さまざまな価値観が集い、新しいメディアが生まれる。そのリアルな現場とは――。
朝9時頃にはライターさんから届く記事を編集してサイト更新、その後取材や会見に行き、その記事を午後から夜にかけて仕上げます。ニュース記事を書いたり、サイト更新したりといった作業は随時です。携帯系の場合、大きな発表が午後2時・3時にあることが多いので、午後は忙しいですね。夜は遅くて、大抵終電です。
1日で書く記事の量は、ニュース記事や統計記事などの短めのものを3〜5本、発表会や取材記事など長めの記事を1本くらいです。
まだまだ私は記事を書くのが遅いほうなので、それほどでもないですよ。
昔から文章を書くのは好きだったので、記事を書く仕事は楽しいです。今この仕事に就くことができて、自分が書いたものをたくさんの人に読んでもらえる、ということには、やりがいを感じています。
また、誰よりも新しい情報に触れられて、普通なら会えない人にも直接会って話が聞ける。これもメディアの仕事をしていてよかった、と思えるところです。
Webニュースの場合、写真撮影も記事を書くのもすべて自分ひとりです。実は写真を撮るのが趣味なので、これも好きなことを仕事にできているかな。
でも、慣れるまではなかなか大変でした。たとえば取材記事では、本当は話している様子を写真に撮りたいのに、自分が写真を撮っている間は相手は黙っているので、なかなか自然なカットが撮れないんですよね。
取材先はいろいろです。たとえば“おさいふケータイ”について書くときには、携帯キャリアはもちろん、コンビニ業界、また電子マネーとマイレージを絡めて展開している航空業界など、普段ITとはあまり関わりのない業界にも取材に行きます。
取り扱うコンテンツの性格上、社長などのトップの方を取材することも多いです。最初の頃はさすがに物怖じしていましたよ。でも聞くほうがそれではいけない、と思い、できるだけ堂々としているように心がけています。はったりでも、ね(笑)。
質の高い個人Webサイトはたくさんあります。そことどう差別化していくか、商業サイトの記者はそこを問われます。
質の高い情報を発信する、というのはもちろんですが、一番重要なのは、間違いや、嘘の情報を発信しないように心がけることではないでしょうか。現場にいるといろいろなことがあるので、絶対は無理でも、できるだけゼロに近付けるように最善の努力をしないと。
あと、直接、その情報源(企業・人物)に触れることができるのはこういう仕事ならではです。直接情報を得られる機会や人脈は、非常に大切にしています。
いつか女性向けのカメラ雑誌を作ること。意外にも夢は紙の雑誌だったりします(笑)。
そのときのために、今の仕事から経験できることがたくさんあると思っていますよ。
私の場合は、これまでの人生は寄り道ばかりで、繋がりのないことばかりやってきたように思っていましたが、今振り返ると、過去の経験や人との繋がりが、思いもよらない形で仕事に結びつくことがあって、面白いです。
その時は無駄な経験だと思ったことも、後になって意外に役に立ったりするもの。
その時取り組んだことは一生懸命やるべき、と思いますよ。仕事でも遊びでも。
会社で働いていて思うのは、「学生の目から見えている社会や企業は、ほんの一面にしか過ぎなかったんだなあ」ということ。
会社の中にいると、外から見ていたときは想像もつかなかったような仕事が降ってくることがあります。会社に入って、すぐに希望の仕事に就ける人は少数派だと思いますが、じっくり時間をかけて、一生懸命働いてみるのもいいと思います。
1997年、ソフトバンク出版事業部(当時)に新卒入社。
当時のソフトバンクはテレビ朝日を買収、のちの「スカパー」となるCS放送の先駆「JSkyB(ジェイスカイビー)」を始めるなど、にわかに世間の注目を浴びていたころ。
吉岡は『DOS/V magazine』編集部へ配属され、編集者としての道を歩み始めた。その経験を引っ提げ、2005年にアイティメディアの記者となる。