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 国際社会の懸案だったイランの核開発問題で、関係国が最終合意にこぎつけた。合意は日本の安保法制を巡る論議やエネルギー政策にも影響しそうだ。

 日本のエネルギー関係者の間では、イランの核開発を巡る合意が原油の価格低下や安定調達につながるとの見方が出ている。

 宮沢洋一経済産業相は14日の記者会見で、「一般論では、交渉が妥結した場合には日本にとってもそれなりにプラスになると思う」と期待感を示した。

 資源エネルギー庁によると、イランは経済制裁が解除されれば、数カ月から1年ほどで日量70万~80万バレル程度、輸出を増やすとみられている。足元の原油市場は供給過剰が続き、国際的な指標となる「米国産WTI原油」の先物価格は1バレル=50ドル台前半と、1年前の半分の水準で推移しているが、同庁幹部は「原油価格に再び下方圧力が強まる可能性がある」とみる。

 今回の合意は、安倍晋三首相が成立を急ぐ安全保障関連法案の根拠にも影響しそうだ。

 イランはかつて、欧米の経済制裁に反発してホルムズ海峡の「封鎖」を示唆したことがある。安倍首相は法案が必要だとする根拠の一つとして、ホルムズ海峡が機雷で封鎖される場合を想定。「日本の石油の8割が(海峡を)通る」と述べ、機雷除去を目的に、集団的自衛権行使を可能にする重要性を訴えてきた。

 しかし、エネルギーの専門家からは「米国とイランが衝突してイランがホルムズ海峡を封鎖する可能性はさらに低くなった」(日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎氏)といった指摘が出ている。