【コラム】国際刑事裁判所に桜を植えて歴史洗浄を狙う日本

 今、オランダ・ハーグでは、韓日間の「桜をめぐる外交合戦」が繰り広げられている。日本が昨年、国際刑事裁判所(ICC)新庁舎の周囲を桜の木で囲むことを提案、これに韓国が「絶対反対」と声を上げたことから始まった。たった数本の木に韓国がこのように神経をとがらせているのは、桜の花を植えることに「歴史ロンダリング」という日本の意図があると考えているからだ。

 日本の桜は近代の歴史で軍国主義の象徴だった。帝国主義国日本は「天皇のため桜の花びらのように散れ」と扇動して若者たちを戦場に追いやった。第二次世界大戦時の日本の自殺特攻隊「神風特攻隊」の戦闘機には桜の花が描かれていた。軍人の階級章も桜だ。日本の女性たちは学徒兵たちに桜の枝を渡して戦場に送り出した。

 ほかでもない戦争犯罪を扱う国際刑事裁判所をこのような桜で囲もうという試みは、日本が「戦争加害者」としての歴史を水に洗い流そうとしているからだ、というのが韓国の考えだ。ほかの国の人々に「韓国にも桜はたくさんあるのに、なぜそう言うのか」と聞かれたら、韓国の外交官はこうした歴史的背景を説明し、「『日本の桜』の意味合いは違う。戦犯裁判所に戦犯の象徴があってはならないではないか」という論理で対抗している。

 日本が明治時代の産業施設を世界文化遺産に登録する過程でもあらためて明らかになったように、日本の「歴史ロンダリング」や正当化工作は最近、緻密(ちみつ)かつ広範囲に行われている。日本は昨年、米国の教科書出版社に対し、「従軍慰安婦や南京大虐殺に関する記述内容を削除してほしい」と要請、ドイツの出版社にタイしても同様の動きを見せている。また、日本の歴史関連研究や記録を「修正」する目的をもって、米国など各国の学界に莫大(ばくだい)な資金をばらまいている。

 「このような動きの背景には、修正主義歴史観に基づく安倍晋三首相の強い信念がある」というのが専門家らの共通した見解だ。日本政府が今回の世界遺産登録に産業遺産とあまり関係がない私立教育機関「松下村塾」を入れたのも、安倍首相の個人的な信念によるものだという。松下村塾の創設者・吉田松陰は、安倍首相が「最も尊敬している」と語った人物だ。吉田松陰は征韓論や大東亜共栄圏などを提唱、朝鮮の植民地化を含む日本の帝国主義政策に理論を提供した。安倍政権は昨年、小中学校の道徳教材に吉田松陰に関する内容を盛り込ませた。

 安倍首相の長期政権が予想されるだけに、今後も日本の「歴史ロンダリングの暗礁」は繰り返し浮上する可能性が非常に高くなった。ある外交消息筋は「今この瞬間にも世界のあちこちで日本の外交官が安倍首相の指示に従い、自分たちだけの『歴史見直し』案を練るため額を突き合わせている」と言った。どこで始まるか分からない攻撃に備え、韓国外交当局は緊張を緩めてはならないということだ。韓国の防衛戦略が徹底的かつ精巧でなければ、他の国々から「韓国はなぜ日本のやることに対していちいち足を引っ張るのか」との逆風に合う可能性がある。

政治部=イム・ミンヒョク部長
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