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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

米国人から見た日本の生活保護制度への違和感

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第4回】 2015年4月3日
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国際学会の中心で、
日本の生活保護制度を叫ぶ

 今回の発表のタイトルは、「日本の生活保護基準に対する、ミスコンダクトに基づく公共政策(Misconduct-Based Public Policy About Public Assistance Benefits in Japan)」であった。「ミスコンダクト」とは、「良くないこと・誤ったこと」の総称である。たとえば科学研究で「ミスコンダクト」と言う場合、「捏造」「改ざん」「盗用」など極めて重大な問題から、「誤解を招く」「表現が言い過ぎ」など「良いとも正しいとも言えないけれど、ルールで罰することが可能かどうか微妙」といったものまでを幅広く含む。

ポスター左側のグラフ、生活保護世帯の類型別比率。世帯主が「働ける」とされる「その他の世帯」「母子世帯」でも、世帯主以外に介護・看護の必要な家族が存在する場合が多い データ:厚労省による  拡大画像表示ポスター左側のグラフ、生活保護世帯の類型別就労率。「働けない」とされる類型でも、相当の比率で就労者がいる データ:厚労省による  拡大画像表示 ポスター左側のグラフ、一般世帯と生活保護世帯の収入比較。世帯構成・地域などを全く同じ基準で比較できるデータは見当たらなかったので、しかたなく平均月収と生活保護基準(生活費分)を比較した。背景を同等にして比較すれば、さらに差は大きくなる可能性もある データ:総務省+厚労省による 拡大画像表示 ポスター左側のグラフ、1952年から2012年にかけての生活保護受給者数と保護率(人員ベース)の推移。比較のため、貧困率(公式調査開始後のみ)も掲載した データ:厚労省による  拡大画像表示

 ポスターは、左右の2枚に分けて作成した。

 左側は、全面的に研究の背景を説明するものとなった。日本の生活保護制度は、人が生まれてから死ぬまでに関わる全てを1つのパッケージとしたものであるが、このような公的扶助は国際的に類例が少ない。イギリス・カナダ・アイルランド・ドイツの公的扶助は日本と比較的似ているが、数多くの相違点がある。従って、日本国内で発表する場合の3~5倍、背景に関する丁寧な説明が必要となる。

 背景の内容は、1945年の占領軍指令によって生活保護制度が成立した経緯・憲法第25条(生存権)との関係・「生活保護基準」が存在することとその意味・1957年の「朝日訴訟」をきっかけとして専門家委員会(現在の社保審・生活保護基準部会)が設置された経緯・制度の現状の問題点と対応など多岐にわたる。推移と現状は、グラフで示すこととした。

 右側では、「生活扶助相当CPI」が何であるのか・どこが問題なのかを、3枚のグラフ(次ページ)で端的に示した。さらに、立法・行政・司法・メディアの相互作用が内実を明るみにしていったプロセスを年表で示した。この「司法」には、訴訟の原告となっている生活保護利用者たちが含まれている。

 この後、このような問題が生み出され続ける背景となっている社会構造について論じた。日本には、一般の人々の生活保護への誤解・偏見が強化され続ける構造が存在し、生活保護利用者・支援者・専門家たちとの間の溝が広がり続けている。この根源には「文理の壁」をはじめとする日本の教育システムの問題があることも述べた。

 最後に「まとめ」として、一般の人々と専門家の緩やかな連携が社会を変える可能性・政策決定に根拠と責任を問うシステムの必要性・生活保護基準が経済状況に与える状況を検証する必要性を述べた。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、2匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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