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874号 掲載記事
これまで他球団でも前例のない開幕6連戦でのヘルメット配布は大きな話題となった。
photograph by YDB
Real Story of 球団経営

連載第3回
「春先のチケットをどう売るか」

池田純 = 文

text by Jun Ikeda

photograph by YDB

ターゲットは女子以上に30~40代のサラリーマン!?

 経営的に好調なスタートを切れる見通しが立ったとはいえ、開幕6連戦の後の4月そして5月が安泰とは決して言えません。実は例年、観客数が最も落ち込みやすいのが春先の時期なのです。

 私たちは戦略ターゲットを「アクティブ・サラリーマン」と定義しています。30~40代で働き盛り、仕事が終わってからもアクティブに行動する彼らに球場に来てもらいたい。しかし年度の変わり目である4月は、まだ野球熱が温まっていないうえに気温も低く、歓迎会などのイベントも忙しいため、野球観戦の時間を優先してもらうのが難しいのです。

ライトユーザーを増やすことが、経営の基盤拡大に。

 そこで、空席が出やすいこの時期を、未来の顧客を創出する機会として有効活用したいと考えています。たとえば、球場に来たことのない子どもたちを無料で招待し、同伴する親にはチケットを購入してもらうという方法もその一つです。先ずは「生」で試合を観戦する楽しみを知ってもらうことが、自発的にチケットを買って球場に来てもらうことにつながるという調査結果も出ています。こうした顧客の裾野を広げる施策を通して、年2~3回、野球観戦するライトユーザーを増やしていくことが、球団経営の基盤拡大となり安定化につながっていきます。

 もちろん何より大切なのは、チームの勝利です。常に上位を争い、横浜とファンの期待値を高め続けられれば、昨年の観客動員数156万人を超え、新たなステージへ進むことができると思います。

(構成:日比野恭三)

※この記事の掲載は7月下旬までの期間限定となっております。

池田純さん池田純 Jun Ikeda1976年生まれ。早稲田大を卒業後、住友商事、博報堂を経て'07年にDeNA入社。執行役員、関連会社社長を務め、'11年12月より現職。現在、12球団最年少の球団社長である。
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