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【千葉】<千葉から語り継ぐ戦争>県立松戸高生 平和願う 空襲による悲劇の実話を舞台化
終戦間近の空襲で卒業式が中断された女学生が、60年後に卒業証書を受け取った実話を元にした演劇「卒業」を、県立松戸高校で演劇科を学ぶ生徒たちが26日、松戸市民会館で上演する。今年は戦後70年。戦争を直接知らない祖父母もいる生徒たちは「戦争の悲惨さ、平和の大切さを伝えたい」と、本番に向け練習に励んでいる。 (飯田克志) 「卒業」は、一九四五(昭和二十)年三月、空襲で卒業式が中断された旧鹿児島高等女学校(鹿児島市)の卒業生が戦後六十年の二〇〇五年、後身の私立鹿児島高校の卒業式で卒業証書を授与された実話を、同校演劇部顧問の谷崎淳子さんが劇にした作品。 今回の公演では、舞台を今春の松戸市に置き換えている。空襲で卒業式が中断され、三カ月後の空襲で親友も失い、生き残った罪悪感から心の傷を抱えてきた祖母と、母校「松戸高等女学校」の後身に当たる県立松戸高校に通う三年生の孫娘が主人公。孫娘が卒業式の答辞を読むことになり、つらい記憶と向き合い始めた祖母が、一緒に卒業式に出席して卒業証書を手にし、「戦争を語り続けよう」と決意する物語。 同校の演劇科は〇九年に新設された選択科目。「卒業」は演劇科主任の見上裕昭さん(60)らが谷崎さんの理解を得て、松戸版に脚色し、三年前から卒業公演で上演している。 今回の公演は演劇部六人を含む三年生十六人が出演し、一、二年生も照明や音声のスタッフとして協力。総勢約四十人で舞台を作り上げる。四月から台本読みを始め、本番が迫り、稽古は平日約五時間、週末も休み返上で頑張っている。 主役の祖母役の風見由希子さん(17)は「中学三年生の時に先輩の公演を見て戦争を考えるようになった。作品を見てもらい、戦争がいかに悲惨なものか知ってもらいたい」と話す。 親友役の嶋田葵さん(17)は「勉強で知る戦争は情報でしかなかったけれど、劇では人の思いが入ってきて、ずしっとくる。自分と同じ若い人に見てもらい、平和の大切さを感じてほしい」と来場を呼び掛ける。 公演は松戸市が戦後七十周年と平和都市宣言三十周年を記念して企画。開演は午後二時。無料で先着千人。申し込み不要。問い合わせは市総務課=電047(366)7305=へ。 公演に先立ち、同校での発表会が十六、十七日午後二時半、十八日午前十一時と午後二時半にある。無料。問い合わせは同校=電047(341)1288=へ。 PR情報
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