韓国:対馬で盗難の仏像1体、日本に返還へ

毎日新聞 2015年07月15日 12時56分(最終更新 07月15日 13時53分)

 【ソウル米村耕一】2012年10月に長崎県対馬市で仏像2体が盗まれ韓国で発見された事件で、韓国検察は15日、うち1体の国指定重要文化財「銅造如来立像」を日本に返還することを決めた。日韓間の外交課題になっていた仏像の返還は、両国関係改善に向けた一歩になる。ただ、残る1体「観世音菩薩坐像」の返還は見通しが立っていない。

 韓国警察は13年1月に韓国人窃盗グループを摘発、2体とも確保したが、韓国の仏教界などから日本側への返還に反対する声が上がり、引き渡しに時間がかかっていた。「銅造如来立像」は朝鮮半島統一新羅時代に作られ、伝来したとされる。返還理由について、検察は「韓国内に所有権を主張する寺院や団体がないため」と説明した。

 一方、「観世音菩薩坐像」については韓国内の寺院が所有権を主張。裁判所からも移転禁止の仮処分が出ているため、「現段階では返還について決定していない」(韓国検察)という。「銅造如来立像」は16日にも日本側に引き渡される。

最新写真特集