【北京=大越匡洋】中国国家統計局は15日、2015年4~6月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前年同期比7.0%増えたと発表した。成長率は1~3月期から横ばいだった。金融緩和など景気下支え策を動員し、今年の政府目標である「7%前後」の成長を維持した。ただ最近の株価の乱高下が消費などに悪影響を与える恐れがあり、先行きの不透明感は晴れない。
中国人民銀行(中央銀行)が昨秋から6月まで4回、利下げするなど金融を緩和し、中国政府も地方のインフラ整備の加速で景気の下支えを強めている。4~6月の成長率は前期比では1.7%。1~3月の1.3%から伸びは拡大した。
国家統計局の盛来運報道官は15日の記者会見で「積極的な政策対応により、成長速度が鈍るなかで安定を実現した」と述べ、年後半に景気が持ち直す可能性が高いとの認識を示した。株価の動揺に関しては「中国政府は地域やシステムのリスクを防ぐ能力がある」と述べ、景気への影響については答えなかった。
4~6月の成長率は日本経済新聞社と日経QUICKニュースが共同で実施した市場調査の平均(6.9%)を上回った。調査では15年通年は6.9%と予測している。GDPと別に発表された一般経済統計をみると、景気の下振れ圧力がなお強いことがうかがえる。
1~6月の不動産開発投資は前年同期に比べ4.6%増と、伸びが1~3月(8.5%増)から大きく鈍った。1~6月の不動産販売額は10%増と1~3月の9%減から増加に転じたが、在庫をさばくのが中心で、新たな投資につながっていない。建設・設備投資の傾向を示す固定資産投資も1~6月は11.4%増と、1~3月(13.5%)よりも伸びは縮小した。
生産も伸び悩んでいる。1~6月の工業生産は6.3%増えたが、1~3月の6.4%増から伸びが鈍化した。6月単月の工業生産は前年同月比6.8%増と5月の6.1%増に比べて伸びが加速した。足元で持ち直しの兆しもみえるが、卸売価格の下落が足かせだ。
消費動向を示す社会消費品小売総額(小売売上高)は1~6月に前年同期比10.4%増と、1~3月(10.6%)から伸びが鈍った。底堅さはあるが、6月以降の株価の急落が今後の個人消費に影を落とす。
GDP、習近平、中国国家統計局、投資、李克強