鉈で襲い殺害 逮捕の弟、容疑認める/青森・平内町
Web東奥 7月15日(水)13時16分配信
14日夕に青森県平内町の杉林で無職清川勇治さん(70)=青森市佃2丁目=が殺害された事件で、青森署は15日未明、殺人容疑で逮捕した無職清川勇次郎容疑者(66)=同町狩場沢堀差=が、兄の清川さんを鉈(なた)で複数回切りつけて殺害したと発表した。清川さんの首や頭、顔には鉈による切り傷が多数あり、出血性ショックによって亡くなったとみられるという。捜査関係者によると、勇次郎容疑者は容疑を認めている。
同署や県警捜査1課によると、事件発生は午後5時ごろ。勇次郎容疑者が杉の伐採中、何らかの理由で清川さんと兄弟げんか、トラブルになったという。勇次郎容疑者は殺害後の同13分に平内交番に「兄が暴れている」と通報。状況と矛盾している内容だったとみられる。署員が駆けつけた時には清川さんは心肺停止の状態。勇次郎容疑者は作業着姿で、あおむけに倒れている清川さんのすぐそばで鉈を携帯し、近くにはチェーンソーもあったという。
鉈は木製の持ち手があり、全長40センチ。刃の長さは20センチ。血痕が付着していた。杉林は勇次郎容疑者が管理し、高さ3メートルほどの杉が整然と並んでいるという。
同署は清川さんの遺体を近く司法解剖して死因の特定を急ぐ。勇次郎容疑者への調べも続け、殺害動機について慎重に調べる方針。また、15日午前、現場の実況見分を行った。
逮捕容疑は14日午後5時ごろ、勇次郎容疑者方の南側の杉林内で、清川さんの顔や首などを鉈で切りつけ、出血性ショックによって殺害した疑い。
■「これでやった」鉈掲げうろうろ 事件直後の容疑者親族男性が証言
事件直後に現場の杉林に駆けつけた親族の男性は14日夜、本紙取材に、「(清川勇次郎容疑者が)鉈(なた)を提げていて、『これでやった』と言っていた」と明らかにした。勇次郎容疑者は当時、鉈を入れるケースを腰にぶら下げていたという。
親族男性は警察官とほぼ同じタイミングで現場に着いたが、倒れている清川さんを見て、手の施しようがないように感じたという。「(清川勇治さんが)ごろっとしていた。血は、たくさんというもんじゃない」。勇次郎容疑者は現場周辺をうろうろして、落ち着かない様子だったという。そのうち警察官と話し始めたが、会話の内容は聞き取れなかった。親族男性は清川さんに近づけず、救急隊員が心臓マッサージする様子を見ているほかなかった。
清川さんは最近、親族男性の自宅を訪問。山仕事に詳しいためか、「(勇次郎容疑者の)あんな木の切り方ではだめだ」とぼやいていたという。
「(清川さんは)兄弟の家のトタン屋根を直したりと、世話をいろいろやっていた」と親族男性。複数の付近住民によると勇次郎容疑者は、沿道の草刈りなど町内会の行事にまめに参加していたといい、「事件を起こすような人じゃない」「穏やかそうな人なのに…」と話していた。
東奥日報社
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