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「んああ・・・ん・・・あああ・・・いい・・・いいのぉ・・・あああ・・・」 自分でも恥ずかしくなるほど私は淫らな声を上げている。 赤と黒で統一された部屋の中、私は喜びに満ち足りた時間を過ごしていた。 我が地底帝国の最高幹部であり、私の上司でもあるゲドラー様にこの身を抱いてもらっているのだ。 「ふん、いい締りだ。俺のモノが締め付けられる」 私の下でゲドラー様がにやりと笑っている。 たくましい肉体をベッドに横たえ、下から私の躰を猛烈に突き上げてくるのだ。 「ふあっ・・・ふぐぅ・・・あああ・・・いい・・・いいです・・・奥に・・・奥に当たって・・・うあああっ」 肉体を貫かれる痛みと喜び。私は自分の胸をまさぐりながら今まで感じた事の無い世界へ導かれていく。 「ふん、処女だったとは信じられんな。まるで娼婦のようではないか」 「あああ・・・す・・・すみません・・・とても・・・とても気持ちが良くて・・・ひああ・・・」 快楽にもてあそばれている私の躰。どうして今までこの快楽を知らなかったのかしら。 ぎしっぎしっと音を立てる私の躰。ボンデージの外骨格のきしむ音だけど、今はその音さえもが気持ちいい。 「ふん、いきたかったらいってもいいんだぞ。俺に遠慮することは無い」 「い・・・いいえ・・・一緒に・・・一緒にいって・・・下さいませ・・・ゲドラー様」 頭がぼうっとしてくるけれど一人でいくわけにはいかない。それにいくって言われても・・・ 「では、いけ!」 「ひやああああ・・・」 下からの突き上げがいっそう激しくなり、私の躰は嵐に巻き込まれたように振り回されていく。 私は自分の指を咥えながら、全身を襲う気持ちよさに翻弄されていく。 「ああ・・・何・・・何・・・この感覚・・・何なのぉ?」 「いけっ、いってしまえっ!」 更なる突き上げに私の頭は何も考えられなくなる。 ふわふわと体が浮いて全身がぴんと張り詰めていく。 「こ・・・これが・・・いく? ああああ・・・・・・」 私はそのまま絶頂感に包まれて何もわからなくなってしまった。 天井にある目玉の文様。 私たち地底帝国の皇帝陛下の文様。 私の敬愛し、この身を捧げる皇帝陛下。 その偉大なる文様が私を見下ろしていた。 「目が覚めたようだな」 その声に私は我に返った。 ソファに両手を広げてゲドラー様がくつろいでいる。私はというとベッドに寝転がり毛布を掛けられていたのだ。 「ゲ、ゲドラー様。も、申し訳ありません」 私はあわてて身を起こし、ゲドラー様に謝罪する。 「ふん、まあいい。お前の乱れる姿、なかなかだったぞ」 私の顔は真っ赤になったのではないだろうか。あまりのお言葉に何も言えなくなる。 「身支度を整えろ。一時間後に会議室へ来い」 そう言ってゲドラー様は立ち上がる。マントを翻す様はとてもかっこいい。 「かしこまりました。ゲドラー様」 私はそれだけ言うのが精一杯だった。まだ、セックスの余韻が私の躰を包んでいたからだ。 あんなに気持ちのいいことだとは思わなかった。 ゲドラー様に抱かれていたときの気持ちは言葉では言い尽くせない。 「ゲドラー様・・・」 私は一人になった部屋でいつしかそうつぶやいていた。 カツコツとヒールの音が小気味良くひんやりした廊下に響き渡る。 会議室に向かう私の足取りは意気揚々としているようだ。 形良く膨らんだ胸は外骨格に覆われて輝いているし、ロッドを持った右手はぬめるような赤が鮮やかだ。 地底帝国のアジトはさほど人気があるわけではないが、すれ違う下僕虫どもは皆私に立ち止まって一礼する。それはとてもすがすがしい気分だった。 会議室は指令区画の一角にあり、あまり使われていない所のようだったが、ゲドラー様はここで何をなさるおつもりなのだろうか。 「ブラックローズです」 私は会議室のドアの前に立つと、我が名を名乗りドアが開くのを待つ。 やがてドアがゆっくりと開き、私を招き入れた。 「来たか、ブラックローズ」 がらんとした会議室にはゲドラー様お一人がたたずんでいた。 「はい。お待たせいたしました、ゲドラー様」 私はゲドラー様の前に跪き、一礼をする。 「ふん、時間通りだ。別に待ってなどおらん。それよりも今日はお前に見せたいものがあってな」 「見せたいもの?」 私は思わず顔を上げた。見せたいものとはいったい? 「ふん、もうすぐ来る。少し待て」 「はい」 私は素直にうなずいた。ゲドラー様の命令は絶対。ゲドラー様のご指示に従うのは当たり前のこと。 私は立ち上がり、ゲドラー様のそばでその時を待つ。 やがて会議室のドアが開かれて、下僕虫に連れられた二人の人影が入ってくる。 「は、離せってば!」 「いやあっ、どこへ連れて行くのっ?」 ぐぎいぃぃぃ・・・ 下僕虫のうなりとともに入ってきたのは白鳳学園の女学生、西宮恵理と村中響子だった。 「西宮さん・・・村中さん・・・」 私は正直鼻白んだ。ここは栄光ある地底帝国のアジトである。地上の人間どもが存在していい場所ではない。 「ふん、こいつらとは久し振りだろう?」 「はい・・・まだ生きていたのですね。てっきり死んだものと思っていましたわ」 ゲドラー様のお言葉だが、私は少しむっとして言った。 「麻里子先生! たすけてぇ!」 「君嶋先生! 無事で・・・」 村中響子の方は私が君嶋麻里子などではないことに気が付いたのか、言葉が途切れる。 「ゲドラー様。この者どもの始末、私がつけてよろしいですか?」 私はロッドを握り締めて二人を見据えた。恐怖に泣き叫ぶ西宮恵理とは対照的に村中響子はきっと私をにらみつけてくる。面白くない娘だ。 「ふん、まあ待て、実は面白い実験を行おうと思ってな。これが何だかわかるか? ブラックローズ」 そう言ってゲドラー様は丸い玉を一つ取り出して指に挟む。 その玉は黒くてまがまがしい感じのものでとても美しい。 「いえ、わかりません。ゲドラー様」 「ふん、始めて見るからな、仕方あるまい。これは魔獣の核を強化したものだ」 黒光りする玉をゲドラー様はかざして見せる。魔獣が核から造られるのは聞いてはいたが、実物は始めて見た。 「魔獣の核?」 「ふん、そうだ。しかもこいつは闇の力で強化されている。これをこの娘たちに植え付けてみたら・・・どうなるかな?」 にやりと笑うゲドラー様。私も思わず笑みがこぼれた。 なるほどそういうことですか。 ゲドラー様は単にこの娘たちを生かしてきたのではなかったのだ。 ゲドラー様は新種の魔獣を生み出そうとなされているのだ。 地上の人間と魔獣との合成。 それは地上の人間を減らし、我が帝国の戦力を増大させる一石二鳥の妙手である。 問題はそれが上手く行くかどうかということ。 けど・・・上手く行かなくても問題は無い。その時は単にこの娘たちが死ぬだけの話だった。 「ふん、上手く行けばこの娘たちも我らの配下となってくれよう」 「はい、それならば話は別ですわ。可愛い魔獣になっていただきたいですわ」 私は二人を見渡した。 西宮恵理は今何が起こっているのかわからずに肩までの髪を揺らして泣いている。一方村中響子は春川しのぶに通じるボーイッシュな娘で短くした前髪の奥の瞳がゲドラー様をにらんでいた。 「ゲドラー様? その役目、私にさせていただけませんか?」 「ふん、構わんぞ。好きにするがいい」 「ありがとうございます」 私は核を受け取ると、下僕虫に両手を押さえられて身動きの取れない西宮恵理の方へ向かっていった。 私の立てるヒールの音が会議室に響く。聞こえるのは私の足音と私の息遣い。 目の前で首を振っていやいやをしている西宮恵理の声は私には聞こえない。 可愛い・・・ おびえている地上人の女の子というのはこれほどに可愛いものなのか・・・ もっと可愛がってあげたい・・・ もっと泣き叫ばせてあげたい・・・ 私は恵理の前に立つと涙で濡れている顔をそっと持ち上げてキスをした。 「あ・・・」 恵理も驚いたようだったが、私自身も驚いていた。あまりの可愛らしさに思わずキスしてしまったのだ。 「麻里子先生・・・」 「違うわ。私の名はブラックローズ。心配しないで。あなたもすぐに生まれ変われるから」 恵理の目が驚愕に見開かれる。おびえているのだ。おびえることなど何も無いのに。 「君嶋先生! 目を覚まして! 先生はこいつらにだまされているんだ!」 村中響子が何かわめいている。おとなしくしていればすぐにすむのだから、静かにして欲しい。 「黙りなさい。今からこの娘が生まれ変わるところを黙ってみているのよ。」 「先生・・・」 私が静かにそう言ってにらみつけると、響子もおとなしくなる。 それでいい。今はまだ汚らわしい地上人だが、上手く行けば彼女も我らがしもべに生まれ変われるのだから。 「いやっ! いやですっ! お願い、たすけてっ!」 両手を下僕虫につかまれているので恵理はただ首を振ることしかできない。 「恐れなくてもいいわ。とても気持ちよくしてあげる。」 私はそう言って、恵理の着ているセーラー服のブラウスに手を掛ける。 ちょっと力を加えただけでそれはたやすく引き裂かれ、白い清楚なブラジャーに包まれた小振りだが形の良い胸があらわになる。 「いやあぁぁぁ・・・」 恵理が悲鳴を上げるが、私は構わずに恵理の胸に手を伸ばした。 私の爪は鋭く、ブラジャーの中央を切り裂いて恵理の胸を白日の下にさらしださせる。 「やめてぇ!」 「やめろぉ!」 二人の叫びが交差する。 だが、私は目の前の恵理が可愛くて、愛しくてたまらなかった。 「可愛いわ。今核を植えつけてあげるわね。そうすればあなたも地底帝国の一員になれるのよ」 私は恵理の胸に手をやり、優しくそっと愛撫する。鋭い爪で傷つけないように優しくだ。 「ああ・・・いや・・・やめて・・・」 恵理はいやいやをするが、私は愛撫の手をやめない。彼女の可愛いうなじにキスをして、首筋に舌を這わせる。 「ああ・・・いやあぁ・・・だめぇ・・・」 恵理の言葉に甘いものが響き始める。くにくにと乳首をいじってやると先が少しとがってくる。 「感じているのね。それでいいのよ」 「はああん・・・いやあ・・・」 私は右手で恵理のスカートを切り裂き、下に落としてショーツだけにする。数日着替えていないにもかかわらず、そこはコロンの香りがした。 「先生、もうやめてよ・・・どうしちゃったんですか・・・君嶋先生・・・」 見ると村中響子は泣いていた。その泣き顔はとても可愛い。 私は右手を恵理のショーツの下に滑り込ませて草むらの奥に指を差し込む。少し湿り気を帯びたそこは熱い感じがした。 「ふああ・・・いやあ・・・いやよぉ・・・」 「気持ちいいでしょ、もっと感じさせてあげるわ」 私はひだひだの奥に指を差し入れていき、膨らみかけているお豆を探り当てて指の腹で触ってやる。 「ひああっ」 躰をビクッと震わせて恵理が悲鳴を上げる。まだこの感覚に慣れていないみたいだ。とても可愛い。 「これがクリトリスよ。優しく触ってあげるわ」 左手で胸を、右手でクリトリスを愛撫してやり、舌でも乳首を転がしてやると恵理の顔は次第に上気してきて真っ赤になる。 「どう? 気持ちいいでしょ?」 「ああ・・・はい・・・気持ちいい・・・気持ちいいですぅ・・・」 恵理は少し口を開いて躰を襲う快感にその身をゆだね初めている。私は両手の動きを少し早めて恵理がもっと快感を得られるように愛撫をしてやった。 「はああん・・・いい・・・いいよぉ・・・気持ちいいよぉ・・・」 「ふふふ・・・気持ちいいでしょ? もうすぐいかせてあげるわね」 「あはあぁ・・・いい・・・いく・・・いくよぉ・・・いっちゃうよぉ」 「恵理!」 響子が声を上げるが、恵理はすでにいく寸前だ。このまま快楽とともに核を植えつけてあげるのだ。 「さあ、おいきなさい。私の愛撫でいってしまいなさい!」 「あああ・・・来る・・・来るの・・・私・・・いっちゃうぅぅぅぅぅぅぅぅ」 私は絶頂を迎えようとする恵理の口に核を押し込んでやる。 恵理は躰を震わせて絶頂を迎えながら魔獣の核を飲み込んでいった。 ぐったりとなった恵理は両手を下僕虫に支えられて立っていた。あまりの快感に意識を失ったのか、それとも魔獣の核が意識を失わせたのかはわからない。 私は二、三歩下がって様子を見守る。 「恵理っ! 恵理っ! しっかりしてよ恵理ぃ・・・」 半べそをかきながらも響子は恵理の心配をしているが、肝心の恵理はぴくりとも動かない。 「ゲドラー様・・・」 私も少し心配になり、ゲドラー様の方を向く。ゲドラー様も難しい顔をしていた。 「失敗か?・・・」 ゲドラー様がそう言って椅子から立ち上がろうとした時、変化は訪れた。 恵理の胸の谷間あたりからじわりと黒い染みがにじみ出てきたのだ。 「む・・・」 ゲドラー様は顔をしかめる。 恵理の胸に現れた染みはやがて躰のあちこちに現れ始めた。胴体や両手両脚などにである。 「ふん、始まったようだな」 ゲドラー様は再び椅子に腰を下ろす。私はそのそばへ行って跪いた。 「え・・・恵理・・・」 響子も恵理の変化に驚いているようだ。 やがて恵理の躰に現れた黒い染みはじわじわと彼女の躰を覆っていきながら、変化を始め彼女の躰の組成を変えていく。 胴体、両手、両脚が黒い毛に覆われていくのだ。 半ば千切れたセーラー服も両足を覆っていたソックスやスニーカーも変化していく躰に引き千切られていき、ずたずたになっていく。そしてその中からは黒い毛に包まれた新たな躰が覗いているのだ。 「うふふ・・・どうやら恵理は合格のようね」 私は恵理の変化していく様を見ていて嬉しくなっていた。これでこの娘も地底帝国の一員となれるのだから。 やがて恵理がゆっくりと顔を上げる。その表情には笑みが浮かんでいた。 恵理の躰は変化していた。 胴体はノースリーブのレオタードを身に纏ったように黒と黄色の毛に覆われ、両手は二の腕から先がやはり黒々とした毛で覆われた手袋を嵌めたようになっている。 両脚も太もものところで毛に覆われたブーツ状となっており、お尻には大きな突起状の器官がせり出していて、さながらその姿は蜘蛛と女性を掛け合わせたもののようだった。 両目のふちは黒く縁取られ、唇は黒く塗られてやはり妖しい魅力を出している。 「ほう・・・」 ゲドラー様も目を見張る。とても可愛い蜘蛛女の誕生なのだから。 蜘蛛女となった恵理は、おもむろに右手を押さえている下僕虫から腕を引き抜くと、そのまま鋭い爪を下僕虫に突き刺した。 「ぐぎゃあぁぁぁぁ」 胸を貫かれた下僕虫の悲鳴が上がる。 恵理はそのまま再び左腕を押さえている下僕虫にも爪を突き刺して床に転がした。 「ふん、いつまで私の腕を押さえているんだい! 下僕虫どもが!」 床に倒れ苦しんでいる下僕虫を恵理は冷ややかに見下ろして足で踏み潰す。 ぐしゃっと言う音がして、会議室の床に下僕虫の体液が広がった。 「ふふ・・・ふふふ・・・すばらしいわ・・・最高の気分よ」 恵理は自分の両手を見て口元に笑みを浮かべている。とても可愛らしい邪悪な蜘蛛女だ。 「ふん、どうやら成功だな。新魔獣・・・というのも変だな、蜘蛛に変化したようだし妖女虫とでも名付けよう」 妖女虫・・・なんて素敵な名前の響き。 「ふん、今日よりお前は妖女虫クモーナとして生きるが良い」 「はい。私は妖女虫クモーナ。ゲドラー様ならびにブラックローズ様に忠誠を誓います。」 クモーナとなった恵理が私たちに跪く。その姿はとても可愛い。 「うふふ・・・よろしくね、クモーナ。生まれ変わった気分はどう?」 「はい。ブラックローズ様。最高の気分です」 クモーナは嬉しそうだった。無理もない。地底帝国の一員になれたのだから。 「ふん、もう一人にも植えつけてやれ」 ゲドラー様がもう一つの核を取り出す。私はうなずいて核を受け取った。 「い、いやっ! いやだっ! いやだよぉ!」 村中響子は必死になって身をよじるが、両側から下僕虫に押さえられていては逃げられっこない。 私はゆっくりと響子に近付いていった。 「いやぁっ! たすけてぇっ!」 「なぁんだ・・・誰がわめいているのかと思ったら響子じゃない。なあに? まだ人間なんかやっているの? 早く妖女虫になりなよ、素敵よ」 恐怖に震える響子に向かってクモーナが言う。 「え・・・恵理・・・そんな・・・」 「私は恵理なんていう人間じゃないわ。私は妖女虫クモーナ。地底帝国の戦士よ」 「観念なさい村中響子。上手くいけばあなたも妖女虫になれるのよ。」 私はおびえる響子のそばへ行き、やさしくその顎を持ち上げてキスをした。 「い、いやあぁぁぁぁぁぁ・・・」 私の目の前には新たな妖女虫が立っていた。 胴体をレオタード状の赤い外骨格が覆い、両腕はやはり二の腕から先が固い手袋状の外骨格に変化している。両足も赤いハイヒールブーツが覆い足元を引き締めていたが、背中からお尻にかけて節状に膨らみ、そのまま長く伸びる尻尾に繋がっていた。 尻尾の先には膨らんだ毒袋と毒針が付いていて、この妖女虫が蠍の妖女虫であることがわかった。 「この娘は蠍のようね。サソリナとでもしましょうか」 「それでいいだろう。ふふふ・・・お前の仲間が誕生したぞ」 ゲドラー様は私の言葉にうなずき、床に腰を落としてゲドラー様のモノにご奉仕しているクモーナに語りかける。 おいしそうにゲドラー様のモノをしゃぶっていたクモーナは喜びの表情を浮かべた。 「はい、ありがとうございますゲドラー様。ブラックローズ様、これで彼女も地底帝国の一員ですね?」 「そうね。サソリナ、気分はどう?」 私は目の前に立つ妖女虫に声を掛ける。すると彼女はにこりと微笑んだ。 「はい、とても気持ちいいです。こんなすばらしい躰になれるなんて・・・どうしてあんなに嫌がったのかしら」 サソリナは自分の躰を愛しそうにかき抱くと、うっとりと見下ろしていた。 「私もそうだったわ。変化した自分の躰はとても素敵でしょ?」 「はい、最高です。ああ・・・早く地上の人間を殺したいわ」 サソリナの言葉は私の言葉だった。 私も一刻も早く地上を破壊したかった。 「ふん、ブラックローズよ、この二人はお前に預ける。好きに使え」 「はい。ありがとうございます、ゲドラー様」 私がそう言って一礼すると、ゲドラー様はニヤリと笑った。 「だが、それは今ではない。今は楽しむとしよう。二人ともこっちへ来い」 私とサソリナは喜んでゲドラー様の元へ近付いていった。 しばらくして、私は自分の部屋にクモーナとサソリナの二人を招きいれた。 二人はもう身も心も妖女虫となり、我が地底帝国の一員となれたことを光栄に思っている。 皇帝陛下のためならばどんなことでも行うだろう。 それは私も同じだけど、私は彼女たちを使いこなして地上侵略を遂行しなくてはならない。 そのための手はずを整えるために私は二人を呼んだのだった。 ソファに座る私の前で二人はかしこまったように跪いている。 黒い毛に覆われた腰がきゅっとくびれたクモーナと赤くぬめるような光沢の外骨格に覆われたサソリナの二人はまったく対照的だったけれど、二人ともとても可愛い妖女虫だ。私はこんな二人を配下に入れてもらえて単純に嬉しかった。 「二人ともとても可愛いわ。これからは地底帝国のために働くのよ」 「はい、私たちは地底帝国の妖女虫。この身も心も皇帝陛下にお捧げいたします」 二人の声がハモる。 「いい娘ね、それではこれからは私に指示に従いなさい。命令違反は赦さないわ」 「はい、私たちはブラックローズ様に指示に従います」 その返事を聞いて私は立ち上がる。 「ではあなたたちの能力を確認します。人間の姿をとりなさい」 「えっ?」 「人間の姿?」 二人は驚いたように私を見上げた。それはそうだろう、人間の姿になる理由がわからないだろうから。 「どうしたの? 早く人間の姿になりなさい」 「あ・・・はい」 「わかりました」 私の命令に二人はしぶしぶ立ち上がり、やがてその姿をかつて人間であったときの姿に変化させていく。 魔力をかなり消費して自身の姿を変化させるため、その維持だけで魔力を使い、戦闘力は激減する。 そんなリスクの多い変身をさせるのには理由があった。 「これでよろしいでしょうか? ブラックローズ様」 二人の姿は白鳳学園の女学生、西宮恵理と村中響子の姿となっていた。もちろん身に着けている衣装も魔力で構成したものだ。 「それでいいわ」 「教えて下さい、ブラックローズ様」 村中響子が口を開く。人間の姿は気に入らないのだろう。 「なあに?」 「なぜ人間の姿なんかにさせるのですか? 私は人間であったことなど忘れたいのです。私は妖女虫サソリナですわ」 「わかっているわ。あなたは私の可愛いしもべ、妖女虫サソリナよ」 「ではなぜ?」 「お聞きなさい」 何となく私はかつて教師であったことを思い出した。二人の教え子に講義をしているようだ。 「はい」 二人は私をじっと見つめる。私は二人に理由を話すことにした。 「地上制圧に必要な橋頭堡をまず確保しなければならないわ。そのためには龍脈である倉口市が必要。そこまではわかるわね?」 二人がうなずく。 「ですが、倉口市には私たちの邪魔をするクリスタルレディがいます。彼女たちを排除しない限り、倉口市の制圧は望めないわ」 「クリスタルレディなど私たちが・・・」 「相手を舐めてはだめよ。クリスタルレディは手ごわい相手」 そう、それは私自身が一番良く知っていること。 「相手を倒すにはまずその相手を知ることが必要よ。そのためにあなたたちにはその姿で潜入行動を行ってもらいたいの。もちろん私自らも出撃します」 「ブラックローズ様も?」 「そうよ。私は白鳳学園の教師。潜入に不都合は無いわ」 もっとも、彼女たちと同じく、かつての姿などに戻りたくも無いが・・・ 「わかりました。私たちは白鳳学園の学生としてブラックローズ様とともに潜入行動を行います」 二人は納得したように再び跪いた。 私はそんな二人を好ましく思うと同時に、クリスタルレディたちに対しての策をめぐらせていた。 さあ・・・覚悟しなさい、クリスタルレディ。
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