会議で可決させる見通しだが、廃案を求める県民や法曹界から憤りの声が上がった。 (服部展和、中里宏、花井勝規、羽物一隆)

 「世論調査を見ると国民の多くが法案に反対し、説明不足と感じている。その声を聞かずに数の論理で強行採決する安倍政権は許せないし、理解できない。審議時間も不十分だ」

 七日に発足した朝霞市の市民グループ「戦争法案に反対するオール朝霞」の事務局員の一人、大野良夫さん(66)が怒りの声を上げた。「このままでは従来の平和外交から武力に頼る外交に変わってしまう。武力で平和はつくれない」と法案の廃案を訴えた。

 川越市の事務代行業山口陽子さん(63)は「安倍首相自身が『法案に対する国民の理解が進んでいない』と認めているのに、強行採決するなんて国民をばかにした独裁政治。特定秘密保護法も同じ手法だった」と憤る。「一番問題なのは、憲法違反の疑いがある集団的自衛権の行使容認を閣議決定で進めたこと」と指摘した。

 本庄市民らでつくる「本庄九条の会」の事務局員で自営業の田中益生さん(71)も、安倍首相の発言と採決強行を「矛盾している」と言い切る。その上で「国が国民の安全を守るのは当然だ。ただ、外交強化や地球温暖化防止など課題は多いのに、軍事一辺倒の姿勢はおかしい」と批判した。

 秩父市の無職男性(71)は「国民の間で反対の声が多いのは分かっているのに、(与党は)国会議員の人数で押し切った。こんなことをしていたら世の中がおかしくなる」と憤った。与党が「議論は尽くされた」と強調しているが、「議論は時間でなく質が大事。関心はあったが、何を話し合っているのか分からなかった」と批判した。

採決強行への抗議声明を発表する石河会長(右から2人目)ら=さいたま市で

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◆「違憲法案と今後も戦う」 埼玉弁護士会会長

 埼玉弁護士会の石河秀夫会長は十五日にさいたま市内で記者会見し、「国民の理解がまったく得られていない現段階で強行採決したことは、立憲主義と民主主義を破壊するものであって断じて許せない。政府の行為は暴挙だ」と抗議する談話を発表した。

 談話では、法案について「自衛隊が集団的自衛権の名の下にアメリカ軍その他の軍隊と一体となって戦闘行為に加担することを容認するものであって、憲法九条に明白に違反する」と指摘し、「これからも違憲の法案と徹底的に戦うことを宣言する」と結んだ。

 会見では、埼玉弁護士会の歴代会長有志二十七人による声明も発表された。「弁護士として憲法違反の法案に断固反対し、廃案を求める」と訴えている。これらの談話や声明は内閣や国会に送付する予定。 (堀祐太郎)

 

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