(2015年7月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
7月13日月曜日の朝、欧州が目を覚ますと、メディアにはギリシャの屈辱、絶大な力を誇るドイツの勝利、欧州の民主主義の壊滅といった見出しが数多く躍っていた。
何とナンセンスな話だろう。もし降伏した国があるとするなら、それはほかならぬドイツだ。
ドイツ政府は、これで3度目となる数十億ユーロのギリシャ救済策に原則的に同意した。
その見返りに受け取ったのは、経済改革を実行するというギリシャ政府の約束だが、そのギリシャ政府は合意したばかりの事項のいずれについても全く同意できないとの見解を明らかにしている。
急進左派連合(SYRIZA)政権は今後、署名したばかりの取引を妨げるためにやれることを全てやろうとするだろう。もしこれがドイツの勝利なのだとしたら、敗北など見たくもない。
ギリシャの民主主義がないがしろにされた?
ギリシャの民主主義をないがしろにしたという指摘もナンセンスだ。7月5日に行われたギリシャの国民投票の結果は、本質的には、他のユーロ圏諸国はギリシャに対する数十億ユーロの融資を継続すべきである、それもギリシャが決めた条件で融資すべきだ、というものだった。そもそも、これは現実的ではなかった。
ギリシャの行動の自由を実際に制限しているのは、欧州連合(EU)の非民主的な性質などではない。ギリシャが破産しているという事実なのだ。