東芝:監査法人の責任追及 不適切会計で第三者委
毎日新聞 2015年07月15日 10時30分(最終更新 07月15日 13時51分)
東芝の不適切な会計処理を巡る問題で、同社が5月に設置した第三者委員会が、監査法人の責任を追及していることが分かった。この問題では、東芝の2014年3月期までの営業利益のかさ上げ額が2000億円規模に膨らむ可能性が出ている。監査法人が複数年にわたりこれらの巨額な不適切会計を指摘してこなかった責任が問われており、第三者委は近くまとめる調査報告書に盛り込むことを検討している。
東芝の決算書類の監査を担当しているのは、大手監査法人の一つである新日本監査法人。第三者委の関係者は毎日新聞の取材に対し、「経営陣の説明をうのみにせず、業務の流れや数字からおかしな点を見抜かなければいけない」と指摘。第三者委の報告書で「何らかの責任に言及せざるを得ない」との見通しを示した。
東芝はこれまで、インフラ関連工事で売り上げを前倒しして計上するなど不適切会計があったと発表。第三者委の調査では、半導体やパソコンなどの主要事業を含め、全社的に不適切処理が行われていた疑いが強まっている。
新日本は12年7月、オリンパスの損失隠し問題で、金融庁からあずさ監査法人とともに業務改善命令を受けている。今回の問題については、「第三者委の報告書が出ておらず、コメントは控えたい」としている。
また、東芝の取締役会に設置された監査委員会(委員長・久保誠元副社長)も監査を適切に行っていなかった疑いがあり、第三者委は「チェック体制の機能不全」の実態解明を進めている。【片平知宏】