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 安全保障関連法案は15日午後、衆院特別委員会で採決が行われ、自民・公明両党の賛成多数で可決される見通しだ。与党は質疑終了後に単独で採決を強行する方針で、野党は採決時に退席する構えだ。法案は16日にも衆院本会議で可決される。安倍晋三首相は15日午前の締めくくりの総括質疑で、「残念ながらまだ国民の理解が進んでいる状況ではない」と認めた。

 質疑で民主党の長妻昭代表代行は「国民の理解が得られていない中での、強行採決は到底認められない」と批判した。

 特別委に先立ち、自民、公明両党は15日朝、幹事長らが会談し、この日の特別委で採決した上で、16日の衆院本会議で法案の衆院通過をめざす方針を確認した。

 一方、民主党と維新の党は、国会内で幹部らが特別委での対応をそれぞれ協議した。特別委の浜田靖一委員長(自民)が14日、15日の採決を職権で決めたことに抗議し、締めくくりの総括質疑に欠席すべきだとの意見もあったが、両党とも質疑に出席したうえで、採決の場面で退席する方針を確認した。共産も同調する見通しだ。民主の安住淳国対委員長代理は記者団に「強行採決するのなら、あらゆる手段を使って阻止する」と述べた。

 法案については、多くの憲法学者が憲法違反だと指摘。報道各社の世論調査でも法案への反対意見が多い。だが、与党は法案の審議時間は14日までに113時間を超えて審議は尽くされたと主張。また、これ以上審議を長引かせても、法案に対する世論の理解が深まらず、内閣支持率の低下を招く可能性もあるとして採決に踏み切ることにした。

 関連法案は、武力攻撃事態法改正案、周辺事態法改正案(重要影響事態法案に名称変更)、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案などの改正案10本を束ねた一括法案「平和安全法制整備法案」と、国会の事前承認があれば、いつでも自衛隊を紛争地に派遣することを可能にする「国際平和支援法案」の2本で成っている。

■想定される主な政治日程

<今週中>

安保関連法案の衆院通過、参院送付

<7月下旬以降>

安保関連法案の参院審議入り

<8月15日 終戦の日>

この日までに安倍首相が戦後70年の談話発表

<9月中>

政府与党、安保関連法案成立めざす

<9月27日>

延長国会の会期末

<9月30日>

自民党・安倍総裁(首相)の任期満了

<9月下旬>

国連総会