【ウィーン=原克彦】イランの核開発を巡る同国と米英ロなど6カ国の協議は14日、包括的な解決への最終合意に達した。欧米メディアがイラン外交官や米欧の交渉担当者の発言として一斉に伝えた。正式発表に備え米国務省と欧州連合(EU)は、14日午前10時30分(日本時間同日午後5時30分)から7カ国がそろう最後の外相級協議を開き、その後に記者会見を行うことを明らかにした。
合意した「包括的共同行動計画」は、イランの核開発を長期間制限する一方、国連安全保障理事会や米欧による経済制裁を解除する内容になるもようだ。イランと米国でそれぞれの議会が承認し、核関連施設の査察などを経て正式に成立する見通し。イラン産原油の輸出拡大や、同国への武器や様々な物資の禁輸解除につながり、日本にも大きな影響を与えそうだ。
イランが核兵器を秘密に開発しているとの疑惑は2002年に発覚したが、イラン側は「核開発の目的が発電など平和利用」と主張。それから13年かけて結実した今回の合意は、国際社会が求める核不拡散にとっても大きな前進になる。1979年のイラン革命を機に30年以上対立してきたイランと米国の関係が改善する気配も漂ってきた。
安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランの協議は4月に「枠組み」で合意。その後はイランが熱望する制裁解除のタイミングや、同国軍事施設も査察対象に加えるか否かといった細部を詰める協議を続けた。
合意内容は米国とイランでそれぞれ議会の承認を得る必要がある。オバマ米大統領は核不拡散などの成果を訴え、議会に承認を求める意向だ。一方、イランは最高指導者のハメネイ師が合意への支持を表明すれば、議会でも承認されるとみられている。
ハメネイ、オバマ、イラン、EU