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伊方原発3号機の審査書を決定7月15日 17時24分
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愛媛県にある伊方原子力発電所3号機について、原子力規制委員会は、安全対策が新しい規制基準に適合しているとする審査書を、15日午前の会合で決定しました。審査書の決定は、鹿児島県の川内原発などに次いで全国で3か所目です。
原子力規制委員会は、ことし5月、伊方原発3号機の安全対策が新しい規制基準に適合し、事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめ、30日間にわたって一般から意見を募集しました。
15日の規制委員会の定例会合では、寄せられた意見を踏まえて、結論は変えない形で表現の一部を修正した審査書が示され、委員全員が「異論はない」として全会一致で決定しました。
一般から寄せられた、地震の揺れの想定が甘いとか水素爆発を防ぐ対策が不十分なおそれがあるなどの意見に対しては、四国電力の想定や対策は適切だと審査で確認したとしています。
伊方原発3号機は、新基準が施行された直後のおととし7月に審査の申請が出された6つの原発のうちの1つで、審査書の決定は鹿児島県の川内原発と福井県の高浜原発に次いで3か所目です。
ただ今後、詳しい設備の設計を記した工事計画などの認可や完成後の設備の検査、それに地元の同意が必要なため、四国電力が目指す再稼働は、早くてこの冬以降になるとみられます。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、記者会見で、審査の申請から審査書の決定まで2年を要したことについて、「地震の揺れの想定などについて、いろいろな考え方や意見があり、拙速ではなく、できるだけ最善の知見で議論をまとめることに時間を要したと思う」と述べました。
効率が悪いのではないかという指摘があることに対しては、「新しい規制に変わり、重大事故や地震・津波の対策など今までほとんど議論されてこなかったことを根本から議論し直しているので、従来の審査の期間と比べること自体があまり適切ではない。審査の申請が多く出ているのでいかに進めていくかはしばらく続く大きな試練だと思う」と述べました。
15日の規制委員会の定例会合では、寄せられた意見を踏まえて、結論は変えない形で表現の一部を修正した審査書が示され、委員全員が「異論はない」として全会一致で決定しました。
一般から寄せられた、地震の揺れの想定が甘いとか水素爆発を防ぐ対策が不十分なおそれがあるなどの意見に対しては、四国電力の想定や対策は適切だと審査で確認したとしています。
伊方原発3号機は、新基準が施行された直後のおととし7月に審査の申請が出された6つの原発のうちの1つで、審査書の決定は鹿児島県の川内原発と福井県の高浜原発に次いで3か所目です。
ただ今後、詳しい設備の設計を記した工事計画などの認可や完成後の設備の検査、それに地元の同意が必要なため、四国電力が目指す再稼働は、早くてこの冬以降になるとみられます。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、記者会見で、審査の申請から審査書の決定まで2年を要したことについて、「地震の揺れの想定などについて、いろいろな考え方や意見があり、拙速ではなく、できるだけ最善の知見で議論をまとめることに時間を要したと思う」と述べました。
効率が悪いのではないかという指摘があることに対しては、「新しい規制に変わり、重大事故や地震・津波の対策など今までほとんど議論されてこなかったことを根本から議論し直しているので、従来の審査の期間と比べること自体があまり適切ではない。審査の申請が多く出ているのでいかに進めていくかはしばらく続く大きな試練だと思う」と述べました。
四電「まだファーストステージ」
審査書の決定を受けて、四国電力の玉川宏一常務が原子力規制委員会を訪れ、再稼働に必要な3つの許認可のうち「設置変更許可」の許可書を受け取りました。
玉川常務は記者団に対し、「今回許可を頂いたが、まだファーストステージなので、これからもしっかりやっていきたい」と述べました。
審査の申請から2年かかったことについては、「今回のような規制は日本で初めてなので、当然という思いがあり、地震対策の元になる基準地震動がなかなか決まらなかったことも致し方ないと考えている」と述べ、地震対策など新規制基準への対応に苦慮したという認識を示しました。
今後、地元で安全対策などの説明会を開くかという質問に対しては、「従来どおり、一戸一戸訪問して説明するので、説明会の開催は考えていない」と答えました。
審査書が正式に決定されたことで、今後、地元自治体の再稼働への同意の判断が焦点になります。
玉川常務は記者団に対し、「今回許可を頂いたが、まだファーストステージなので、これからもしっかりやっていきたい」と述べました。
審査の申請から2年かかったことについては、「今回のような規制は日本で初めてなので、当然という思いがあり、地震対策の元になる基準地震動がなかなか決まらなかったことも致し方ないと考えている」と述べ、地震対策など新規制基準への対応に苦慮したという認識を示しました。
今後、地元で安全対策などの説明会を開くかという質問に対しては、「従来どおり、一戸一戸訪問して説明するので、説明会の開催は考えていない」と答えました。
審査書が正式に決定されたことで、今後、地元自治体の再稼働への同意の判断が焦点になります。
審査の焦点は地震の揺れの強さ
伊方原発3号機の審査では、原発周辺で想定される最大の地震の揺れの強さ「基準地震動」が焦点となりました。
四国電力は当初、北側およそ8キロの距離にある中央構造線断層帯を震源とする地震によって、最大で570ガルの揺れを想定していましたが、審査では断層の長さの評価などを巡り想定が甘いという指摘が相次ぎました。
このため、54キロとしていた断層の長さを複数の断層が連動して動いた場合を想定して最大480キロに延ばしたうえで、不確かさがあることも考慮して地震の揺れを計算し直し、650ガルまで引き上げました。
こうした見直しの中で、すでに完成していた事故の対応拠点「緊急時対策所」の耐震強度が不足したため、1号機のすぐ東側に新しい緊急時対策所を建設したほか、配管の大規模な補強工事も必要になりました。補強工事はこの秋まで行われる予定です。
想定される最大の津波の高さも当初の海抜4メートルからおよそ8メートルに引き上げ、ポンプがある海側の建物に「水密扉」と呼ばれる海水の侵入を防ぐ密閉性の高い扉を設置するなどの対策を取りました。また、重大事故への備えとして空冷式の非常用発電機を新たに配備したほか、原子炉や格納容器に注水するポンプや格納容器内の水素爆発を防ぐため水素と酸素を反応させて水に変える装置なども設置しました。
一方、今回の審査は、四国電力が3号機の再稼働を優先するとして1号機と2号機を稼働させないことが前提になっています。今後1号機と2号機の審査が申請された場合、1号機のそばに作った緊急時対策所での被ばく評価や複数の原子炉で事故が起きた場合の体制や手順など3号機の一部の審査はやり直す必要があります。
四国電力は当初、北側およそ8キロの距離にある中央構造線断層帯を震源とする地震によって、最大で570ガルの揺れを想定していましたが、審査では断層の長さの評価などを巡り想定が甘いという指摘が相次ぎました。
このため、54キロとしていた断層の長さを複数の断層が連動して動いた場合を想定して最大480キロに延ばしたうえで、不確かさがあることも考慮して地震の揺れを計算し直し、650ガルまで引き上げました。
こうした見直しの中で、すでに完成していた事故の対応拠点「緊急時対策所」の耐震強度が不足したため、1号機のすぐ東側に新しい緊急時対策所を建設したほか、配管の大規模な補強工事も必要になりました。補強工事はこの秋まで行われる予定です。
想定される最大の津波の高さも当初の海抜4メートルからおよそ8メートルに引き上げ、ポンプがある海側の建物に「水密扉」と呼ばれる海水の侵入を防ぐ密閉性の高い扉を設置するなどの対策を取りました。また、重大事故への備えとして空冷式の非常用発電機を新たに配備したほか、原子炉や格納容器に注水するポンプや格納容器内の水素爆発を防ぐため水素と酸素を反応させて水に変える装置なども設置しました。
一方、今回の審査は、四国電力が3号機の再稼働を優先するとして1号機と2号機を稼働させないことが前提になっています。今後1号機と2号機の審査が申請された場合、1号機のそばに作った緊急時対策所での被ばく評価や複数の原子炉で事故が起きた場合の体制や手順など3号機の一部の審査はやり直す必要があります。
全国の原発 審査申請状況は
原発の再稼働の前提となる審査の申請は15日までに伊方原発を含め、全国の15原発25基で行われました。
「PWR=加圧水型」と呼ばれる伊方原発と同じタイプが7原発15基、「BWR=沸騰水型」と呼ばれる福島第一原発と同じタイプが8原発10基です。
このうち、「新しい規制基準に適合している」と判断された原発は、川内原発1号機と2号機、福井県にある関西電力の高浜原発3号機と4号機、それに15日の伊方原発3号機のいずれもPWRです。
川内原発1号機は、九州電力が今月、原子炉に核燃料を入れ、来月の再稼働を目指しているほか、2号機は10月の再稼働を目指して原子力規制委員会による検査を受けています。
高浜原発3号機と4号機は設備の詳しい設計の認可に向けた手続き中で、関西電力は11月に再稼働するという計画を示していますが、ことし4月、福井地裁から再稼働を認めない仮処分の決定が出され、決定が覆らなければ再稼働はできません。高浜原発の仮処分決定が覆らない場合は、伊方原発の再稼働が先になる可能性があります。
このほか、同じPWRの佐賀県にある九州電力の玄海原発の3号機と4号機、福井県にある関西電力の大飯原発3号機と4号機は、地震や津波の想定が妥当とされ、審査は終盤に入っています。
それ以外の原発では地震や津波の想定や安全対策を巡って議論が続き、審査が終わるめどは立っていません。
「PWR=加圧水型」と呼ばれる伊方原発と同じタイプが7原発15基、「BWR=沸騰水型」と呼ばれる福島第一原発と同じタイプが8原発10基です。
このうち、「新しい規制基準に適合している」と判断された原発は、川内原発1号機と2号機、福井県にある関西電力の高浜原発3号機と4号機、それに15日の伊方原発3号機のいずれもPWRです。
川内原発1号機は、九州電力が今月、原子炉に核燃料を入れ、来月の再稼働を目指しているほか、2号機は10月の再稼働を目指して原子力規制委員会による検査を受けています。
高浜原発3号機と4号機は設備の詳しい設計の認可に向けた手続き中で、関西電力は11月に再稼働するという計画を示していますが、ことし4月、福井地裁から再稼働を認めない仮処分の決定が出され、決定が覆らなければ再稼働はできません。高浜原発の仮処分決定が覆らない場合は、伊方原発の再稼働が先になる可能性があります。
このほか、同じPWRの佐賀県にある九州電力の玄海原発の3号機と4号機、福井県にある関西電力の大飯原発3号機と4号機は、地震や津波の想定が妥当とされ、審査は終盤に入っています。
それ以外の原発では地震や津波の想定や安全対策を巡って議論が続き、審査が終わるめどは立っていません。