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 極彩色壁画で知られる奈良県明日香村の特別史跡、キトラ古墳(7世紀末~8世紀初め)の天文図が、古代中国王朝が都を置いた中原(ちゅうげん、黄河中流域)で観測された原図に基づき描かれた可能性の高いことがわかった。文化庁などが15日発表した。日本の天文技術史に一石を投じるものだ。

 天文図は石室天井に金箔(きんぱく)で68個の星座を描き、北極星を中心とした天体運行を、三重の同心円(内規、赤道、外規)や中心のずれた円(黄道〈こうどう〉)で示している。現存する世界最古の天文図とされる。

 今回、文化庁と奈良文化財研究所が、相馬充(みつる)・国立天文台助教(位置天文学)と中村士(つこう)・大東文化大東洋研究所兼任研究員(現代天文学)と共同研究。2人は個別に、精密なデジタル画像に基づいて原図の観測地・年代を分析。観測地は北緯34度付近の長安(ちょうあん、現西安市)や洛陽(らくよう、現洛陽市)などの可能性が高いことが判明した。