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■自分で道を切り開く
――最初にハマったマンガは何でしたか。
早見 小学校高学年の頃に読んだ『フルーツバスケット』ですね。登場するキャラがみんないい人で、読んだ後に温かい気持ちになれるのが好きで……。それから、『花ざかりの君たちへ』! 最初は表紙とタイトルだけを見て衝動買いしたんです。まだドラマ化されてない時期だったので、ドラマ化されたときは感動して毎回チェックしてました。『美味しんぼ』も父が数十巻近くそろえているので、小さい頃からすごく身近な存在です。
――中学、高校時代はどうでしょう?
早見 中学生のときは学校で矢沢あいさんがすごくはやっていて。わたしも『NANA』とか『ご近所物語』とか、友達から借りて読みました。母に『カッパの飼い方』を薦められたのもその頃。出てくるカッパがすごく可愛くて、わたしもカッパを飼いたくなりました(笑)。今でもときどき読み返してますよ。母といえば、先日母の本棚に『神の雫』第一巻が置いてあるのを見つけたんです。時間ができたらじっくり読んでみたいと思っています。
――ご両親とも、わりとマンガを読まれるみたいですね。
早見 高校生のとき、仕事関係の人に誕生日プレゼントとして『岳』をもらったんです。深くてリアルな人間ドラマが描かれていて、大人向きの作品じゃないですか。母も父もすごく気に入って、一家でハマっちゃいました(笑)。
――アニメはほとんどマンガ原作ですが、仕事で読んで特に面白かった作品はありますか。
早見 たくさんありますけど、たとえば『四月は君の嘘』。仕事を忘れて読み進めてしまった作品の一つです。ピアニストの男の子の話なんですけど、仕事でも部活でも、「何かを一生懸命やってる人に届く」物語だと思います。
――現在放送中の『赤髪の白雪姫』は、読んでみてどんな感想を持ちましたか。
早見 とてもさわやかな作品だと思いました。主人公の白雪と異国の王子であるゼンの恋愛模様、そして白雪が自分の道を自分で切り開く様子を描いたストーリーなんですけど、読んでいてとてもすがすがしい気持ちになれる作品だな、と。
――早見さんはヒロインの白雪を演じています。
早見 はい。最初は明るくて前向きな女の子という印象だったんですけど、読み進めていくとそれだけじゃない。しっかりした芯があって、凛(りん)とした部分があることがわかってくるんです。困難に出会ったとき、簡単に人に頼らず、まず自分で道を切り開いていこうとする。人間的にあこがれるし、ヒロインというよりもヒーローな感じがしてカッコいいんですよ。ぐずぐず悩まない、男前な感じ。友達に欲しいタイプです。困ったとき、いいアドバイスをしてくれるんじゃないかなって。
――ご自分との共通点を挙げるなら?
早見 うーん……。白雪は宮廷薬剤師じゃないですか。自然の薬草を使って薬を作るでしょう。わたしも去年くらいからハーブティーにハマっていて、出先でも家でも、頻繁にハーブティーを飲んでいるんです。そこがちょっと似ているかもしれません、あえていえば(笑)。
――脇役で好きなキャラクターはいますか。
早見 この作品は意外と女性が少ないこともあって、女性陣には個性的な人が多いですよね。中でも、鳥使いの女の子キハルは、白雪と力を合わせて困難を乗り越えるので印象に残っています。男性キャラではオビが好きですね。
――ああ、オビは女性に人気がありそうですね。
早見 わたしもそう思います(笑)。もちろん白雪にはゼンがいるわけですけど、いち読者として読んでいると、オビと白雪の関係も気になってきます。オビって素性が怪しいじゃないですか。昔から宮廷にいた人じゃないから、いろいろ過去がありそうで……。
――特に印象に残ったエピソードを教えてください。
早見 白雪が誘拐されて、お屋敷の中に閉じ込められちゃう話です。巳早という、訳あって落ちぶれた貴族の人が彼女を交渉材料にして貴族に返り咲こうとするんですよ。そこで白雪とゼンの関係がひとつ進むこともあって、忘れられないエピソードになっています。
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はやみ・さおり(声優)
東京都生まれ。2007年にデビューし、アニメ『セキレイ』『バクマン。』『山田くんと7人の魔女』などに出演。現在放送中の『赤髪の白雪姫』(TOKYO MXほか)では白雪を演じる。