居酒屋のランチメニューにそそられる。
本当は酒を飲む場所なのに、ランチはみょうにお得感が高い。そんな居酒屋の二面性に、ぼくたちは驚き恐れつつもこれまで沈黙してきた。この連載ではそんな「居酒屋ランチ」をめぐっていきたい。
池袋「大都会」でランチ
池袋駅の北口、「大都会」。24時間営業でものすごく安い。酒飲みの間ではすでに有名なお店だ。
もう、店に入る前から酒の匂いが漂ってきそう。(実際は漂ってきません)。ここで昼飯を食うなんて信じられないビジュアルだ。
トリスハイボール3杯券が500円というのに目をうたがう。コンビニで買うのとかわらないじゃないか。
サービスのかけそば150円も、なんかの間違いであってほしい。カップめんより安い。
この価格設定、客がお店から逆ボッタクリをしているということにならないだろうか。不安。
しかし、今回注目して欲しいのはここじゃなくて、
「そばだけの方でもお気軽にご来店ください」 これです。
この一言で大衆居酒屋が、一気にリーズナブルランチに大変身してしまう。いいの? という感じだが、気後れせずに入ってみたい。
大量のおつまみがすべておそばの具として立ち上がってくる
居酒屋でご飯を頼んだら「大量のおつまみがすべておかずとして立ち上がってくる」(「孤独のグルメ」の名シーン)ということになる。
ここはそばなので「すべておそばの具として立ちあがってくる」ことになるが……。
そう、ここは食券形式だ。となると、あんまりモタモタ悩んでられん。
……見えたッ!最善の組み合わせ。これだっ!!!
わかめそば290円
じゃこ天250円
わかめそばにじゃこ天をIN。「わかめじゃこ天そば」(合計540円)。薬味のショウガも全部入れちゃうのがコツ。
ここのそば、単体で食べるとなんというか、極めて合理的な味がする。正直それだけだと、ちょっと物足りなさを感じるかもしれない。
しかしそれは、「大都会」が巧妙に張り巡らした伏線にすぎなかった。
わかめとじゃこ天がはいることで、一気にシーフード·ポイントが突き抜けマックス状態になるのだ。
シーフード・ポイントを詳しく知りたい人のためにグラフを表示しよう(知りたくない人もは気にしなくて大丈夫です)。
店名は「大都会」なのに、感じるのは潮の香りに波の声。数あるそばとおつまみの組み合わせからこれを選び取った自分を、超・ほめてあげたい。
周りは酒飲んでる人おおい
お昼時に来たのだけど、周りには飲んでる人多い。この時は一人で静かに飲んでいる人が多かった。
そうか、今はタイムサービス中でもあるんだな……。グラスビール150円って、うっかり自分も飲みそうになる。
ちなみに水はセルフでいくらでも飲めます。気兼ねしなくていいね。
つい周りの酒飲んでる人たちにあてられて、頼んでしまった焼き鳥。2本で250円。
なぜか急に「野菜をとった方が良いのでは?」という強迫観念に襲われて、注文してしまったキャベツのコンビーフ炒め。350円。ソース味。写真じゃわかりにくいけど盛り多い。
最終的にこんなランチに。
「わかめじゃこ天そば」で海を感じる……という作戦は、もうぜんぜん関係なくなってしまった。やっぱりここは居酒屋だわ。
それでも組み合わせ考えるのは楽しい。みんなも「大都会」で自分だけのランチを見つけてみようぜ!
取材したお店
著者プロフィール
斎藤充博
1982年生まれの指圧師です。自分で企画した「下北沢ふしぎ指圧」で施術しています。身近なところでふしぎを探すのが趣味です。
ブログ:下北沢ふしぎ指圧(http://fushigishiatsu.com)
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