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 米航空宇宙局(NASA)は14日午後8時50分(日本時間15日午前9時50分)すぎ、冥王星に近づいていた無人探査機「ニューホライズンズ」から最接近後に初めて信号を受信したと発表した。予定したコースを無事に通過したことが確認された。

 探査機は、冥王星そばでの観測に専念するため、13日夜に信号の発信を一時停止していた。米メリーランド州の管制センターでは、信号を待つ管制室の様子を大ホールで中継。集まったおおぜいの関係者たちが受信の瞬間を見守った。探査チームのメンバーたちが抱き合って喜ぶ姿が映し出されると、ホールの観客も立ち上がって拍手し、最接近の成功を祝った。

 探査機は、冥王星から1万2500キロ離れた地点を通過し、その前後に冥王星や衛星カロンの高精度画像を撮影するなど観測を続けていた。最接近時に撮影した詳細な画像などの公表は15日以降になる見通し。観測したデータ全体の受信が終わるのは2016年秋になるという。

 探査機はこの後、冥王星と五つある衛星の観測を続けながら、次の観測目標となる太陽系外縁の天体を目指す。複数の候補の天体から年内に目標を定める。機体には、プルトニウムを燃料とする原子力電池が積まれていて、故障などがなければ、今後20年は観測を続けられるという。(ローレル〈米メリーランド州〉=小林哲)