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878号 掲載記事
大型連敗はチーム成績にはむろんのこと、観客動員にも大きな影響を及ぼすものなのだ。
photograph by YDB
Real Story of 球団経営

連載第5回
「“負け”と向き合う経営論」

池田純 = 文

text by Jun Ikeda

photograph by YDB

選手が見たい時に見られる映像分析システムを構築。

 こうして意識統一を図ったうえで、常に前を向き、課題と対策を考えるための仕組みづくり、環境づくりが大切です。

 その一つが各種の映像配信・映像データベース・映像分析システムの構築です。スタジアムのロッカールームなどにモニターを多数設置し、選手自身や相手チーム、はては二軍の試合の映像をいつでも見られるようにしたのに加え、iPadを配布して映像をフル活用した分析システムを各自が操れる環境を整備しています。これにより、負けた試合のどこに課題があったのかなどを自分の目と脳みそで確認でき、必然的に、課題を捉え、対策を議論する環境をつくっています。

 このような仕組みづくりを通して、課題を明確化する文化や習慣をチームに根付かせていく。こうした経営サイドが長けた能力と現場の力を融合させ、年単位で積み重ねることで組織力が強固になり、できるだけ連敗しない、したとしても早期に修正できるプロの野球チームになっていくことができると考えています。「連勝>連敗」は、経営上も重要な意義があります。7連敗中に迎えた阪神戦は、観客動員2万5000人と試算していましたが、実際は2万2000人に届きませんでした。好調時なら「野球でも観に行く?」と誘い合って球場に来るはずのライト層を取り込めず、3000程度の誤差が生じたのです。3年で顧客基盤が大幅に拡大し観客動員が伸びたとはいえ、やはり勝つことは非常に重要です。

 勝つために、経営側だからできること。それは、負けを最大限に有効活用し、そこから学び着実に成長できる組織づくりと仕組みづくりだと考えています。

(構成:日比野恭三)

※この記事の掲載は7月下旬までの期間限定となっております。

池田純さん池田純 Jun Ikeda1976年生まれ。早稲田大を卒業後、住友商事、博報堂を経て'07年にDeNA入社。執行役員、関連会社社長を務め、'11年12月より現職。現在、12球団最年少の球団社長である。
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