「海賊キッドの沈没船」 真偽めぐる論戦が勃発
2015年07月15日 21:22 発信地:アンタナナリボ/マダガスカル
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【7月15日 AFP】17世紀の悪名高い海賊「キャプテン・キッド(Captain Kidd)」ことウィリアム・キッド(William Kidd)の沈没船を発見したと主張しているドキュメンタリー番組制作チームのプロデューサーが15日、船発見の発表は誤りだったとする報告書を公表した国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)に反論した。
海洋考古学者のバリー・クリフォード(Barry Clifford)氏と共にドキュメンタリー番組を制作しているプロデューサーのサム・ブラウン(Sam Brown)氏はユネスコの報告書を「侮辱行為」と呼び、民間資本の調査活動に反対するユネスコの方針に動機づけられた内容だとの見解を示している。
クリフォード氏は今年5月、マダガスカル沖の海底でキッドが使用していた伝説的な海賊船「アドベンチャー・ギャリー(Adventure Galley)号」の残骸と、略奪品である50キロの銀の延べ棒を発見したと発表した。発表式典にはマダガスカルのヘリー・ラジャオナリマンピアニナ(Hery Rajaonarimampianina)大統領と英米の大使も出席した。
だが発表を受けて専門家をインド洋に派遣して調査を開始したユネスコは14日にクリフォード氏の主張を否定する報告書を発表。「銀」とされた延べ棒はただの鉛の重しで、沈没船とされているのは古い港の建築物のがれきだったと主張した。
これを受け、ブラウン氏はAFPに宛てた電子メールで、「ユネスコは可能なあらゆる手段を使ってバリー・クリフォード氏の名声を傷つけようとするだろう」「(ユネスコは)わずか4日未満しか潜水していない。しかも視界不良で、極めて疑問のある方法を用いていた」「地図や事前調査した資料は、キャプテン・キッドがこの地域に船を沈めたことをはっきりと示していた」と反論した。
また、ユネスコが鉛と判定した延べ棒について、ブラウン氏はクロフォード氏が「銀だと100%確信している」と述べ、「ユネスコチームが正しい沈没船を潜水調査していたのかすら疑問がある」と付け加えた。クリフォード氏らのチームは付近の海域で13隻の沈没船を発見したという。