注目の商品

コラム:イラン核協議合意は原油安・円高を招くか=斉藤洋二氏

2015年 07月 14日 16:59 JST
 
  • Mixiチェック

斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表

[東京 14日] - 国連安保理常任理事国(米英仏中ロ)にドイツを加えた「P5プラス1」は4月2日、イランとの間で同国の核開発を制限する代わりに経済制裁を解除する「枠組み合意」に達した。それ以降、査察や制裁解除の詳細などに関する協議が続けられてきたが、7月14日ようやく最終合意に達したと報じられた。

これによって、中東における核拡散に歯止めをかけることが期待されるほか、制裁解除を受けて、石油輸出国機構(OPEC)3位の産油国であるイランの原油産出量が増大すると予測されている。すでにイランと石油メジャーが今後の増産計画について協議を行っていると伝えられるなど、最終合意前からイランの資源をめぐる動きは活発化していた。

では、対イランの制裁解除によって、原油価格のさらなる下落はあるのだろうか。以下、今後の原油相場と円相場への影響について考えてみた。

<15ドル下落との予想も>

周知の通り、イランは石油・ガスのエネルギー資源大国であり、2013年末では石油埋蔵量は世界4位、天然ガスは世界1位と言われている。ただ、既存油田の老朽化が進んでおり、先進テクノロジー導入による生産拡充が課題となっている。したがって、制裁解除を受けて、ガス田の補修や新規開発、液化天然ガス(LNG)プロジェクトなどが一気に動き出すのではないかとの期待が高まっている。

主要な銀行や証券会社の石油アナリスト25人を対象にロイターが実施した調査(7月1日公表)によれば、制裁解除後、イランの原油輸出量は1年以内に最大60%増加する見通しだという。同国のザンギャネ石油相は、失った市場を即座に取り戻すことは可能と発言したと伝えられている。

もしこれが本当ならば、原油価格の下押し要因となるのは明白だ。米エネルギー情報局(EIA)の分析では、対イランの制裁解除は、同国の増産(2016年末までに日量70万バレル)と在庫(約3000万バレル)の販売を可能にすることから、2016年の原油価格を1バレルあたり5ドルから15ドル引き下げる効果があるという。   続く...


 
 
各チャートをクリックすると詳細チャートにジャンプします。為替情報は10分ごとに更新されており、約10分前の相場を表示しています。

この記事に対する皆さんのコメントをお寄せください

コメント投稿の注意
blog comments powered by Disqus

注目の商品

 7月14日、ネクスト経済研の斉藤洋二氏は、イラン核協議合意で同国の国際石油市場復帰が可能になれば原油相場下落は必至だが、日本の貿易収支改善見通しを理由に円高に作用するとは限らないと指摘。提供写真(2015年 ロイター)
*統計に基づく世論調査ではありません。

外国為替フォーラム

写真
イラン核合意は円高招くか

核協議合意を受けてイランが石油市場に復帰すれば、為替相場に波乱が起こる恐れがあるとネクスト経済研の斉藤洋二氏は分析。  記事の全文 

 
写真
介入が導く中国株式市場の死

なりふり構わぬ中国政府の株価テコ入れ策は市場原理の否定であり、中国株式市場の死を意味しかねないと武者陵司氏は指摘。  記事の全文 

 
ギリシャ悲劇は防げるか=田中理氏
 
中国バブル崩壊は序章=山口曜一郎氏
 
ギリシャ残留なら独離脱も=嶋津洋樹氏
 
ギリシャ瀬戸際外交敗北へ=熊野英生氏