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イラン核協議 最終合意と正式発表
7月15日 2時16分

イラン核協議 最終合意と正式発表
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イランの核開発問題の解決を目指して協議を続けてきた欧米など関係6か国とイランは日本時間の14日夜、最終合意に達したことを正式に発表しました。今回の合意でイランの核開発は大幅に制限されることになり、核の拡散を防ぐ大きな一歩となります。
イランの核開発問題の解決を目指して協議を続けてきた欧米など関係6か国とイランは14日、オーストリアのウィーンで外相級の全体会合を開きました。このあと、関係6か国側の調整役を務めるEU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表とイランのザリーフ外相が会見し、最終合意に達したことを正式に発表する共同声明を読み上げました。このなかで双方は「歴史的な日だが、これが共同作業の終わりではない。合意内容が確実に履行されるよう取り組みを続ける」などと協議の成果を強調しました。そのうえでイランの核技術が平和利用の目的以外に使われないようにするためにはこれからの取り組みが重要だという認識を示しました。
13年前に発覚したイランの核開発問題の解決を目指した関係6か国とイランは先月から3回にわたって交渉期限を延長するという異例の対応を取って協議を続けました。今回の合意でイランの核開発は大幅に制限されることになり、紛争の絶えない中東地域で核の拡散を防ぐ大きな一歩となります。

合意の内容は

イランの核開発問題の解決に向けた最終的に合意された合意文書と付属書は合わせておよそ160ページにのぼります。その主な内容は以下のとおりです。

イランの核開発は15年間にわたって大幅に制限されます。このうち、ウラン濃縮に使われる遠心分離機は今後10年間にわたって、現在のおよそ1万9000基の3分の1以下にあたる6100基余りに減らすとしています。その一方で、ウラン濃縮の能力拡大につながる新型の遠心分離機の研究・開発について、一定の制限はあるものの、継続が認められています。
また15年間にわたって、濃縮度が3.67%を超えるウランは製造せず、現在保有している10トンの低濃縮ウランを、300キロにまで減らすとしています。さらにウランの濃縮活動は今後15年間、中部のナタンズの核施設に限定されます。中部フォルドゥにある地下深くに建設された核施設では濃縮ウランの製造が停止され、施設は研究関連用に転換されます。西部アラクの重水炉については核兵器に転用可能な兵器級のプルトニウムを生産できないよう設計を変更し、使用済み核燃料はすべて国外に運び出します。

イランが核開発を制限していることを確認するため、IAEA=国際原子力機関の権限が拡大されます。イランは未申告の核関連施設の調査や抜き打ちの査察を可能にするIAEAの「追加議定書」を批准し、すべての核関連施設にIAEAが定期的に立ち入ることができるようになります。協議の大きな争点となっていた、核兵器の開発疑惑があるイランの首都テヘランの郊外にあるパルチンの軍事施設については査察の対象となっているかどうか明記されていません。しかし、未申告の核物質の存在や核開発が懸念される施設には、IAEAは検証のための立ち入りを求めることができるとされています。イランとIAEAの意見が対立し、懸念が解消されない場合は、関係6か国側とイランで作る委員会が仲裁の役割を担い、必要な手段についての助言を行い、イランは3日以内に必要な手段をとることになっています。

イランが強く求めていた経済制裁の解除についてはIAEAがイランによる核開発の制限を確認した段階で、まとめて解除されます。その一方で、イランが合意内容に違反した場合は、65日以内に制裁を元に戻すことができます。また、イランやイランと関係の深いロシアが解除を求めていたイランへの武器輸出を禁じる国連の制裁措置については、協議の結果、防衛を目的とする武器については輸出入ができるよう制裁措置が緩和され、5年後には完全に解除されるとしています。

制裁解除に向けたプロセス

今回の合意を受けて、国連の安全保障理事会でも近く合意を支持する決議が採択され、国連でイランに対する制裁の解除に向けたプロセスが始まります。
安保理では2006年以降、イランに対するさまざまな制裁を盛り込んだ4つの決議が採択されてきましたが、今後はIAEA=国際原子力機関がイラン側の対応を検証したうえで、安保理で一連の制裁決議を無効にする手続きがとられることになります。国連が過去に特定の国に対する制裁を解除した例としては、長年にわたってアパルトヘイト=人種隔離政策をとってきた南アフリカが政策を廃止したことから、それまで科されていた経済制裁が解除されたケースや、欧米と敵対してきたリビアの旧カダフィ政権が対外協調路線に転じ過去に関わったテロ事件の責任を認めたことから、制裁が解除されたケースなどがあります。

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