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【社会】ドラム式洗濯乾燥機 閉じ込め死亡 身近な危険どう防ぐ東京都青梅市の男児(7つ)が六月、ドラム式洗濯乾燥機に閉じ込められて死亡した事故は、身近な家電に危険が潜んでいることを浮き彫りにした。韓国では過去に同様の事故が頻発後、メーカーが製品を改良したが、日本でその動きはない。消費者庁は「子どもが勝手にふたを開けられないようにする『チャイルドロック』の活用を」と呼び掛けるが、対策は万全だろうか。 (唐沢裕亮) ドラム式洗濯乾燥機は、ふたが横向きに付いているのが特徴。水漏れを防ぐために気密性が高く、中から開けられない構造になっている。国民生活センターによると、国内でのドラム式機の事故は、ふたが外れて落下してけがをした例はあったが、閉じ込め事故は初めてだった。 国内の多くの製品は、外からふたを強く押し込まないと閉まらないが、一部にはふたの重さで自然に閉まってしまうものもある。都内の家電量販店の店員によると、事故後、ドラム式機を購入しようとする客から「子どもが閉じ込められないか」という質問を受けることが増えたという。 家電メーカーなどでつくる「日本電機工業会」(東京都千代田区)によると、ドラム式機が国内で普及し始めたのは二〇〇〇年代。ふたが上にある「縦型」よりも少ない水量で洗えるほか、洗濯から乾燥まで一度に済ませられることから急速に普及した。 メーカーは、ドラム式機の本体や取扱説明書に「子どもに中をのぞかせない」などと注意事項を記している。消費者庁は、電子制御でふたが開かないようにする「チャイルドロック」の活用を呼び掛けている。 しかし、国民生活センターによると、ロックは電源が入っていないと掛からない。事故後、センターには「不使用時にロックが掛からず、どうしたらいいか」といった問い合わせが多く寄せられた。センターは、ふたが開閉できないよう本体にゴムバンドを巻くことを紹介している。 日本電機工業会の担当者は「大半の機種は電源を切る前にロックを掛ければ、電源を切った後もロックは維持される」と説明する。 技術者らでつくる「子どもの安全研究グループ」(東京都港区)の幹事、小田部譲(おたべゆずる)さん(75)は「五〜八歳くらいの子どもは好奇心が旺盛。くるくる回るものに関心を示し、穴があれば入りたがる。メーカーは子どもの特性を考慮し、仮に洗濯機に入ったとしても、ふたが中から開けられるよう工夫しないといけない」と指摘した。 ◆韓国ではメーカー改良韓国では二〇〇八年と一〇年に計三件、七、八歳の男児が韓国大手家電メーカー製のドラム式洗濯乾燥機の中に閉じ込められて死亡した。これを教訓に、この家電メーカーは一〇年以降、中からふたを開けられる製品を販売。旧式の製品の利用者には、中から開けられるように改良した部品を無償で交換するなどの再発防止に取り組んだ。 この大手家電メーカーの日本法人担当者によると、韓国では、日本よりも大きいドラム式機が普及。遊んでいる子どもが中に入りやすい危険があり、幼稚園などの教育施設には注意喚起のポスターも配布した。 別の韓国メーカーの製品は、事故前に内部から開く設計になっていたという。 韓国の大手家電メーカーのドラム式洗濯乾燥機は日本で販売されていない。日本電機工業会の担当者は「製品の構造を変えることで新たに生まれるリスクもある」とし、現時点では、中からふたが開く構造に改良することには慎重な姿勢を示した。 <ドラム式洗濯乾燥機閉じ込め事故> 6月8日未明、東京都青梅市の男児(7つ)が自宅のドラム式洗濯乾燥機の中に閉じ込められているのを母親が発見し、男児は間もなく死亡した。閉まったふたを中から開けられず、出られなくなったとみられる。窒息死の可能性があり、青梅署が調べている。 PR情報
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