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 安全保障関連法案について、与党は15日、衆院特別委員会での採決に踏み切った。与党は「議論は尽くされた」として衆院審議の打ち切りを決めたが、報道各社の世論調査では政府の説明が丁寧でないとの意見が大半を占める。この日午前の特別委質疑では、野党から反発の声が相次いだ。

 自民、公明両党の執行部は15日朝、同日の委員会採決と翌16日の衆院通過をめざす方針を確認。公明の大口善徳国会対策委員長は会合後、記者団に「論点は尽くされ、同じ質問の繰り返し。採決の機は熟した」と強調した。

 しかし、朝日新聞の世論調査では、56%が法案に反対し、67%が安倍晋三首相の法案の説明が丁寧ではないと感じ、66%が今国会で成立させる必要がないと回答した。石破茂地方創生相も14日の記者会見で「『国民の理解が進んできた』と言い切る自信があまりない」と本音を漏らした。

 野党は、採決の強行を図る与党を批判する。特別委の質疑では、民主の辻元清美氏が「勇気を出して法案を撤回してください。それが国民の声を聞くということだ」と主張した。

 民主の安住淳国対委員長代理は会見で「多くの国民が疑問と思い、専門家は『憲法違反』と主張する。それを与党の数を使って『採決しろ』という姿勢は恥ずべき行為で、末代まで禍根と汚点を残す」と指摘。7月15日が、安倍首相の祖父・岸信介元首相の退陣の日であることから「おじいさんと一緒の日に退陣したらいい」と語った。

 維新の党の松野頼久代表も「今後日本が他国の戦争に巻き込まれる危険性を帯びるかもしれない大きな法案だ。まだまだ審議が尽くされてない。丁寧な審議を衆院議長にお願いしたが、今日の強行採決となった」と訴えた。