7月13日月曜日の朝、欧州が目を覚ますと、メディアにはギリシャの屈辱、絶大な力を誇るドイツの勝利、欧州の民主主義の壊滅といった見出しが数多く躍っていた。
何とナンセンスな話だろう。もし降伏した国があるとするなら、それはほかならぬドイツだ。ドイツ政府は、これで3度目となる数十億ユーロのギリシャ救済策に原則的に同意した。その見返りに受け取ったのは、経済改革を実行するというギリシャ政府の約束だが、そのギリシャ政府は合意したばかりの事項のいずれについても全く同意できないとの見解を明らかにしている。急進左派連合(SYRIZA)政権は今後、署名したばかりの取引を妨げるためにやれることを全てやろうとするだろう。もしこれがドイツの勝利なのだとしたら、敗北など見たくもない。
ギリシャの民主主義をないがしろにしたという指摘もナンセンスだ。7月5日に行われたギリシャの国民投票の結果は、本質的には、他のユーロ圏諸国はギリシャに対する数十億ユーロの融資を継続すべきである、それもギリシャが決めた条件で、というものだった。そもそも、これは現実的ではなかった。ギリシャの行動の自由を実際に制限しているのは、欧州連合(EU)の非民主的な性質などではない。ギリシャが破産しているという事実なのだ。
■「残酷なヨーロッパ人のせい」?
今回合意された枠組みではギリシャの主権が失われるというコメントの多くは、ギリシャが500億ユーロ相当の国有資産を民営化しなければならなくなることと、アテネに置かれる基金を外国人が監督することの2点に着目している。歴代ギリシャ政府の汚職や恩顧主義の実績を考えれば、これはとてもいいアイデアのように思われる。しかし、SYRIZAは民営化に強く反対しており、500億ユーロというような規模の資金が調達されることは考えにくい。
もちろん、一般のギリシャ国民はひどいジレンマに直面している。筆者は先週アテネにいたが、そこで出会った人々の多くは仕事や貯蓄、将来のことなどについて不安を募らせており、実に気の毒だった。だが、こんなことになったのはすべて残酷なヨーロッパ人のせいだ、緊縮さえなければギリシャは健全な国なのに、むやみやたらに緊縮財政を押しつけてきた連中のせいだなどという見方は、ネオ左翼の夢物語でしかない。ギリシャは何十年にもわたって不適切に統治され、かなり分不相応な暮らしを営んできたのだ。
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