イランと六か国が核開発の制限に関して合意しました。これを受けてイランに対する経済制裁は今後解除されることになると思います。

イランは経済制裁が始まる前の2011年に260万バレル/日を輸出していました。2012年に経済制裁が発表されると輸出額は落ち始め、2014年の実績は140万バレルとなっています。

つまり経済制裁で影響を受けた部分は-120万バレル/日です。

このうち、どれだけが市場に出てくるかが注目されています。休止した生産設備を再稼働するには時間がかかります。だから120万バレルの全てが、すぐに市場に出回るということではありません。

IEAは60~80万バレル/日のイラン産原油が数カ月のうちに市場に出回ると試算しています。

米国のシェールオイルは50ドル付近で不採算になる業者が多いことから、赤字になればリグが停止し、自然に需要と供給のバランスが取れます。

しかしイランの場合、政府予算の赤字を埋めるため、当面は原油価格の水準に関係なく増産してくると思われます。そのことは原油価格が新しい均衡点を模索して再び下がり始めるリスクがあることを示唆しています。

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なお、イランと六か国が核協議に合意し経済制裁が解かれる可能性については既に市場関係者は予想していたので、この材料はサプライズではありません。だから原油価格にも、ある程度、織り込み済みだと思います。