|
目覚まし時計が鳴った瞬間、反射的に手が伸びてスイッチをオフにする。 夕は勢いをつけて起き上がると、網戸にした窓から流れる朝の程よく冷えた空気を胸いっぱいに吸い込んだ。 途端に眠気が消え去っていき、頭がすっきりとした。 夏の朝特有の水晶のように澄みきった空気の中にいると、自分もその中に溶け込むように身体が軽くなる。 制服に着替えると、髪をくくりながら階段を下りていく。 差し込む日の光は強く、今日もまた残暑の厳しい一日となりそうだった。 「おはよう、夕ちゃん」 台所ではすでに母親の亜樹が朝食の準備を終え、夕の茶碗をテーブルにセットしているところだった。 「もう、その『夕ちゃん』ってのはやめてよ。いつまでたっても子離れできないんだからあ」 「だってねえ・・・お父さんが単身赴任で寂しいじゃない。だからつい、夕ちゃんをかまいたくなっちゃうのよ」 まったくもう、とぼやきつつも夕は笑顔で茶碗にご飯をよそう。 陸上部の朝練がある自分のために、毎日さらに早起きして朝食を作ってくれているのだ。 多少過保護な面があっても目をつぶるべきだろう。 「さて、と・・・いただきまーす」 「はい、どうぞ」 塩鮭をおかずに大盛りのご飯をほおばる夕を、亜樹はニコニコと観察する。 「夕ちゃんはきちんとご飯食べてくれるからうれしいわあ。ほら、最近のコはダイエットとかがんばりすぎだから」 「陸上やってるからね。食べてもそのぶん消化しちゃうし」 瞬く間に茶碗を空っぽにし、夕は再び炊飯器からご飯をよそう。 見た目の割りによく食べる夕だが、その身体は無駄な肉がなく引き締まっている。 とくに下半身はスラリとした流線型で、いわゆる『カモシカのような足』だ。どこか野生的で色気よりも健康さが目に付く。 「ふ〜ん・・・」 亜樹は娘を頭から足元までじっくり見ると感嘆の息をついた。 「ほんと、夕ちゃんはダイエットの必要ないわよねえ。私もジョギングでもやろうかしら」 「え〜!?やめといたほうがいいよ」 夕は間髪入れずにそう言う。 のほほんとして家庭的な亜樹は、見た目そのままで相当な運痴だ。 五十メートル走の過去最高記録が38秒というのだから・・・。ジョギングなどをやらせた日には、帰って来るころにはテレビでは「いいとも〜」などと言ってる時間になっているかもしれない 。 そんな亜樹から小学生のころから陸上大会常連の夕が生まれたのだから、遺伝というのもあてにならない。 夕としては、もうそれなりの年齢なのに皺が目立たず、その若々しさからお嬢さんと呼ばれることもある亜樹の肌の質は遺伝していて欲しいと思っているのだが。 「ところで夕ちゃん?」 二杯目を口に運ぶ夕を、亜樹が急に真顔で見つめた。 「んくんく・・・ん、何?」 「夕ちゃん、何か悩み事でもあるんじゃないの?」 突然の母親の指摘に夕は動転し、ご飯を喉に詰まらせそうになりあわててお茶で流し込む。 「けほっ・・・!え、ええ!?悩み事なんかないって!」 「そうかしら?」 亜樹は先ほどと同じく、ただ真っ直ぐに夕を見つめる。 意外にも亜樹は人の心の機敏を感じ取ることに長けているのだ。 自分が生んだ娘ならなおさらのこと、僅かな変化も見逃すはずもない。 厳しく問い詰められているわけでもないのに、その心を見透かすような視線を前にすると夕は途端にいたたまれなくなった。 (やっぱお母さんには敵わないなぁ・・・) 忘れようとしていたのにしっかりと昨日の出来事を思い出させてくれた。 一瞬、全てを話して楽になろうという考えが頭をよぎるが、夕は即座に否定する。 普段の悩みや隠し事ならともかく、こればかりはそうはいかない。 昨日の出来事を話すということは、自分がジュエルエンジェルだということまでばらしてしまうことなのだから。 まさか自分が生死を賭けて戦っていることなど告白できるはずもない。 「あーっ!!やばいよ、朝練遅れちゃうっ」 だから夕は、なんとか話をはぐらかすしか手立てがなかった。 まだ余裕があるのに時計を見て大げさに驚いてみせ、残りのご飯をかきこむと鞄とスポーツバッグを持って玄関に向かう。 ゆるくなっていた運動靴の紐を結びなおす夕に、亜樹は遠慮がちに声をかけた。 「あのね夕ちゃん、無理には話さなくていいの。・・・でもね、自分一人でどうしようもなくなったらお母さんを頼ってほしい」 「・・・・・・うん」 胸にジンと温かさが広がる言葉。 口には出さずに、夕は心の中で母親に感謝した。 「いってきます!」 勢い良く玄関を飛び出すと夕はさらにスピードを上げて走り出す。 学校まで軽いウォーミングアップを兼ねて走るのは彼女の日課なのだ。 流れる景色。空気を自分の身体で切っていく感触。少しずつ呼吸が苦しくなるが、それすらも心地いい。 走っているときのこの感覚が夕は何よりも好きだった。 昨日見た、階下の死体を見て楽しそうに笑うナックル。 人間のことをまるで道具か何かのように話していたガードとランサー。 それらも息が上がるなかで全てぼやけていく。 (心配ないよ。だってあんなの見間違いに決まってるから―――) 夕は記憶を振り切るように、いつものペースを崩してさらに加速した。 校門をくぐると、夕は横道に反れて校庭に面した陸上部の部室に駆け込んだ。 「おはよー!」 「おはよっ!」 すでに着替えを終えて談話していた部員たちが元気良く挨拶してくる。 「はあ、はあ・・・おはよー」 息を整えながら挨拶を返した夕は、そこにいる面子を数えて目を丸くする。 「え、もしかしてわたしが最後!?みんな今日やけに早くない?」 「あはは、いい天気だから目覚めがよかったのかな。・・・それより、早く着替えなよ。今から体育館に集合だってさ」 「え、なんで?」 こんなによく晴れた日にどうして体育館なのか、と夕は訝しく思う。 部員たちは意味ありげに笑みをかわし、内緒話でもするかのようにこっそりと言った。 「実はね、武島先生が自己流の基礎トレ教えてくれるんだって」 「ええっ!?それホント?」 陸上部顧問である体育教師の武島郁美先生は、世界陸上の候補にもなったことのある有名な元女性選手だ。 周囲の期待に反して本人は『自分よりもすごい選手を育ててみたい』とさっさと引退して、出身校であるこの学校の教師になってしまっている。 まだ二十代と年齢も近くまだ現役の彼女は、夕を含む女子陸上部員の憧れの的だ。 余談だが、ルックスもなかなかなので多くの男子生徒にとっても憧れの的であったりする。 とにかく、そんな武島先生の自己流のトレーニングというのは陸上をしている者なら是が非でも知りたいものなのだった。 「ほらほら、急がないと見逃しちゃうよ?」 「ま、待って!すぐ着替えるからっ」 慌ててスポーツバッグから体操服を取り出した夕の手がふと止まる。 「・・・あのさ、それでどうして体育館なの?」 「さあ?」 見当もつかない、と夕と同学年のその部員は首を振る。 その目が夕と合った。 「あれ・・・なんかさ、目の感じが変じゃない?」 「うん?別になんともないけど。・・・ああ、最近ゲームしすぎて視力落ちてるかも」 「いや、そうじゃなくて・・・。なんか、雰囲気っていうかそういうのが・・・」 と、別の部員が外からドアを開けて中にいる部員に呼びかける。 「みんな、もう始めるってさ。急いで〜っ!」 「っと、そ、そんな場合じゃなかったぁ!」 ボタンをはずすのにもたつく夕を尻目に、部員たちはどんどん出て行ってしまう。 着替えを終え、脱いだ制服を無理矢理バッグに押し込むと、夕は先ほど感じた些細な違和感のことなど忘れて体育館へとダッシュする。 だが、それが彼女の運命を決定付けることになってしまうとは当の本人ですら思いもしないのだった。 自分が察知した、二つの違和感に注目さえしていれば―――。 自分の敵が、日常ですら平気で侵してくるようなやつらであると肝に命じておいていれば―――。 穂谷夕としての自分とジュエルソニックとしての自分を切り離して考えていたことが、彼女の命取りとなるのだった。 「みんなそろったわね?それじゃあ、早速始めましょう!」 集合した夕たちに朗らかに呼びかけると、武島郁美は等間隔に並ぶよう指示を出す。 黒髪を後ろで束ね、赤のジャージで身を固めているその格好は垢抜けない容姿のはずなのになぜかカッコイイ。 彼女の魅力がその躍動感にあるからかもしれない。 いつかは自分もあんな風に、と夕は惚れ惚れと郁美を見つめるのだった。 「さて、今から私流のトレーニングを教えるわけだけど」 並び終えた陸上部員を郁美はぐるりと見回す。 「あなたたち、陸上やるのに鍛えなけりゃならない箇所はどこだか知ってる?」 「はーい!もちろん脚部でしょ?」 即座に部員の一人が答える。 「うん、それももちろんなんだけど。実はもっと重要な箇所があるのよ」 「えっ、どこですか」 「それはね、腰。ここがしっかり安定してないと脚の力も生きないのよ」 突然郁美は夕たちの方に尻を向ける形で四つん這いになると、クイクイと腰を上下に振りだした。 小刻みに振る合間に、ゆっくりと腰を深く落とす。そしてまた上下運動を小刻みに戻る。 (うわ、なんかエッチ・・・・・・) 絶え間なく揺れ動く郁美の尻を目にし、夕は赤面する。 「これが私の腰を鍛える運動。さあ、みんなもやってみて!」 その言葉に陸上部員たちは床に手をつき、見様見真似で腰を振りはじめた。―――夕以外。 「えっ・・・」 夕は戸惑いを隠せなかった。 こんな恥ずかしい運動を躊躇もなしにみんながやるとは思ってもみなかったのだ。 流されるようにワンテンポ遅れて床に手をつけるが、やはり腰を動かすのにためらいを感じる。 「これ、ちょっと恥ずかしくない〜?」 夕はたまらず隣りの部員に尋ねる。が、 「そっかな?アタシはどっちかっていうと、ラジオ体操のガニ股の方が恥ずかしいけど」 返ってきたのは非常にそっけない返事だった。 「あら穂谷さん、恥ずかしがってちゃダメよぉ!」 会話を聞きつけた郁美が注意する。 「っ!す、すみません!」 「クスッ、まあ慣れないうちは恥ずかしいかもね。そうかと思って誰にも見られないよう体育館を選んだんだから、思い切ってやってみないさいな」 (・・・ああ、だからなのか。武島先生、細かいところもよく考えてるんだなあ・・・) 夕は納得し、改めて考え直してみる。 確かに体育館には女子陸上部の部員しかいないわけだし、これはただの運動なのだ。 それに、武島先生から直々にトレーニング法を教えてもらえる機会を逃すのはもったいなさすぎる。 とりあえずやってみるべきだろう―――。 そう結論付け、夕も皆と同じように腰を動かし始めた。 「ん、あれ・・・」 実際に動かしてみてわかったのだが、これが案外難しい。 思った方向になかなか曲がらないし、ちょっとした力加減でスピードがガクンと落ちてしまう。 何気ないように尻を振る郁美の動きがいかに卓越したものであるのかがわかり、夕もだんだんと真剣になってくる。 「いい感じよ〜!じゃあ合わせていくわよ!はい、いち・に・さ〜ん!いち・に・さ〜ん!」 郁美の号令に合わせ、陸上部員たちは腰を上下に振りながら三のタイミングで深く落とす。 整列して四つん這いになり、悩ましく腰を振るブルマ姿の少女たち。 もし男子生徒が見ていたなら今夜のオカズに使われること間違いなしなほど、傍から見たその光景は卑猥なものだった。 「でもやっぱり、なんか変なトレーニングだったなあ・・・」 時間はすでに午後六時をまわっている。 登校時とは違い、程よく疲労した身体でブラブラと歩きながら家路を辿る夕は、今朝のトレーニングを思い返す。 (自己流だとしても・・・あんなトレーニングの方法なんて聞いたこともないしなあ・・・) 正直、あのトレーニングが本当に効果があるかと夕は半信半疑だった。 各自、家でもやっておくようにと言われたのだがどうにも気が進まない。 (第一、腰ってそこまで重要なものだったっけ・・・?) 考えれば考えるほど腑に落ちないことが次々と湧き上がってくる。 ぐるぐるとクエスチョンマークを回転させていると、いつの間にか自宅の玄関までたどり着いていた。 「ただいまー」 「お帰りなさ〜い!」 夕が玄関を開けるとすぐに、台所からエプロン姿の亜樹がお玉片手に出迎えに来る。 その足取りは妙に軽く、にこにこ微笑む顔は僅かに紅潮していた。 「お母さんどうしたの?やけに嬉しそうな顔しちゃってさ」 「んふふ〜実はねえ、お母さんもやっぱり運動することに決めたの。お母さんにぴったりのがあるのを思い出したのよ」 「へえ、どんなの?」 「な・い・しょ!夕ちゃんに真似されたら、ますます差が開いちゃうじゃない」 「・・・はいはい」 呆れ顔の夕は、亜樹を置いて部屋に向かおうとする。 「見てなさいよ。身体は鍛えられるし、美容にもいい運動なんだから。きっと夕ちゃん、見違えるわよ」 「・・・お母さんはいいね、悩みなさそうで」 「むっ。何か棘のある言い方ね。もしかして、お母さんが夕ちゃんよりきれいになるのを恐れてるのかしら?」 いい年して何を張り合ってんだか。 夕は相手をしてるのがバカらしくなり、それ以上母親にかまうのをやめて自室に入った。 今日も相変わらずの蒸し暑い一日だったため、体中が汗でベトベトだ。さっさと風呂に入ってさっぱりしたかった。 パジャマ代わりのランニングを箪笥から引っ張り出す夕は、ベッドに顔を向けるとしばし思案しはじめた。 (今日はトレーニング、どうしようかなあ・・・) いつも風呂上りにベッドで簡単な屈伸運動をするのだが、あの腰の運動をする気は起きない。 「別にやらなくてもいいよね。そんなに変化あるとは思えないし・・・」 いつものメニューだけこなせばいいや、と夕は頷く。 あれこれ理屈をこねても、結局のところは恥ずかしいからというのが一番の理由だったのだが。 「・・・・・・うそでしょ?」 それから三日ほどたったある日。部活で短距離のタイムを測ることになった夕の口から、そんなつぶやきがこぼれた。 部の中でも一、二を争う速さであるはずの自分が、なんとビリだったのだ。 それもコンディションが悪いわけではなく、むしろ調子が良いと感じていたにもかかわらず、だ。 「きゃ〜っ、やったあ!こんなタイムが出せるなんて!」 小躍りして喜んでいるのは、いつもタイムの芳しくなかったはずの少女だ。 だが彼女が今日はじき出したタイムは、夕の平均タイムとほぼ同じものだった。 「すごい、いきなりここまで効果が出るなんて」 「武島先生ってやっぱすごい人なんだね。これからも腰のトレーニングは欠かさずやろうっと!」 自分のタイムに興奮を隠せないみんなの声が遠くに聞える。立ちくらみのような感覚を覚え、脚から力が抜けていく。 まるで悪い夢を見ているようだった。 「穂谷さん、ちょっといいかしら」 肩を叩かれ夕はハッと我に返る。 郁美が厳しい視線で夕の瞳を見据え、部室の裏手を指差す。 夕は力なく頷き、郁美とともにそちらに移動した。 「穂谷さん、あなた私が教えたトレーニングやっていないでしょ!?」 開口一番、郁美は叱り付けた。 「す、すみません・・・っ」 「あなた、みんなに教えたとき恥ずかしがってたわね。そんなに嫌だったわけ?」 夕が黙りこくると、郁美は大きく息をついて今度は諭すように言った。 「―――ねえ穂谷さん。あなたが本当に早く走りたいと思っているのなら、体面にこだわっていちゃダメよ。スポーツ選手は見た目じゃなくて実力を磨かなきゃ、ね」 「先生・・・」 「今日からはちゃんとトレーニングしてくれるわね?」 郁美の言葉に夕ははっきりとした声ではい、と答える。 根が真っ直ぐな彼女は今日の結果と郁美の忠告を真摯に受け止め、少しでも遅れを取り戻そうと心に誓うのだった。 その日の夜、風呂から上がると夕は早速ベッドの上で四つん這いになり腰の運動を始めた。 「よいしょ、よいしょ・・・いち、にい・・・っ!」 やはり腰を自在に動かすのは困難だったが、夕は郁美の腰使いを思い出して上下に振り続ける。 慣れてくるとだんだんコツがつかめてきた。 闇雲に動かすのでなくリズムをつけて流れるように動かせば、変に力がかかることもなく負担が少なくなることに気付いたのだ。 それが分かると途端に楽になり、さらにスピードを速めることができた。 「よ〜し、調子が出てきたぞ〜!もうちょっとがんばっちゃおうかな!」 勢いづいたのと同時に、枕元に置いてあった携帯電話がメロディーを奏でだした。 ガクッとバランスを崩して布団に身を投げると、夕は電話を手元に引き寄せる。 「んも〜、誰ぇ?・・・え・・・・・・」 表示された名前を見た夕の顔が一気に青ざめる。 『須藤玲香』。画面にはその名前が映し出されていた。 忘れかけていた、恐怖にも似た不安感が再び胸中にあふれてくる。 かけがえのない大切な仲間の名前でそんな気持ちになることに夕は悲しくなった。 電話は切れることなく鳴り続いている。 唾を飲み込むと、夕は意を決して通話ボタンを押した。 「―――もしもし」 玲香の声をビクつきながら待つ。 しかし、電話の向こうから聞えてくるのは砂嵐のようなノイズだけだ。 「・・・玲香ちゃん?もしもし?」 夕はたまらず話しかけるが、まるで砂漠に電話が捨てられているかのようにノイズが大きく小さくうねりながら鳴り響くだけで、相手の息遣いすら感じられない。 そして二分ほどたつと唐突に電話は切れた。 混線か何かとも考えたが、夕は自分からかけなおして確かめようとは思わなかった。 薄気味悪い電話だったが、玲香と話さなくてすんだと思えばむしろホッとする。 「・・・・・・・・・」 しかし、トレーニングをしていたときの弾んだ気持ちはどうしても戻らないのだった。 胸をざわつかせる理由は分かっているのに、それを解決できないことが夕の心を深く沈ませる。 たまらず夕は枕に顔を埋めて耳を塞ぐ。 このままこうして、問題が解決する時間まで何も見ず、何も聞かずにいたい。 目を開けたそのときには、何もかも元通りになっていればいいのに・・・。 今までに直面したことのない事態なだけに、弱気になった夕は現実逃避をはじめていた。 と、廊下からパタパタとスリッパの音が響き由の部屋の前で止まる。 「夕ちゃん、いいかしら?」 ドアの向こうで亜樹がお伺いを立てる。 夕は身体を起こすと、頬肉を何度か動かして無理に笑顔を作った。 ジュエルエンジェルに関することで、母親に心配はかけたくなかったのだ。 「うん、いいよ」 「入るわね。あのね、おいしいお煎餅もらったのよ。居間に用意してあるから一緒に食べましょ」 「あ、行く行く」 さっさと部屋を出て行こうとする夕を、亜樹はしげしげと見つめる。 「・・・夕ちゃん、また何かあったの?」 「っ!!・・・ううん、なんにもないけど?」 相変わらずの母の勘の良さに、夕は内心冷や汗を流す。 納得できなさそうにこちらを見る亜樹。 夕はボロが出ないうちに話をはぐらかすことにした。 「と、ところでさー、お母さん。運動の成果は出てきたの?」 「え?・・・うふふ、もちろんよ〜。毎日欠かさずやってるんだもの、綺麗になってきたでしょ」 亜樹はえっへん、と胸を反らして見せ付ける。 ただ適当に話を切り出しただけだったのだが、その体つきを見て夕は普通にびっくりしてしまった。 確かに、以前と比べてよくなっている気がするのだ。 胸やお尻が出っ張ってきて、逆にウエストは細くなっているように感じる。 こころなしか、元々綺麗だった肌もさらに若々しく張りが出てきているようだった。 「お母さん、ホントに綺麗になってきてない・・・?」 「ほーら見なさい!お母さん言ったでしょ、効果抜群の運動なんだって」 今の今まで眉唾物だと思っていたが、こうなると途端にやってみたくなり、夕は亜樹に擦り寄る。 「ねえ、お母さ〜ん。わたしにも教えて」 「だめ、だ〜め!夕ちゃんにはまだ早いわよ〜」 優越感に浸った様子で節をつけて夕をからかうと、亜樹はお茶を淹れるわね、と言い残してさっさと一階に下りていった。 「もう、何それぇ」 夕は不満げな顔で階段の方を睨みつける。 いくらバカにしたからって、大人気ないんじゃないだろうか。 そう思いながらも、夕の心はすっきりとしていた。 母親とのやりとりで幾分気が晴れ、電話の件もそれほど気にならなくなったのだった。 数日後、朝の体育館で再び郁美のトレーニング講座が開かれた。 まずは全員四つん這いになり前に教えられた上下運動を復習する。 今回は夕も積極的に参加し、皆と一緒に腰を突き動かす。 「そうよ穂谷さん、とてもいい腰使いよ!」 「はい!ありがとうございます!」 郁美はうんうん、と頷き、皆に向かってよく通る声で呼びかける。 「それじゃあ、次は新しい腰の鍛え方にいくわよ〜!」 身体を支えていた手を崩して胸を床につけると、郁美は尻を高く掲げて左右に振りはじめた。 じれったそうに身悶える様は、男のモノをねだる娼婦の動きそのままだ。 真面目に取り組もうと心に決めていた夕だったが、その姿を見て早くも決心がぐらついてきた。 ちらりと横目で他の部員の様子を探ると、皆顔を背けることもなくむしろ食い入るように郁美を見ている。 「この運動のコツは、振り方を大胆にすることよ。さあ、やってみて!」 郁美が言うが早いか、部員たちは我先にと尻を掲げて降り始める。 恥ずかしくても我慢しようと誓った手前、形だけは皆に合わせるがやはり気が乗らない。 (変・・・絶対、変だよ・・・) 得体の知れない違和感に、夕は小さく身震いする。 「あ・・・ん・・・」 ふいに場違いな甘い囁きが夕の耳に届いた。 見ると左隣の部員がとろんと目を細くし、頬を上気させている。 「あ、ふうっ・・・」 「ん、ん・・・・・・」 辺りからも同様の甘い声が洩れはじめる。 一人、二人とその数は増えていき、ついには夕を除く陸上部全員のコーラスにまで拡大した。 「あ、ん・・・んあ」 「ふ・・・ん・・・くふんっ」 「うふふ、みんな熱が入ってきたみたいね。いいのよぉ、我慢しないで大きな声出しちゃっても!・・・うんっ、ああん」」 郁美も息を荒げ、媚びるような喘ぎ声を漏らす。 夕は自分の目前で繰り広げられる奇妙な光景に圧倒され、傍観することしかできない。 額から嫌な汗がじっとりとにじみ、頬を伝っていった。 「・・・・・・・・・」 自室のベッドの上で、夕はひざを抱えてうなだれていた。 怖かった。何がおかしいのか見当も付かないが、日常が少しずつ狂っていっていることは理解できる。 「どうなっちゃったの・・・?なんでわたし・・・こんな目にあってるわけぇ?」 あの日からだ、と夕は思い返す。 定期集会の帰り、ホテルで目撃した仲間三人の目を疑う行動。 あれを見たときから何かがおかしくなったのだ。 と、携帯電話が鳴り出した。 「・・・ひくっ」 突然のことに夕はしゃっくりのように喉を痙攣させる。 お気に入りだった明るいメロディーが、今は不気味さを引き立てる音楽にしか聞こえない。 恐る恐る画面を覗き込んだ夕は、そこに表示された名前を見るや否や電話を切ってしまった。 『天崎沙羅』―――電話が表示したのはその名前だった。 「んっ、んじゅ・・・っ。ちゅ、ちゅじゅ・・・」 口元からだらだらと唾液をこぼしながら、その女はドリーパとキスを交わしていた。 爬虫類のようなドリーパの細長い舌が口から引き抜かれると、女は名残惜しそうにその先端部を唇で啄ばむ。 「んで、様子はどうだ?」 ドリーパが尋ねると、女はにっこりと笑みを浮かべる。 「かなり精神的にまいっているようです。本当、見てて痛々しくなるくらいに・・・うふふ」 「そうか、そりゃよかった!じゃあ、一気に畳み掛けるとするか、ケケケ」 親犬が子を愛でるように、ドリーパは女の頬をベロベロと舐める。 女は嬉しそうに喉を鳴らして頬ずりをした。 「はい、おまかせください・・・・・・私のご主人様」 今日もまた体育館でトレーニングを教えてもらう、と聞かされた夕は眩暈をおぼえた。 一体今日はどんなことを見せつけられ、それをするように言われるのか―――。 体育館に向かう足取りが重い。まるで鉛の靴を履いているかのように足が持ち上がらない。 心が歩みを進めることを拒否しているのだ。 こんな気持ちを経験したことなど、夕はこれまでに一度もなかった。 当たり前に在るものと思っていた心の支えがなくなり、よりどころを求めて心はぐらついている。 泣き出しそうだった。 まるで迷子になった幼子のような心細さが胸にあふれていた。 それでも、夕はなんとか自分を奮い立たせて体育館に入る。 すでに先に到着していた部員たちが、郁美を囲んで何やら楽しげに騒いでいる。 床に置かれたダンボールを覗き込み、中に入っているものを選んでいるようだった。 「遅かったわね。さ、早く穂谷さんも好きなのを選んで」 夕に気付いた郁美が手招きをする。 「先生、何を用意したんですか?」 「今日のトレーニングに使うスポーツ器具よ。色々タイプがあるから、自分に合いそうなのを選ぶといいわ」 言われてダンボールを覗いた夕は、ところ狭しと詰め込まれた様々な種類のそれを見てのけぞってしまった。 ゴム製のような弾力のある素材で作られ、細長い棒状で先の部分がぷっくりと膨れているそれは、男性器を模したもの―――つまりバイブだったのだ。 「穂谷さんは・・・そうねえ、まだ経験がなさそうだからこの動きを微調整できるやつなんてどうかしら?」 郁美はくすんだピンク色をしたバイブを持つと、夕に差し出す。 夕の方はいうと、パクパクと口を動かして答えることもままならない。 「あらあら。もう、穂谷さんは本当に恥かしがりやなのね。他のみんなはもう決まったかしら?」 「ワタシ、この黒くてぶっといのにしよっと」 「あ、イボつきみっけ!あたし、これもらうね!」 「ねえ、もっと傘の幅が広いのない?ひっかかりがいいのが欲しいんだけど・・・」 まるで流行グッズを漁るときのようにあれこれと楽しげに言い合いながら、陸上部員たちはそれぞれの手にバイブを持つ。 全員が選び終えたことを確認すると郁美は自身も極太のバイブを持ち、そこのスイッチをオンにした。 ヴィイイイイイイッ・・・ くぐもった音をたてながら、蛇か蛭のようにバイブがくねりだす。 「穂谷さん、無理に練習に参加しなくてもいいからしっかり見ておいてね?・・・これはね、こうやって股間に押し付けて使うの」 郁美はバイブを股ぐらに押し付け、ゆっくりとスライドしはじめる。 「んふうっ、いいわあ!この振動が効くのよ!クリト○スに押し当てるのもいいわよ!」 陸上部員たちも郁美に続くようにスイッチを入れると、股間に押し当てて嬌声をあげた。 「あはん、これ気持ちいい!」 「腰が・・・勝手に動いちゃう。トレーニングの効率が上がるぅっ」 郁美が顔を真っ赤に染めて、バイブの振動に心を奪われる部員たちに呼びかける。 「みんな、パンツがエッチなお汁でグチョグチョになったら、ちゃんとオマ○コにバイブつっこむのよ〜!」 「は―――いっ、先生!」 全員が声をそろえてハキハキと答えた直後。 「いや・・・っ、いやああああ―――!!」 突如夕が絶叫して、全速力で外に走り去った。 あまりの異常事態に、ついに夕の心が耐え切れなくなってしまったのだ。 考えるより先に彼女は本能的な衝動に突き動かされ、その恐怖からの逃避をはじめたのだった。 「くすっ・・・くすくす・・・・・・」 すでに誰もいなくなった体育館の入り口を見つめ、郁美と部員たちはバイブを押し当てながら笑い声を洩らした。 夕の足は無意識のうちに自宅へと向いていた。 玄関に転がり込むように入り込むと、夕は乱暴に音を立てて階段を駆け上がる。 そして力任せにドアを閉め、その場にヘナヘナと崩れ落ちた。 体育館で起こったことは何だったのか。一体、郁美や陸上部員たちはどうしてしまったのか―――。 そんな疑問を吟味する余裕など今の夕にはなかった。 ただ、寒さに耐えるように両腕を肩に回して身体の震えを止めようとするので精一杯なのだ。 ・・・そんな夕に追い討ちをかけるように、携帯電話の軽快なメロディーが鳴り出す。 『瀬戸川奈津子』。 そう表示された画面が目に入ったが早いか、夕は電話を切った。 が、切ったのとほぼ同時といってもいいくらいのタイミングでまた携帯電話は着信を知らせる。 『須藤玲香』。 夕はまたすぐに電話を切る。 しかし―――電話はすぐに三度目の着信を知らせた。 『天崎沙羅』。 「ひいっ・・・!」 夕の顔が青ざめていく。 何度切っても、電話は次の瞬間に着信を知らせる。 『須藤玲香』。ピッ! 『瀬戸川奈津子』。ピッ! 『天崎沙羅』。ピッ! 『瀬戸川奈津子』。ピッ! 『須藤玲香』。ピッ! 『須藤玲香』『瀬戸川奈津子』『天崎沙羅』『瀬戸川奈津子』 『天崎沙羅』『須藤玲香』『須藤玲香』『天崎沙羅』『瀬戸川奈津子』 『天崎沙羅』『須藤玲香』『瀬戸川奈津子』『天崎沙羅』『須藤玲香』 『瀬戸川奈津子』『須藤玲香』『須藤玲香』『天崎沙羅』――― 「やっ、やっ、やめてぇ―――っ!!!」 夕は金切り声をあげてバッテリーを引き抜くと、携帯電話を床に叩きつける。 そしてとうとう、声を押し殺すようにして泣き出してしまった。 それは恐怖からなのか、不安からなのか・・・それは夕自身にもわからなかったが、今はとにかく泣きたかった。 こらえようともせずに涙をとめどなく流していると、部屋のドアがノックされる。 「夕ちゃん、どうしたの?今日学校あるんでしょ?何かあったの?」 亜樹だった。 夕は答えることもできずただ嗚咽を漏らすことしかできない。 「開けるわよ。いいわね?」 ただ事ではないと思ってか幾分緊張した口調でそう言い、亜樹が部屋へ入ってくる。 そして床に座り込んで泣きじゃくる夕を見ると慌てて抱き起こした。 「大丈夫、夕ちゃん!?一体何があったの?」 「・・・っく、う、うう・・・・・お母さぁん・・・」 「ちょ・・・、抱きつかないで、苦しいわ。とにかく、台所でお茶でも飲んで落ち着きましょ、ね?」 幼子のように泣きじゃくる夕の頭を、亜樹は困った様子で撫でさするのだった。 亜樹の淹れた温かい紅茶を飲み干すと、夕の心は次第に落ち着いてきた。 「―――それで、どうして泣いてたの?」 夕が紅茶を飲み終わるのを待って、亜樹はそう切り出した。 「・・・それは・・・・・・」 口を開きかけた夕は、しかしすぐに硬く閉ざしてしまう。 母に心配かけたくないというのが第一だが、それ以前に何をどう説明すればいいのかすらわからなかったからだ。 何にせよ、この異常事態に母を巻き込むような真似はしたくなかった。 「ごめん、言えない・・・」 「言えない、って・・・。大事な娘が、いきなり学校から帰ってきて泣いてるのよ?事情を聞かないわけにはいかないじゃない」 「・・・・・・それでも・・・、話せないよ・・・」 「・・・・・・・・・・・」 しばらく二人の間を沈黙が支配する。 ・・・やがて、亜樹がポツリととんでもない言葉を漏らした。 「ふう・・・。やっぱりジュエルエンジェルなんて正義の味方やっていると、言えないようなことが多いのかしらねぇ」 「―――っ!!?お、お母さん、なんでそのことっ!?」 まさか母の口からジュエルエンジェルという言葉が出るとは思わなかった夕は、思わず椅子から立ち上がった。 逆に、亜樹は落ち着いた様子で紅茶を一口飲むと、ほう、と息を吐く。 「色々大変だったのねえ、夕ちゃん。でも大丈夫。もう悩んだりしなくてもいいのよ」 「お母さん、答えてよ!なんでジュエルエンジェ―――」 詰め寄ろうとした夕の身体が突然ガクンと傾き、そのまま丸太のように固まったまま床に転がった。 「えっ・・・・・・!?」 強く身体を打ちつけたはずなのに、痛みを全く感じない。 それどころか、まるで首から下を切り落とされたかのように感覚が遮断され、動かすことができない。 「うふ、薬が効いてきたみたいね」 亜樹が嬉しそうな、弾んだ声で言う。 「く、薬って・・・お母さん・・・何を・・・」 夕の戸惑いの声を無視し、ニコニコと微笑みながら亜樹は服のボタンを外しはじめた。 「お母さん、とっても効果的な運動してるって言ってたでしょ?今からやってみせてあげるわ」 ボタンを全て外し、柔らかな乳房を開いた胸元からこぼすと、亜樹は台所の入り口にむかって声をかける。 「さあ、どうぞ。準備が整いました」 「ケケケ、おじゃましま〜す!」 間の抜けた挨拶をして台所に入ってきたのは、どう見ても人間とは思えない怪人―――ドリーパだった。 自分の家の台所に、ディスタリオンがいる。 しかも母親とのツーショットで、だ。 そのあまりにも現実離れした妙な光景に、夕は自分の置かれた状況も忘れてただポカンとしていた。 亜樹はそんな娘の気持ちなど意に介さない様子で、まるでカップルのようにドリーパの腕に自分の腕を絡ませた。 「紹介するわね。お母さんの―――それに、夕ちゃんのご主人様になってくれる、ドリーパ様よ」 「・・・っ!?お、お母さん・・・」 「いい?ご主人様へのご挨拶は、こうするの」 言うが早いか、亜樹はドリーパの唇に吸いついた。 唾液をにじませながら舌で舐るため、ビチャビチャと卑猥な音が生まれる。 ドリーパもそれに合わせ、唾液を出しながら亜樹の舌を吸う。 まるで軟体動物がからまりあっているかのような動きに、夕は吐き気を覚えた。 「ンジュ、っはあ・・・。上のご挨拶が終わったら、今度はこっち。んふふ」 口の周辺がベトベトになるまで唾液をなすりつけると、亜樹は跪いてドリーパの股間にフレンチキスをする。 それを合図に股間のパーツが左右に開いて、いきりたったペ○スが飛び出した。 亜樹は目を輝かせてそれを握ると、娘にむかって見せつける。 「ほら、見なさい夕ちゃん。大きいチ○ポよねえ。お父さんの臭いフニャチンとは大違い!」 もう我慢ならない、といった表情でそう言うと、亜樹はその肉棒をずっぽりと根元まで飲み込んだ。。 キャンディーを頬張るように口内で幾度も転がし、歯を立てぬように注意しながら柔らかく噛んでいく。 頬肉が小刻みに収縮し、ペ○スを圧迫した。 「うっひょおぉぉ〜っ!オレのチ○ポが、食べられちまう〜!」 歓喜の声をあげたドリーパが、大振りに腰を前後運動させはじめた。 タイミングも何もない、滅茶苦茶な動かし方だ。 当然、亜樹はその動きについてこれず、ペ○スを吐き出してしまった。 「ああん、ドリーパ様ったら。そんなに動かされては、おしゃぶりできませんわ」 「上の口だからはずれるんだよ。下の口でなら、たっぷりおしゃぶりできるぜ」 「まあ、うふふ。―――なら、下のお口に食べさせてくださいな」 パンティをずり下げ、テーブルに手をついて尻を突き出す。 すでに秘所はびしょ濡れで、だらだらとあふれ出す愛液が内腿を伝っていく。 指で入り口を拡げると、亜樹は熱い視線を送った。 「う〜ん、やっぱ人妻を犯るときゃ、キッチンでエプロン姿が一番だあ〜!ケケケッ」 ズプリ、とペ○スが突き刺さる。 亜樹が嬌声をあげたのを合図に、ドリーパは激しく腰を打ちつけだした。 肉と肉がぶつかりあう音がリズミカルに繰り出される。 「あっあっ、くはぁん・・・!夕ちゃん、わかる?これがお母さんの健康運動、セックスよ!」 うっとりと締まりのない顔をして、亜樹はこれ見よがしに腰を振ってみせる。 膣壁がキュウッと肉棒をしぼりあげた。 「うほぉ!奥さん、気合入ってるねえ〜!」 「ああん、だって主人が単身赴任でご無沙汰だったんですものぉ。ドリーパ様、もっと激しくぅ」 「ケケケケ、まったくエッチな奥さんだぜ。せっかくだから、娘にもじっくり見てもらおうぜ?」 亜樹の太ももに手をやると、ドリーパはその体を軽々と持ち上げる。 大股開きの状態で、亜樹は背後から抱きかかえられた姿勢になった。 結合部が丸見えになり、ペ○スが膣口に出入りする様がはっきりと見て取れる。 ドリーパはそのまま、亜樹を抱いて夕の側に行った。 「夕ちゃん・・・んっ、見える?たくましいチ○ポが、お母さんにズッポリ入ってるの」 腰をくねらせながら、亜樹は手本を示すかのように語りかけた。 「しっかり見て、エッチな腰使いを覚えるのよ。夕ちゃんもご奉仕しなくちゃならないんだから」 目を反らすこともできない夕の目前で、痴態は続けられる。 ピストン運動によってめくられた肉ひだがひくつくのがわかり、男女の性臭の入り混じった臭いが鼻をついてくる。 やがて、腰の動きが徐々に早まってきた。 「ウヒョ〜!もう射精しちまいそーっ!」 「あ、あぁん。ドリーパ様、どうかワタシの子宮にたっぷりとお出しくださいな。精液注がれると、お肌がピチピチになるんです♪」 「オッケー!んじゃ、遠慮なく」 「ん、んああああはあっ!」 ドクリ、ドプドプドプッ!ドププッ! ポンプのように激しく収縮を繰り返し、ドリーパのペ○スは恐ろしい量の精液を子宮内に吐き出していく。 亜樹はその熱い奔流に身を震わせながら、幸せそうに言った。 「んはあっ・・・うふふ、すごいわ。子宮のすみずみまで、精液でいっぱい。こんなに射精されたら、きっと夕ちゃんに弟か妹ができちゃうわね♪」 「いっ・・・・・・いやあああああああああっ!!」 夕は悲痛な叫び声をあげると、ガクンと頭を落として気絶した。 あまりの精神的ショックに耐え切れなかったのだ。 青ざめた顔で眠る娘の前で、亜樹はまだ腰を振り続けていた。 混濁する意識が、ゆっくりとまとまって覚醒していく。 まるで、コーヒーに入れたミルクが混ざり合って溶け込んでいくようなイメージ。 しかし、それはけっして気持ちのいい感覚ではなかった。 何だろう。思考がまとまらず、形にならないが、何か嫌なことがあったような気がする。 目を覚ましたくない。 目覚めてしまったら、また嫌なことに向き合わなければならない―――。 それでも、夕の意識は次第にはっきりとしていき、ついに目覚めてしまった。 「・・・う・・・ん」 のっそりと体を起こし、首を振る。 妙に下半身の風通しが良い。 自分の足に目をやった夕は、あわてて広げた股を閉じた。 「やだ、何これ!?」 履いていたはずのジャージも、ブルマも、ついでにパンツまで脱がされている。 代わりに、やけに食い込みが激しい、フリルのついたパンツを夕は履いていた。 見に覚えのないちょっとエッチな下着に困惑し、とりあえず脱ごうとする。 だが。 「えっ!?うそ、脱げないじゃない!」 腰についているパンツの金具が、どういう原理か体にバッチリくっついている。 これでは、ずり下げることすらままならない。 「このっ・・・、この!」 「ケケケ、無理無理。それは絶対外れね〜」 悪戦苦闘する夕に、ふいに声がかかった。 見ると、いつからそこに立っていたのか、ドリーパがゆらゆらと体を揺らしながら顔をにやつかせている。 ほんの一瞬、夕は呆けた顔をした。が、すぐにその顔つきが険しくなる。 意識を失う前に何があったか、全て思い出したのだ。 「・・・あ、アンタは!」 「ドリーパってんだ。その下着はプレゼント。気に入ってくれたぁ〜?」 「ふざけないで!」 夕は露骨に怒りを表す。昂ぶった感情を抑えきれず、肩が震えている。 「ディスタリオン・・・わたしのお母さんに何をしたの!?」 「ん〜?洗脳」 まるで挨拶を返すような軽さで、ドリーパは言ってのけた。 「洗・・・・・・脳・・・?」 「そ〜。知ってるか?脳の情報伝達って、電気信号なんだぜ。それでこう、バチッと”情報”を割り込ませてね」 手を突き出して、わきわきと握り開きを繰り返す。 「ゆ、ゆ、許せない!ふざけないでよお!」 夕はヒステリックに叫ぶ。様々なショックが重なってか、夕は相当感情的になっていた。 「元に戻して!お母さんを元に戻すの!返してよ、この外道!」 「いいぜ〜、別に」 あっさりとドリーパは夕の要求を呑む。 予想だにしなかった展開に、夕は少なからず動揺した。 「い、いい・・・の?本当に、元のお母さんに戻してくれるの!?」 「もちろ〜ん。お母さんも、学校の教師や仲間も、ガードやランサーやナックルも、みーんな元に戻してやる」 「なっ・・・!部活のみんなや、玲香たちまで・・・」 驚く夕だったが、そう言われてみると、自分の周りで起こった妙な出来事も全て辻褄があった。 「なら、早く―――」 「まあまあ、そう慌てんなって。洗脳を解いてやってもいいけど、条件付だ」 「条件・・・?」 何を要求されるのかと、夕は身構える。 ドリーパは親指を立てて、自身を指し示した。 「オレと戦って勝ったら、オマエのご希望通り全員解放してやるよ」 夕はぐっ、と押し黙り、ドリーパを見据えたまま固まった。 その額から、冷たい汗がひとすじ流れ落ちる。 幹部だとまでは気づいていないが、相手がかなりの実力者であることを夕はすでに感じ取っていた。 今まで戦ってきた戦闘員や怪人とは、気配からして違う。 ふざけた態度をとっていても、そこに隙を見出すことができないのだ。 (勝てるの・・・?わたしの力で・・・) いいや、そうじゃない。夕は萎縮しそうになる自信を奮い起こす。 勝たなくてはならないのだ。 今、自分の大切な人たちを救えるのは自分だけ。この自分に、みんなの運命がかかってるのだ。 「どした?急に無口になっちゃって」 沈黙に耐えられなくなったのか、ドリーパが口を開いた。 「戦ったときの被害は考えなくていいぜ。ここは、兵器の実験なんかをする場所だからな〜」 そう言われて、初めて夕は自分のいる場所が記憶にないところだと気付いた。 工場の倉庫くらいの広さだろうか、その四角い空間は見たこともない硬質の金属で造られた床と壁でできている。 ドリーパの向こう側と、夕の背後の方に、入り口らしきシャッターが一つずつ。 そして、天井近くの側面にはガラス窓が貼り付けられ、その向こうに観測室があった。 「・・・やっぱり卑怯者だわ、アンタは」 夕は憎しみを込めて吐き捨てる。 「承諾しないと、ここから出ることはできないんでしょ?」 「ありゃ、ばれちゃった?お察しのとおり、どっちかが倒れるまでシャッターは開かないよ〜ん!ちなみに上のは特殊硬化ジェムだから、戦艦の主砲でも割れないんだな〜」 で、どうすんの?、とドリーパは楽しげに聞いてくる。 夕は答えるかわりに、右手をふりかざした。 浅葱色の鮮やかな閃光が夕の周囲を覆い、宝石の形になって結晶化する。 衣服が消失し、それに代わって戦闘服が装着されると、夕は結晶を砕いて飛び出した。 「アクアマリンの戦士、ジュエルソニック!」 「おお〜っ!か〜っこいい〜!!」 ドリーパがパチパチと拍手して茶化す。 夕はそれにかまわず、グッと足に力を込めた。 「ふざけていられるのも、今のうちよ!」 床を蹴ったかと思うと、まるでF1のような重低音のうなりをあげてその姿が消える。 そして次の瞬間には、ドリーパの懐に入り込んでいた。 「やああっ!!」 掛け声とともに腹部に膝蹴りをかまし、瞬く間に背後にまわる。 そしてドリーパの背中を駆け上がって空中で身をひねると、後頭部に踵落としをくらわせた。 微動だにできぬまま、ドリーパはもろに顔面を床にたたきつけてしまった。 ソニックは軽やかに着地すると、一旦ドリーパから離れる。 その間、わずか一・二秒。 常人の目では夕が何をしたのかさえわからなかっただろう。 ソニックの能力は、ナックルの能力と対のようになっている。風そのもののスピードと、驚異的な脚力をその体に宿すことができるのだ。 普段はその素早さを活かして、人質にとられた民間人の救出や戦闘時のかく乱などで活躍している。 「おおおぉ〜!いってええええ!!」 しこたま打ち付けた鼻をおさえながら、ドリーパは起き上がる。 しきりに痛がっているが、それほど大きなダメージは受けていない様子だ。 「ケケケ・・・ひでえなあ、もう。タフなオレじゃなかったら死んじゃってた―――よおぅ!?」 また懐に飛び込んだソニックが、顎を蹴り上げた。 そして飛び蹴りをかまして吹き飛ばす。 3〜4メートル飛んでいき、さらに2メートルほど転がったドリーパは、それでもゲラゲラと笑って立ち上がった。 「ほんっ・・・・・・とに、容赦ねえなあ。仕方ねえ、本気モードでいっちゃおうかな〜!」 ギラギラと異様な光を放つ目で見つめられ、ソニックは緊張した面持ちになる。 何か仕掛けてくる。 そう感じて、とっさに防御体勢をとった。 「本気モ―――ド!発動!」 ドリーパが両手を高々と上げて叫ぶ。 そして、静寂が辺りを覆った。 「・・・・・・・・・・・・・・・?」 いつまでたっても、何も起こらない。 訝しげな顔をするソニックに、ドリーパは声をかけた。 「あ、もう終わったから。ほら、来て来て」 ガクッと腰が砕けそうになるのを、ソニックはなんとかこらえた。 (まったく、こんなわけわかんないヤツの相手なんかしてられない。さっさと倒してしまわなきゃ!) 短期決戦に持ち込むことにして、ソニックは再び突撃した。 一瞬の後に、ソニックはドリーパの目と鼻の先まで接近する。ドリーパはあいかわらず無防備のままだ。 ソニックはそのがら空きのボディに、超スピードの上に遠心力をも乗せた回し蹴りをお見舞いした。 「ん、んはあああああぁっ!!?」 当たった途端、大きな声が部屋中に響きわたる。 だがそれはドリーパの声ではなく、攻撃したはずのソニックが発したものだった。 ソニックは頬を赤らめ、股間を手で押さえながらドリーパの足元で膝をついていた。 「あっ、あはあぁ・・・!?」 戸惑いを隠せないソニックの口から、甘い響きの声が洩れる。 ドリーパに触れた瞬間、とろけるような快感が体の中を走ったのだ。 「ケケ、隙あり〜」 その声にハッとソニックは我に返る。 だが、遅かった。反応する暇もなく、ドリーパのキックで吹き飛ばされる。 床を転がったソニックは、ビクビクと体を痙攣させたまま起き上がらない。 蹴られたとき、また快感による痺れが体を支配したのだ。 「んはあ・・・ん、うあ・・・ん」 じわっ、と愛液が秘所から滲み出てくる。 ソニックは内股をこすりつけて、のたうちまわった。 「いや、なんでぇ・・・?」 「ケケケケ。オマエにプレゼントしたパンツ、ただのパンツだと思ってた〜?」 ドリーパが愉快そうに言いながら近付き、ソニックの顔を覗き込む。 「このパンツの内側には超極細の繊毛がついていて、オレの生体電気信号に反応してオマエの敏感な部分をくすぐっちゃうわけ。つまり―――」 ドリーパはソニックの足を、踵から太ももの付け根まで素早く撫で上げた。 ビクン!とソニックの体が大きく震える。 目は大きく見開かれ、口からよだれがこぼれた。 「・・・あっ。あ、あは・・・」 「―――スイッチオンの状態でオレと触れると、気持ちいいんだぜ〜?ケケケケ!」 再びドリーパが体に触れようとする。 ソニックは急いで身をひねって転がると、立ち上がって後ろに退いた。 「あらら、まだ動けたのかよ。・・・で、そっからどうするつもり?」 ドリーパは余裕綽々といった様子で、自分からは仕掛けずにソニックの出方を待った。 ソニックはドリーパを見据えたまま、動こうとしない。 肉弾戦タイプの能力である彼女は、距離を置いての攻撃はできないのだ。 何かを蹴って高速で相手にぶつけるという攻撃方法もあるのだが、この何もない部屋では役に立たないものだ。 (こうなったら、少しぐらいの刺激は我慢して―――) だが、それをしようにも気がかりなことがあった。 蹴られたときの刺激は、ただ触れられたときよりも大きかった。 双方の体に伝わった衝撃が、そのまま繊毛の動く激しさと比例しているようなのだ。 (つまり、こっちが本気で攻撃したらその分だけ、強い刺激が返ってくるってことじゃないの!) 相手を倒すほどのエネルギーが、全部快感になってこっちに返ってきたら・・・? そう考えると、不用意に攻撃することもできず、ソニックはその場に立ちつくした。 「あー・・・、もう待つの飽きちまった。こっちから行くぜ〜!」 ドリーパが突如として沈黙をやぶり、体のあちこちから垂らしたプラグを蛇のように伸ばしてきた。 「・・・!」 ソニックは襲い来るプラグを持ち前のスピードで回避する。 と、プラグの線がククッと曲がって進行方向を変え、ソニックを追尾しはじめた。 「くっ・・・!」 あらゆる方向から飛んでくるプラグを、ソニックは必死でかわし続ける。 しかし、いかに素早くともその立体的な攻撃全てを避けきることなど不可能だ。 死角から迫ってきた二本のプラグが、夕の足に絡みついた。 「ああっ!」 動きを封じられたソニックに、いくつものプラグが絡みつく。 「そ〜れ!」 そしてドリーパの掛け声を合図に、ソニックの体をギュウッと締めつけた。 「んはっ!ひゃああぁん・・・!」 クリト○スに、指でつぶされたかのような圧迫感と刺激が走る。 プラグは一旦締めつけを緩めると、また体を強く縛りあげる。 何度も締めつけと開放をくりかえし、プラグは一定のペースでソニックに快楽を送り始めた。 「んふうっ・・・あ、ひっ・・・だ、ダメぇ・・・ああぁあん、くふっ・・・はああぁ・・・!」 ソニックの瞳に霞がかかり、ろれつが回らなくなってくる。 しきりに首を振って抵抗するものの、その口元には笑みが浮かび始めていた。 「は、うん・・・ひゃあっ!あ、んふう・・・」 「ケケケ、んじゃ〜とりあえず一回イっちゃおうか〜!」 ドリーパが一段と強くソニックの体を縛りあげた。 「あ、ああ・・・!ん、あ、んはああああああああっ!」 頭が真っ白になる。 一瞬、何もかも忘れて快楽に身を委ね、ソニックは絶頂に達した。 「おほっ、派手にイッたな〜!それじゃ、第2ラウンドいってみようか〜!」 「えっ・・・!?ちょ、ちょっとま・・・あ、ふあああ!」 まだ快楽の波が引いていないソニックの体を、再びプラグがきつく締めあげる。 戻りかけた波が、再び体の中で押し寄せてきた。 それから、どれくらいの時間がたっただろう。 終わることのない快楽の躍動に、ソニックはすっかり身を任せきっていた。 もう、まともな思考もできない状態だった。 何を考えようとしても、それが頭の中で組み立てられる前に、快楽によってバラバラになってしまう。 「あ・・・いい・・・き・・・もち・・・いいよぉ・・・・・・ふあ」 また、絶頂が近付いてくる。何度目なのかも、もうわからなくなったあの快感が。 と、身悶えるソニックの体から、ふいにプラグが離れた。 「え・・・」 すぐそこまで来ていた絶頂の予感が、体から消えていく。 「やだ、やめないで・・・お願い・・・気持ちよく、してぇ・・・」 「ケケ、どうだ?もっともっと気持ちよくなりたいか〜?」 プラグを引き戻したドリーパが尋ねてくる。 ソニックは即座に頷いた。 その様子に満足げに口元を吊り上げて笑うと、ドリーパは胸を開く。 「じゃあ、こっちに来な。オレが抱きしめたら、オマエは絶対にイっちまうぜ」 それを聞いたソニックは、ふらふらとドリーパにむかって歩き出した。 しかし、 「ただし―――オレに抱きしめられてイッたら、オマエの負けだ」 ドリーパの付けたしの言葉が、ソニックの歩みを止めた。 (わたしの・・・負け?そ、そんなの・・・だめ!―――で、でも・・・でも・・・) 無意識のうちに足が前に出ていく。 火照った身体が、自分の意思とは関係なく快楽を求めて勝手に動いているのだ。 (だめ・・・。でも、ああ・・・欲しい・・・あの痺れるような快感が、欲しい・・・!) ついにソニックは、ドリーパの腕の中に入って頭を胸に預けてしまった。 「よしよし、いい子だね〜!」 ドリーパがありったけの力を込めて、ソニックを抱きすくめる。 「あ、うはあああああああああん!」 (イっちゃった・・・。わたし、負けちゃったんだ・・・・・・) 快楽と、絶望感と、そして敗北によって、これまで背負ってきた重荷が消えたことへの開放感。 いくつもの感覚がごちゃまぜになって頭の中を駆け抜けていく。 「んん〜♪実にいい状態だな。それじゃ、”情報”を送ってやろうかね〜」 ドリーパの手がソニックの頭を掴んだ。 バチッ、と火花が散るような音とともに、ソニックの中に何かが入り込んでくる。 (あれ、なんだろこれ・・・?何か・・・何かが、『理解できた』ような気分・・・) 脳の中に、形のない何かが潜り込んでくる。 もともとぼやけていた意識が、さらに拡散して消えていく。 (お母さん・・・みんな・・・ごめん、ごめんね・・・・・・) やがてソニックの心は、深い深い闇の中へと落ちていった。 「んっ、ジュプ・・・くちゅ、ちゅちゅ・・・はあ・・・んん、じゅっ」 目の前にある『それ』を、ソニックは跪いて夢中でしゃぶっていた。 「夕ちゃん、どう?ドリーパ様のおち○ちんの味は?」 亜樹が尋ねると、ソニックは口から咥えていた肉棒を放す。 そして唾液でベトベトになった口元を拭おうともせずに、とろんと半分目を閉じた、夢見心地の顔で微笑する。 「美味しい・・・ご主人様のチ○ポ、大好き」 「なら、もっとおしゃぶりしようぜ〜!うりうり」 ソファーに腰かけたドリーパが、唾液でぬめった肉棒をソニックの頬にこすりつける。 ソニックは言われるがままに、肉棒を口に含んだ。 ジュポジュポと音を立て、奉仕というよりもペ○スからエキスを搾り取るように啜りあげていく。 もう他には何も見えてはいないようだった。 「もう完全に豚ですね、これは」 テーブルを挟んで反対側のソファーに、ゲルバが腰掛けている。 ランサーたちは戦闘服を半脱ぎにした格好でゲルバに身体をこすりつけながら、クスクスと笑った。 「しかしまた、ずいぶんまわりくどいことをしたのう。さっさと”情報”を送り込めばすんだ話ではないのか?」 「いや、それじゃダメなんだな〜!」 ゲルバの問いに、ドリーパは首を振る。 「この奥さんの方みたいに、単に”情報”を送っただけだと脳の上っ面にへばりついてるだけの状態なんだ。ちょっとしたショックで、すぐに正気に戻っちまう」 「なるほど、奥深くまで食い込ませるには、時間がかかるわけじゃな?」 「その通り!だけどな、精神的にショックを与えて『壁』を脆くしてやれば、効率が上がるんだよな〜!」 日常のあらゆる場面でストレスを溜めさせ、心を脆弱な状態にさせておく。 さらにその上で快楽と敗北感を与えて、一気に後押しをしたのだ。 自分の意思で負けを認めたとき、ソニックの心の壁は完全に崩落していた。 「そのうちに自意識と”情報”が完全に融合して、こいつは心の底から奴隷になるってわけだな〜!」 得意気に講釈するドリーパ。 と、亜樹が膝をついて、娘の尻の割れ目に手を這わし、股間をキュウッとしぼった。 「んんう!?・・・ぷは、ああん、お母さぁん・・・」 愛液がほとばしり、亜樹の指を濡らす。 娘の秘所から滲み出たその液体をベロリと舐めとり、亜樹は嫣然と微笑んだ。 「ふふ、もうベトベトね。ドリーパ様、準備は整いました」 「お〜し!」 ドリーパは立ち上がり、四つん這いになったソニックの背後にまわる。 すると、どうしても脱げなかったパンツの留め金がパチリと音を立ててはずれ、ソニックの小ぶりな尻が露になった。 ドリーパが確認するように亜樹を見ると、亜樹は頷いて言った。 「さ、早く娘の処女を奪ってあげてくださいな。そのたくましいおち○ちんで、ご主人様の証を刻み込んであげてください」 「ケケケ!お母さんの許可も出たことだし・・・それじゃ、遠慮なく」 ズブリと太いペ○スが、ソニックの秘所に入っていく。 「あ!あは、うああああ・・・・」 ブルブルと身体を震わせながらも、ソニックは肉棒を根元まで受け入れた。 ドリーパはきつく締まる処女の膣壁を存分に味わった後、ピストン運動を開始した。 「んはあっ、ああ、くふう!ご、ご主人様、すごい・・・!」 グリグリと胎内を蹂躙する肉棒に翻弄されながらも、ソニックは自ら腰をふってみせる。 「おおう!?冗談半分で腰使いの訓練させてみたんだけど、こりゃすげえ!あの女教師、かなり教えるの上手みたいだな、ケケケケ!」 「あ、ああん。ドリーパ様、夕ちゃんばかりでなくて、わたしもかわいがってください・・・ああん!」 乳房を揉みしだいて懇願する亜樹。 その体にプラグが複雑に絡みつく。三本のプラグが絡まりあってひとかたまりになったものが、亜樹のしとどに濡れた膣口に挿入された。 奥にプラグが入るたびに、体の締めつけがきつくなり乳房がつぶされて形を変える。 「あ、んふ、すごいですわ!ドリーパ様のプラグが、わたしの中でグリグリ動いてるのぉ!」 器用に前後の親子を犯すドリーパを、ゲルバは興味深そうに眺めた。 「ううむ、親子丼か。なかなか面白そうじゃなあ」 「何言ってるんですか。ゲルバ様には、アタシたちがいるじゃない」 ナックルがそう言ってゲルバの手をとり、胸に押し付ける。 ゲルバが弄んでやると、ナックルは熱い息を漏らした。 「・・・んはっ、あは、くはあっ」 休みなく突かれ続け、ソニックの呼吸が乱れてくる。 (あ・・・、この感覚・・・走ってるときに、似てるかも・・・。すごく・・・いい気分・・・) ドリーパの腰を振るペースが上がる。つられて、ソニックもスピードを上げた。 加速度的に絶頂の波が押し寄せてくる。 「んあ、イク!ご主人様、わたしもうイっちゃうううう!」 「うっひょ〜!オレももう、イっちまうぜ〜!!」 「あっはあ、夕ちゃん、お母さんもイっちゃうわ!一緒にイかせてもらいましょうね!」 「うおおお、出るぜえええ〜!」 ドリーパの絶叫とともに、白濁液が発射される。 「あは、熱い!ご主人様の熱いのが、わたしの中にビュクビュク出てる〜!」 放たれた精を全て受け止めると、ソニックはソファーに突っ伏して気絶した。 亜樹も、ビクビクと体を震わせて放心している。 ドリーパはペ○スを引き抜くと、乱暴にソニックの頭を撫でた。 「さ〜て、完全に肉奴隷になるまでの間、オマエにゃかく乱役になってもらうぜ。しっかりと働けよ、ケケケケケ!」 夕方の住宅街に、明るい声が響く。 「やだなあ、咲夜さん。わたしはこの通り、元気ですってば!」 足取りも軽く歩きながら、夕は携帯電話の向こうの咲夜に笑いかけてみせる。 先日のホテルの事件で夕の態度がおかしかったことを心配した咲夜が、電話してきたのだ。 『でも、あなたひどく怯えていたみたいだったけど?』 「え〜!?そうだったかな。でも、覚えてないくらいだし。大したことじゃなかったんですよ、きっと」 『そうかしら・・・?』 咲夜は腑に落ちない様子だったが、夕がいつもと変わらない元気さを見せるので、安心したようだった。 『ならいいけど。ディスタリオンには、充分注意してね』 「は〜い、了解!」 電話を切ると、夕は含み笑いをする。 (変な咲夜さん。何がそんなに心配なんだろ?わたし今、とっても充実してるのに) 最近ようやく涼しくなってきて、吹き抜ける風が心地いい。 体調も絶好調で、今日は部活で自己新記録も出せたのだ。 「うーん、でもディスタリオンが鳴りを潜めてるのは確かに気になるなあ。咲夜さんが言ったとおり、注意しなくちゃね」 自宅が見えてくる。 夕は思わず小走りになった。 (あれ?わたし、なんでこんなにウキウキしてるんだろ?何かあったっけ・・・) 胸が躍ることを不思議に思いながら、夕は家に入る。 「たっだいま〜」 「おかえりなさい」 裸エプロン姿の亜樹が出迎える。 「夕ちゃん、ご主人様がお待ちかねよ。早くあいさつしてらっしゃい」 「あ、は〜い!」 (そうか、今日はご主人様が来る日だったんだ!) 居間に駆け込むと、ドリーパがビール片手に枝豆をグチャグチャとむさぼっていた。 「ドリーパ様・・・雌豚ソニック、ただいま帰りました!」 夕はドリーパにむかって、元気よく挨拶をする。 目の前にいるドリーパや、自分の言ったことへの疑問など微塵にも感じない。 「おお、おかえり〜!」 ドリーパはビールを置くと手招きをする。 夕はにっこりと微笑んでドリーパに近付き、ペ○スを引きずり出すとしゃぶりついた。 「んちゅ。チュ、チュパ、くちゅ、んんん〜」 先端部を舌で弾き、唇で二、三回吸いついた後、口に含んで舐めまわす。 みるみるうちに肉棒が勃起した。 「あは、すご〜い。ドリーパ様のチ○ポ、もうこんなに張りつめちゃってる」 「トレーニングは、ちゃんとやってるか?」 ドリーパが訊くと、夕は立ち上がってスカートをめくる。 ヴィイイイイイイッ・・・ 下着を着けていない夕の股間に、太目のバイブが深々と突き刺さってうねっていた。 「お、もうそんなサイズもOKなのか」 「はい。もうこのぶち込まれる感覚にも慣れてきました」 そう言って、夕は上目遣いでドリーパを見る。 「でも、先生はバイブよりも本物のチ○ポを使ったほうが効果があるって・・・」 「よしよし、オレのでよかったら好きなだけ使っていいぜ〜」 屹立したペ○スを指し示してドリーパは言う。 夕はバイブを引き抜くと、ソファーに腰掛けたドリーパの上に乗っかって腰を落とした。 「あっ・・・あはあああっ!」 蕩けた顔をしながら、夕は腰をくねらせて肉棒を出し入れする。 愛液の飛び散るいやらしい音が響きわたった。 「終わったら、ご飯にしましょうね。その後は三人でお風呂に入りましょう」 台所で夕食の準備をしながら、亜樹が鼻歌交じりに声をかける。 歪んだ団欒は、その晩遅くまで続けられるのだった。 「・・・やっぱり、どこかおかしいわ」 携帯電話を手の中で遊ばせながら、咲夜はボソリとつぶやく。 あの日、夕は間違いなく動揺していた。 何かを言いたくても、それを口に出せないほどにまで追い込まれていたはずなのに。 なのに、今日の夕は拍子抜けするほど快活だった。あれは演技などではない。 そのちぐはぐさが、不気味に思えた。 「―――気は進まないけど、みんなの周囲を探ったほうがよさそうね」 幾分表情を硬くして、咲夜は顔を上げた。
|