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仏像1体の返還決定=対馬で12年に盗難―韓国検察

時事通信 7月15日(水)11時1分配信

 【ソウル時事】韓国検察当局は15日、2012年10月に韓国人窃盗団が長崎県対馬市で盗み、韓国に持ち込んだ仏像1体を、所有していた神社に返還することを決めた。
 日本政府は返還を求め続けていた。
 返還されるのは、盗まれた仏像2体のうち1体で、対馬市の海神神社が所有していた国指定重要文化財「銅造如来立像」。朝鮮半島統一新羅時代に作られ、伝来したとされる。
 検察は返還の理由として、韓国文化財庁の鑑定で、日本が不法に仏像を持ち去ったとは確認できなかったことや、韓国国内で所有権を主張する寺などがないことを挙げた。秋の日韓首脳会談実現を視野に、関係改善ムードを醸成したい韓国政府の判断も影響した可能性がある。
 一方、対馬市の観音寺が所有していた県指定文化財の「観世音菩薩坐像」は、韓国の市民団体が韓国の寺でつくられたと主張。13年に韓国の大田地裁が、観音寺が正当に取得したことが証明されるまでは日本に返還してはならないという仮処分決定を下した。検察はこうした事情から、現時点での返還を見送った。
 窃盗団の有罪確定後、仏像は検察が没収。現在、仏像を保管している文化財庁は既に神社側に返還決定を通知しており、「日本側が受け取りに来るのであれば、16日ごろに返還する予定」と説明している。 

最終更新:7月15日(水)14時22分

時事通信