福地慶太郎
2015年7月15日05時11分
カフェに備え付けのガムシロップや、カウンターに置かれている紅ショウガ――。ちまたにあふれる無料の品を、ちょっと多めに持ち帰ってしまうことも。どれくらいまでだったら許されるのだろうか?
6月のある平日の夜。「ガシャガシャ……」。客足がまばらになった午前1時前に、茨城県牛久市の24時間営業のスーパーで氷をかき集める音が響いた。
右手にプラスチック製のボウルを持った男(49)が、製氷機から黙々と氷を取り出していた。数分後、大きく膨らんだポリ袋を片手に外に出たところで、一部始終を見ていた店長が「氷を持っていっちゃ駄目ですよ」と声をかけた。その時買ったのは、洗剤1点だけだった。
氷は店内で買った魚などを冷やすために、店が無料で用意しているものだった。製氷機には「大量の持ち帰り禁止」「備え付けの袋二つ分まで」といった注意書きもあったが、男はこれまでもたびたび生鮮食品を買わずに氷を持ち帰り、何度も注意を受けていた。
結局、男は氷約14キロ、60円相当を盗んだとして、窃盗容疑で現行犯逮捕され、その後、略式起訴された。茨城県警によると、男は発泡スチロールに氷を詰めて冷蔵庫代わりにしていたという。「食料品を冷やすのに氷が必要だった」と話したという。
無料なのに、なぜ罪に問われるのか。元東京地検検事の落合洋司弁護士は「店が決めた条件でのみ持ち帰りが認められているサービスなので、無料かどうかは関係ない」と言う。
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