STAFF BLOG
最終回 『渚にて』
2015/07/15
最終話現場終了後、仕事で群馬まで行く機会があった為、そのまま実家もとい、すばるの家に1泊してきました。
最終回で登場したすばるの家の玄関。
そして、キッチン周り。
実は美術設定でもそうなっていますが、この家のリビングは吹き抜けの作りになっています。
外観も作中同様レンガ作りに。
実際は煙突がある家なのですが、監督からは『却ってアニメすぎるからなしに』と言われてしまいました。
いや、もう使ってないけど、リアルにあるんですよ......。ほら、からっ風で寒いし群馬。
自分の実家がキャラクターの家になるなんて、素敵な経験をさせて頂きました!
あ......以前にも申し上げましたが、見かけても心の内に閉まっておいてくださいね。
そして、いよいよ最終話本編です。
すばる達の追いかける最後のカケラはなんとブラックホールの中に。
こちらのブラックホールの重力レンズですが、どうアニメーションで表現していくかと頭を悩ませていた矢先、宇宙考証にご協力を頂いているヴェイサエンターテイメントの武田さんから、「丁度ブラックホールの光の曲がり具合を計算した数表が、(なぜか別件で、他の用途につかってもいいですよという条件で)手に入った」とのご連絡が!
吉祥寺トロンの小宮さんを交えて相談した結果、この表現は、幾つか工夫をすればアフターエフェクトのプラグインでも可能ではないかということが分かり、アニメーションの撮影環境でもいじれる用なアフターエフェクトのシーン構成を作成して頂きました。
これにより、当初イメージしていた以上の映像に仕上がったのではないかと思います。
ブラックホールの回りで形成されている降着円盤。
実際の円盤は数億度という超高温で、強烈なX線を発しているとのこと。人間の目どころか、耐えられる観測器もないそうです。
今回は自然のブラックホールでもないわけで、可視光でよく見えるような、せいぜい数万度程度の降着円盤であると仮定した場合、温度の高い中心部が白、温度の低い周辺が黄色~赤になるそうです。
日常生活では、赤く光りだすと、温度が高くなるという印象ですが、数万度~数千度の世界では、高温は白や青に。低温の方が赤系統の色になります。
また、円盤の回転により、遠ざかる方向は赤方偏移の影響で赤みがかり、手前に近づいて見える方向は青方偏移でやや青みがかって見えるようです。
2話で会長も言っていた赤方偏移ですね!
こうしてブラックホールのやりとりを重ねて行く中、重力レンズとブラックホール部分の3Dを担当してくださった小宮さんからも個人的な興味という質問で「ホーキング放射」に関しての質問も飛び交い、最終話だけに限らず、各アニメスタッフからの宇宙への探求心から作品が出来上がっていきました。
そして、ようやく会長の宇宙船全貌がお目見えできました。
こちらはエヴァンゲリオンキャラクターデザインでもおなじみの貞本さんのデザインです。
ちなみにこちらがデザイン画の一部。
よーく見てみると、何かを彷彿とさせるデザインに!
何に見えるからは本編をずっとご覧になって下さっている皆様なら気づいている......はず!
また、宇宙船の表面はスターデストロイヤーのような装甲に! っと、指示がありました。
こちらのディティールアップはメカ作監の村松さんとコンテ演出でもご参加されていた吉田さんが担当して下さいました。
カケラを無事に回収した一行は原始の地球へと向かっていきました。
こちらの生命の樹、美術上がりを頂いた瞬間息を飲む美しさ。
場所によって色合いが違っており、映像だとPANDOWNしているのですが、縦長の1枚絵として表示するとさらに圧倒されます。
すばる達の色味も普段のノーマルより、やや紫に。
キャラクターのいる位置から考えると緑色の部分にいる為、キャラも緑に染まりますが、ここはあえて紫よりの色に。
加藤さんの美術は紫が美しいからキャラも紫よりがマッチすると思う! という色彩設計吉村さんのこだわりポイントでもありました。
原始の地球の渚から夕陽を眺めて眠りにつくすばるとみなと。
そういえば、火星の日中の空は赤く、夕日は青いと言いますが、それは大気の空気が薄くて細かいダストが飛んでいるからだそうです。となると、40億年前の地球も空気が薄い為、火星のように青くなるのでは? という話合いもされました。
しかし、実際のところ、40億年前の地球の場合は、火星の空ともまた違って、まだ酸素も無く、二酸化炭素などの大気がずっと濃かったために青空ではなく赤っぽい空になっていたと考えられているそうです。
まだ観測されていない星同様、原始の地球ももちろん記録として残っているわけではないため、このシーンでも想像をフルに回転させて画面を構築しました。
また、この皆のお別れシーン一連の描写はこの話数の一番の盛り上がりということで、撮影さんもこのシーンに力を注いでくださいました!
ここからは原画のご紹介です。
みなとを絶対に幸せにすると誓うすばる。
このシーンはプレアデスでも度々みなととすばるのシーンを担当して下さった池森さんが原画担当をして下さっています。
アフレコ時、すばるの両親役の佐藤利奈さんと加藤将之さんがブース横で出演シーンが来る間、他のキャストさんが収録している映像をご覧になっていたのですが、このシーンが来た瞬間のお二人のリアクションは本当にすばるのご両親だと微笑ましく思いました。
両親にもばっちり見られていましたね、すばる。
すばるを抱きかかえくるくる回るすばるとみなと。
このシーンは梅下さんのカット。
梅下さんはなにかとツノマントを担当される事が多かった様子。
一枚一枚2人の回転も作画されていて、とても丁寧に原画されていました!
ななことプレアデス星人のお別れのシーン。
ここは空賀さんのカット。
空賀さんは8話のBパートの作監も担当されていました!
このシーンは制作サイドでもグッとくるシーンでしたね。
最後は皆のお別れのシーンです。
ここは南方さんが担当してくださっていました!
南方さんは5話でも木野下さんと2人原画を担当してくださっていたアニメーターさんです。
アフレコ時に監督から、卒業式のイメージでと指示がされていました。
最後にご紹介した上記の社内の原画スタッフ達の底力には本当に圧倒されっぱなしでした。
もちろん、本当に沢山のスタッフさん一人一人が愛情を注いでくださって、最終話まで作りきることが出来たと思います。
こちらでご紹介しきれなかったセクションやスタッフさん等まだまだいらっしゃいましたが、ひとまず、1話から12話までの各話解説は以上になります。
皆様ここまでお付き合い下さり、そして、放課後のプレアデスを応援して下さり、本当にありがとうございました。
次回は後日談やTeNQさんへ見学に行った話など、少しご紹介できたらなと思います。
では、また次回お会いしましょう~。
そして、キッチン周り。
実は美術設定でもそうなっていますが、この家のリビングは吹き抜けの作りになっています。
実際は煙突がある家なのですが、監督からは『却ってアニメすぎるからなしに』と言われてしまいました。
いや、もう使ってないけど、リアルにあるんですよ......。ほら、からっ風で寒いし群馬。
自分の実家がキャラクターの家になるなんて、素敵な経験をさせて頂きました!
あ......以前にも申し上げましたが、見かけても心の内に閉まっておいてくださいね。
そして、いよいよ最終話本編です。
すばる達の追いかける最後のカケラはなんとブラックホールの中に。
吉祥寺トロンの小宮さんを交えて相談した結果、この表現は、幾つか工夫をすればアフターエフェクトのプラグインでも可能ではないかということが分かり、アニメーションの撮影環境でもいじれる用なアフターエフェクトのシーン構成を作成して頂きました。
これにより、当初イメージしていた以上の映像に仕上がったのではないかと思います。
実際の円盤は数億度という超高温で、強烈なX線を発しているとのこと。人間の目どころか、耐えられる観測器もないそうです。
今回は自然のブラックホールでもないわけで、可視光でよく見えるような、せいぜい数万度程度の降着円盤であると仮定した場合、温度の高い中心部が白、温度の低い周辺が黄色~赤になるそうです。
日常生活では、赤く光りだすと、温度が高くなるという印象ですが、数万度~数千度の世界では、高温は白や青に。低温の方が赤系統の色になります。
また、円盤の回転により、遠ざかる方向は赤方偏移の影響で赤みがかり、手前に近づいて見える方向は青方偏移でやや青みがかって見えるようです。
2話で会長も言っていた赤方偏移ですね!
こうしてブラックホールのやりとりを重ねて行く中、重力レンズとブラックホール部分の3Dを担当してくださった小宮さんからも個人的な興味という質問で「ホーキング放射」に関しての質問も飛び交い、最終話だけに限らず、各アニメスタッフからの宇宙への探求心から作品が出来上がっていきました。
こちらはエヴァンゲリオンキャラクターデザインでもおなじみの貞本さんのデザインです。
ちなみにこちらがデザイン画の一部。
何に見えるからは本編をずっとご覧になって下さっている皆様なら気づいている......はず!
また、宇宙船の表面はスターデストロイヤーのような装甲に! っと、指示がありました。
こちらのディティールアップはメカ作監の村松さんとコンテ演出でもご参加されていた吉田さんが担当して下さいました。
カケラを無事に回収した一行は原始の地球へと向かっていきました。
場所によって色合いが違っており、映像だとPANDOWNしているのですが、縦長の1枚絵として表示するとさらに圧倒されます。
すばる達の色味も普段のノーマルより、やや紫に。
キャラクターのいる位置から考えると緑色の部分にいる為、キャラも緑に染まりますが、ここはあえて紫よりの色に。
加藤さんの美術は紫が美しいからキャラも紫よりがマッチすると思う! という色彩設計吉村さんのこだわりポイントでもありました。
そういえば、火星の日中の空は赤く、夕日は青いと言いますが、それは大気の空気が薄くて細かいダストが飛んでいるからだそうです。となると、40億年前の地球も空気が薄い為、火星のように青くなるのでは? という話合いもされました。
しかし、実際のところ、40億年前の地球の場合は、火星の空ともまた違って、まだ酸素も無く、二酸化炭素などの大気がずっと濃かったために青空ではなく赤っぽい空になっていたと考えられているそうです。
まだ観測されていない星同様、原始の地球ももちろん記録として残っているわけではないため、このシーンでも想像をフルに回転させて画面を構築しました。
また、この皆のお別れシーン一連の描写はこの話数の一番の盛り上がりということで、撮影さんもこのシーンに力を注いでくださいました!
ここからは原画のご紹介です。
このシーンはプレアデスでも度々みなととすばるのシーンを担当して下さった池森さんが原画担当をして下さっています。
アフレコ時、すばるの両親役の佐藤利奈さんと加藤将之さんがブース横で出演シーンが来る間、他のキャストさんが収録している映像をご覧になっていたのですが、このシーンが来た瞬間のお二人のリアクションは本当にすばるのご両親だと微笑ましく思いました。
両親にもばっちり見られていましたね、すばる。
このシーンは梅下さんのカット。
梅下さんはなにかとツノマントを担当される事が多かった様子。
一枚一枚2人の回転も作画されていて、とても丁寧に原画されていました!
ここは空賀さんのカット。
空賀さんは8話のBパートの作監も担当されていました!
このシーンは制作サイドでもグッとくるシーンでしたね。
ここは南方さんが担当してくださっていました!
南方さんは5話でも木野下さんと2人原画を担当してくださっていたアニメーターさんです。
アフレコ時に監督から、卒業式のイメージでと指示がされていました。
最後にご紹介した上記の社内の原画スタッフ達の底力には本当に圧倒されっぱなしでした。
もちろん、本当に沢山のスタッフさん一人一人が愛情を注いでくださって、最終話まで作りきることが出来たと思います。
こちらでご紹介しきれなかったセクションやスタッフさん等まだまだいらっしゃいましたが、ひとまず、1話から12話までの各話解説は以上になります。
皆様ここまでお付き合い下さり、そして、放課後のプレアデスを応援して下さり、本当にありがとうございました。
次回は後日談やTeNQさんへ見学に行った話など、少しご紹介できたらなと思います。
では、また次回お会いしましょう~。