トップページ文化・エンタメニュース一覧ライオンキング1万回 長く続く秘密は
ニュース詳細

ライオンキング1万回 長く続く秘密は
7月15日 13時59分

ライオンキング1万回 長く続く秘密は
k10010151431_201507151355_201507151358.mp4
日本の演劇史上、類を見ないロングランを続ける劇団四季のミュージカル「ライオンキング」
15日、上演回数1万回という大記録を達成します。人々をここまで引きつける秘密とはいったい何なのでしょうか。

“悩んだときに元気をもらう”

「ライオンキング」は、動物たちの王国「プライド・ランド」の王子として生まれたライオンのシンバが、仲間に支えられながら王になるまでの成長の物語を描いたミュージカルです。日本では17年前に初めて上演され、これまで延べ1000万人以上の観客を集めました。
劇団に寄せられたおよそ1万3000通のアンケートには、「舞台から力をもらった」といったことばが並びます。
金井美帆さんは、学生時代に進路に迷ったり、社会人になって職場での人間関係に行き詰まったりしたときに劇場に足を運びました。金井さんが特に気に入っている歌が「ハクナマタータ」です。父を殺され、絶望のふちにあったシンバが仲間に励まされ、明るく生きていこうと決意したときに力強く歌い上げます。金井さんは「『心配ないさ』という歌詞を聞くとフッと自分の悩みもなくなります」と話します。

大切な人とのつながりを再確認

作品に亡き父への思いを重ねる人もいます。埼玉県に住む北條理弥さんは、小学生のときから家族と一緒に何度も劇場を訪れました。しかし、5年前、父親の精助さんを突然の病で亡くしました。家族で「ライオンキング」を見た5日後のことでした。父親との思い出で印象に残っているのが、シンバが父の死を乗り越え、王になると決意する場面です。
北條さんは「最後に見たときの父の表情が忘れられません。前のめりで見てすごく喜んでいたんです。この場面を見ると、父が『私たちもこのままじゃだめだよ』と言ってくれているような気がします。家族の絆をより深めてくれる作品です」と話します。

1万回への道のり演じる側は

ライオンキングが、多くの人々を引きつける秘密の1つが厳しい俳優の鍛錬です。劇団四季では1つの役に複数の俳優が当てられ、頻繁に入れ替えが行われます。そのとき、最もすぐれた演技ができる役者を舞台に立たせるためです。
10年近く主役のシンバを演じ続ける田中彰孝さん。劇団四季を代表する俳優の1人ですが、毎回、開演の3時間前には基礎的な練習を念入りに行います。
田中さんには苦い経験があります。必死の稽古の末に劇団に入り、2年後にシンバ役を手にしましたが、初めて舞台に立ったその日に役を降ろされたのです。それ以来、田中さんは、演出家や先輩の俳優から受ける厳しい指摘をすべてノートに書き留め、何度も見返しながら稽古に打ち込みました。

「10年演じたからといって簡単にできるものではない。1回、1回、自分の役者を賭けて演じています。お客さんが来てくれることにあぐらをかいてはだめです。ライオンキングの火を絶やすことなく、なんとかこの作品を守って、光らせようと日々頑張っています」(田中さん)

多くの観客の思いや俳優の熱意を糧に「ライオンキング」のロングランは続きます。

関連ニュース

k10010151431000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ