山岸一生、明楽麻子
2015年7月15日10時02分
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設問題をめぐり、野党だけでなく与党からも批判が噴き出している。14日の国会審議では、野党が2520億円に膨れあがった総工費などを問題視し、計画の見直しを要求。スポーツ界など世論の批判の高まりに、内閣支持率が低迷する安倍政権は危機感をにじませる。
「財源はない。さらに(工費の)膨張の可能性もある。技術面の不安、国民の不信もある。本当に見直さず、進めるのか」
14日の参院内閣委員会と文教科学委員会の合同会議。民主党の蓮舫元行政刷新相は、下村博文文部科学相と遠藤利明五輪担当相に計画の見直しを迫った。
新国立競技場の総工費は当初の約1300億円から2520億円に増大。最大の原因は2012年の国際コンペで、アーチ2本で建物を支える特殊なデザインを採用したことだった。
このため、政府側はこれまで「(デザインの)決定は我々が政権に就く前の(民主党政権時代の)話だった」などと責任回避ともとれる姿勢もみせてきたが、蓮舫氏は「(計画を)見直すことなく(工費を)膨らませてきたのは自民党政権」と追及。新国立競技場を、五輪より1年早い19年のラグビーワールドカップ(W杯)の会場にする計画をあきらめ、工期に余裕をもたせることで計画の見直しにつなげてはどうかと主張した。
次世代の党の松沢成文参院議員も政府がW杯にこだわる背景について、東京五輪・パラリンピック組織委員会長でラグビー界に影響力を持つ森喜朗元首相の存在を指摘。「森さんがいるから、『こんな計画はまずい』ときちっと言える人がいない」と批判した。
だが、下村氏は「W杯で使う前提で考える必要がある」「場所を変更すると我が国の信用を損なう」などと反論を繰り返した。
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