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2015-07-14

「日本」で「おもてなし」で目立つ万人向きの制服は‥‥

ダサ過ぎ? 東京五輪「おもてなし制服」、ネットで酷評


私も一見して「これは‥‥なんだかな」と思ってしまい、こんなブコメをつけた。

ohnosakiko この帽子にベストはどっちか言うとスイスのイメージ。それを払拭するための過剰な日の丸。気合い入り過ぎ/いっそ都内の芸大美大生から公募して決めた方が洗練されたものが出てきそうだが、選ぶ側がアレだとアレか


元々のデザインは帽子のつばが広かったのに対し、チロリアンハットみたいに改変されているのも、違和感を覚える原因かもしれない。

一方で外国人のウケは悪くないようで、ブックマークコメントの中にも「目立たないといけないからこれでいい」的な意見もあった。


「そもそもオリンピックなんてやってる場合か」という考えもあるがそれはひとまず措いといて、もし自分が美大のデザイン科で教えていたら、あの制服について「どこがよくて、どこがダメか。その理由は何か。もっと適切なデザインがあるとしたら、どんなものが考えられるか」という授業をしてみたいが、あいにくそんな立場にはないので、自分で考えてみた。


この制服の、外国人観光客向け条件は、

・人ごみでも目立つこと

・日本のイメージ

・「おもてなし」のイメージ

である。

一方、それを着るボランティアの人々にとって重要なことは、

・着心地が良くて活動的

・夏の強い日差しや気温、突然の小雨などに対応

・年齢や体型を問わず、誰にでもそれなりに着こなせる

である。


これらをすべてクリアする制服とは‥‥‥。

クロッキー帖にいろいろ落書きしてみた。いやこれ、難しいわ。デザイナーじゃないので当たり前だが、思ったよりずっと難しかった。


ない頭で考えた結果がコレ。若い男女で描くと「着ている人のせいでマシに見える」と言われそうなので、日本人的プロポーションのおばさんとおじさんをモデルに。

f:id:ohnosakiko:20150714144513j:image:w400

(ボトムは私服なので色薄めにしてあります)

開襟シャツ、Tシャツは男女兼用なので、どちらかに統一でもいい(男性の帽子は女性でもOKだが、女性のキャスケットは男性には抵抗があるかもしれない)。青はもっと水色に近いほうが爽やかかも。

各条件については以下のように考えた。


◯外国人向け条件

・人ごみでも目立つこと‥‥服の配色に目立つポイントを集中させる。前からも後ろからも、赤白水玉+(青が定番の)インフォメーション・カラーの組み合わせが目に入るようにする。

・日本のイメージ‥‥わかりやすい日の丸(安易だが他に思いつかず)と国際的アーティスト草間彌生を連想させる水玉モチーフの掛け合わせ(できれば草間彌生にプリント部分のデザインを依頼)。浴衣の柄ゆきも少し意識した。

・「おもてなし」のイメージ‥‥服にはいらない。「おもてなし」はボランティアのフレンドリーな笑顔と親切な対応によって表現すれば良い。

◯ボランティアにとっての条件

・着心地が良くて活動的‥‥Tシャツか開衿シャツがベスト。襟が詰まっていたり袖口が絞ってあるものは、風通しが悪い。

・夏の強い日差しや気温、突然の小雨などに対応‥‥ほぼ戸外にいるため帽子の機能をちゃんと考える。

・年齢や体型を問わず、誰にでもそれなりに着こなせる‥‥色合いは派手でも形のデザインはシンプルで控えめにすると、中高年でも案外似合う。


しかしこういう服装の人、結構普通にいそうではある。ド派手なアロハのおじさんとか、賑やかなデザインのTシャツ着たおばさんとか。ダサいかダサくないかと言ったら、まあちょっとダサいかしら。それより、インフォメーションとしては平凡でインパクトに欠ける、カジュアル過ぎて「きちんと」感がないという意見が出そう。‥‥‥となると、あの案でいいことになるのか。


思いつきでやってみたが、私程度のデザイン力では太刀打ちできない物件だったことが実際に描いてわかった。芸大や美大のデザイン科の学生や大学院生の中からなら、「おお」というのが出ると思うんだけどな。


●追記

【インタビュー】「私なりにベストを尽くした」デザイナー藤江珠希が語る東京都観光ボランティアのユニフォーム

「街を歩く人と間違えられるような服ではなく、ポロシャツでありながらわかりやすくて、なおかつ正装感を出したいという都の強い要望がありました。(以下略

開衿シャツもTシャツもハナからダメとな。ポロシャツというラフなアイテムで「正装感」を出せという無理難題。「もうプリントにしちゃえ」となったのもなんとなくわかる。

六文銭六文銭 2015/07/15 00:26  面白そうですね。東京には間に合いませんが、またぞろ、名古屋がリベンジで立候補したり、大阪や広島などという可能性が何年か後にはあるかもしれません。その折に応募されては。それが採用されても、残念ながら私には絶対に見ることはできませんが。
 「おもてなしのイメージ‥‥服にはいらない」は、笑ってしまいました。その通りで、無理にそうしようとすると、お遍路さんの「お接待」のエプロンおばさんか、メイドカフェの制服になってしまいそうです。そういえば、メイドカフェも短いエプロンしていましたね。とすると、愛国婦人會の昔から、エプロンはなにものかへの奉仕を示唆していたのですね。
 デザインを一見して草間彌生さんを想起しましたが、文中でもお書きになっていますね。ところで、第一回のあいちトリエンナーレの折、草間さんがデザインされた赤い水玉のトヨタ車、展示もされていましたし、実際に街なかも走ってデモンストレーションも行ったようですが、その後どうなったのでしょうね。実際に見た折は、ムムと思ったのですが、今思い起こすと、なんだか懐かしい気がします。

ohnosakikoohnosakiko 2015/07/15 08:15 ありがとうございます。でも「応募」は無理ですね。たぶんまたデザイナーが決められるんでしょうし、今回みたいにお金ばかりかかるものならそもそも開催に反対でしょうし‥‥。

「食」関係の「おもてなし」だとエプロンということになるんでしょうけど、このボランティアはそうではないので制服っぽくしようとしてああなったんでしょう。ベストにネクタイがプリントされたTシャツ、なんか昔のお笑いでこんなのあったような。
愛国婦人會の割烹着は、やはり台所の女たちという記号を使った挙国一致体制の体現でしょうね。

あいちトリエンナーレの草間水玉カー、そういえばありましたね。あのモチーフは頭に残りやすいので今回ふと出てきたのかもしれません。

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