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レトロガメ 相対性ノスタルジィ 作者:鳥辺野 九
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速攻型ツインテール 予告編

 月面都市、つくよみ市のリニアモノレール駅前にあるゲームセンター「レトロゲームミュージアム」はいつもたくさんのゲーマー達で賑わっている。

 しかし今夜は、少しだけ熱の入り方が違っていた。



「しっかしどうして宇宙船パイロットを目指すのかなー」

 ミナミナ・デ・シルヴァ・ミヤジがコーラの瓶をあおって言った。喉をコクコクっと動かして、吐息にも似た音を漏らして口を拭う。

「あの子、頭の回転がすごく速いから、絶対オペレータの方が向いてると思うけど。勿体無いな」

 ルピンデル・カワサキは湯気を立てるコーヒーカップに恐る恐る口を近付け、ピクッと眉をしかめてフウフウとカップにさざ波を立てた。どうにも熱いものは苦手だ。

「やっぱり父親の影響かしらねえ?」

 ニッコリと微笑むミナミナ。その魅力的な笑顔に通りすがりの一般客も思わず足を止める。

「母親の影響でメイド喫茶で働くなんて言い出さなくて良かったわ、ほんと」

 ルピンデルのコーヒーはなかなか冷めなかった。まだ飲めない。

『さあさあお集まりの紳士淑女、通りすがりのお客様! 今宵、一人のチャレンジャーが現れました!』

 モヒカンヘッドに無精髭という蝶ネクタイが絶望的に似合わないスタイルのマサムネ・ガードナーがマイクパフォーマンスを始めた。

『最年少レトロゲーマーの会会員の座を賭けて、チャレンジャーが挑むのは宇宙の意思!』

 大型スクリーンに映し出されているゲームは「スターフォース」。オーソドックスシューティングの元祖とも言えるレトロゲームだ。

『さあ、チャレンジャーよ! 2ミニッツチャレンジ、準備が出来たら筐体に座ってくれ』

 一人の少女が指をパキポキと鳴らしてゲーム筐体に向かった。観客達が歓声で彼女を迎える。

「で、ご両親はどこよ?」

「仕事だって。一人は火星。一人はメイド喫茶」

「なんだそれー」

 少女は首をグルンと回した。くすんだブロンドの長いツインテールが月の低重力にフワリと踊る。

 黒縁眼鏡をくいと直して、少女は大声で名乗りを上げた。

「神原ブリギッテ、13歳! スターフォース、行きまーすッ!」



 レトロガメ stage 2

 第二部 「速攻型ツインテール」 近日更新
『レトロガメ』第一部終了しました。

読んでくださった方、どうもありがとうございます。

感想、評価、ぜひともよろしくお願いします。

第二部「速攻型ツインテール」不定期更新にはなりますが、細々と続けて行きますので、もしも気に入っていただけたら、ブックマーク、お気に入り設定、こちらもぜひ。活動報告で告知しますので、もう、ぜひ、よろしくお願いします。もう、お願い。
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