アベノミクスで生活苦世帯62%と過去最悪、1%側の役員報酬1億円超は人数も報酬額も大幅に増え過去最高
井上伸 | 国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者
異常に下がる日本の労働分配率(OECDのサイトから)
東京商工リサーチが昨日(7月13日)、「2015年3月期決算『役員報酬1億円以上開示企業』調査(最終まとめ)」を公表しました。
2015年3月期決算で役員報酬1億円以上を開示した上場企業は211社、人数は411人だった。前年同期より社数で20社(前年同期191社)、開示人数は50人(同361人)増加した。業績改善を反映し、2年連続で役員報酬1億円以上だった272人のうち、176人(構成比42.8%)は前年同期より役員報酬額が増加した。役員報酬の最高額は、オリックスの宮内義彦元代表執行役会長で54億7,000万円(前年同期2億1,300万円)で、個別開示制度が始まった2010年3月期決算以降、報酬額の最高記録を塗り替えた。(中略)役員報酬1億円以上で個別開示された411人の役員報酬総額は817億3,800万円(前年同期361人、664億8,400万円)で、前年同期より152億5,400万円増加した。
以前、「最低賃金の773倍=時給60万円等で報酬1億円以上の役員とワーキングプアを過去最多にしたアベノミクス」で指摘していますが、これをさらに更新したことになります。ワーキングプアの統計データは、まだ発表されていませんので、今の時点では分かりませんが、厚生労働省が7月2日に公表した2014年の国民生活基礎調査によると、世帯の年所得200万円未満の割合が2012年は19.9%だったのが、2014年は20.5%になり、下のグラフにあるように「生活が苦しい」と答えた世帯が62.4%と過去最高になっています。
今の安倍政権は2012年12月26日に発足していますから、2012年の数字と比較すると、役員報酬1億円以上の上場企業は2012年の175社から2014年(2015年3月期決算)の411社と1.36倍に増加し、同じく役員報酬総額は507億8,100万円から664億8,400万円へと1.3倍に増加し、それぞれ過去最高になっています。
貧困世帯が増え、生活苦を訴える世帯が過去最高になり、1億円以上の役員報酬総額が過去最高になるというまさに貧困と格差の拡大をもたらしたのがアベノミクスだということが鮮明に分かるデータ群です。
こうやってアベノミクスは貧困と格差を一層拡大していますが、そもそも日本はアベノミクスが始まるずっと前の1980年代中盤から貧困と格差を拡大してきたと直近のOECDのカントリーノートで以下のように指摘されています。
それから、OECDによる2012年の「日本に関する分析」では、日本の労働分配率が大きく低下し所得格差が生じていることを問題だと以下のように指摘しています。
こうした日本における貧困と格差の現状をOECDのサイトでグラフ化してみることができるのですが、下のグラフにあるように、貧困も格差(ジニ係数と下位10%と上位10%の所得格差)もOECDの平均以上になってしまっていますし、労働分配率(いちばん下の折れ線グラフ)にいたってはおそろしく日本が下がってしまっていることが一目瞭然なのです。アベノミクスのもとでも現在25カ月連続(今年5月までの統計)で実質賃金の低下を継続中ですから推して知るべしという状況です。