学習院初等科の同級生語る

天皇、皇后両陛下「戦後70年・鎮魂の旅」にこめられる意味とは

2015年07月14日(火) 11時00分
〈週刊女性7月28日号〉
2015年07月14日(火) 11時00分
〈週刊女性7月28日号〉

 8月15日の「終戦の日」に向けて、昨年から慰霊のため各地を訪問されている両陛下。

 '14年6月の沖縄訪問を皮切りに、10月に長崎県へ、12月には広島県に。そして、今年の4月には西太平洋の島国・パラオを訪問された後、5月に東京大空襲の犠牲者が祀られている都慰霊堂へ。さらにこの6月には民間船員が眠る『戦没船員の碑』を拝礼され、プライベートではパラオからの引揚者たちが開拓した宮城県・北原尾地区にも立ち寄られた。

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パラオ・ペリリュー島の「西太平洋戦没者の碑」で、花を手向けられた両陛下(4月9日)

 10年前の「戦後60年」のときに両陛下が行われた慰霊は、激戦地となったサイパン島訪問のみ。そう思うと、お出ましが格段に増えているのは確かなことだろう。陛下は’12年に心臓の手術をされ、美智子さまは頸椎に持病を抱えるも、精力的に各地を歩かれているのには、どんな理由があるのだろうか。陛下と学習院初等科時代からの同級生で元共同通信記者の橋本明さんは、差し迫った事情があると考える。

「10年前に比べて、今回のほうが"危機感"があるからこそ、両陛下は各地への慰霊の旅を続けられているのだと思います。パラオについては、10年前のサイパン訪問のときも希望されていて、現地の受け入れ態勢が整わないとの理由で、今回の実現となりました。しかし、昨年から沖縄、長崎、広島などを回り、パラオの後も、私的旅行で宮城県の北原尾を訪問されたのは、両陛下の強い意思にもとづいたアクションだと思います」

 その危機感について、橋本さんが続ける。

「両陛下は、現在の安倍晋三内閣が集団的自衛権の限定的な行使を容認し、日本が再び海外で戦争をする可能性を高めていることに、非常に抵抗感があると思います」

 安倍内閣が成立を目指す安保関連法案は、「戦争放棄」をうたった憲法9条に反しているともいわれ、戦争のない世界を希求されてきた両陛下には、受け入れにくいものなのかもしれない。

「一方で、現在の憲法で定められた天皇の国事行為として"憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること"があります。もし、安保法制が成立すれば、憲法を守り平和を祈ることを第一にされてきた陛下自らが、その法律に御名御璽(署名・押印)を入れ国民に知らしめることになります。ご自分が守りたい憲法の理念を、自らが破らなくてはならないという矛盾を抱え、陛下は現在、たいへんお苦しみで、美智子さまも憂慮されていると思います」(橋本さん)

 しかし、天皇は"国政に関する権能を有しない"とも、憲法に定められている。つまり、政治的な言動を慎まなくてはならないので、「慰霊の旅」という行動で、憲法を守るというメッセージを国の内外に送り続けているのだろうか─。

 陛下と美智子さまのご高齢を顧みない、そんな行動に秘められた「思い」を、国民も政治家も、自らのこととして考える必要があるのかもしれない。

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