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神奈川県にある『生徒が主役』の学習塾です。
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湘南ゼミナール問題について…全国学習塾協会の「自主基準」と「実施細則」の制定を主監された元常務理事の関先生からご意見をいただきました。

2015.07.13 11:39|湘南ゼミナール問題
問題の本質は? ルールの主旨を見失わないように
平成27年7月13日
   関教育学舎 塾長 関 志郎                             
社団法人全国学習塾協会元 常任理事・総務委員長
元 自主基準・同細則 主監                               

私は社団法人(現 公益社団法人)全国学習塾協会におきまして、「学習塾業界における事業活動の適正化に関する自主基準」(以下、「自主基準」という)、「自主基準実施細則」(以下、「実施細則」という)の制定、改訂を主監いたしました。そのため、本サイトにおいてステップさん(以下、「ステップ」という)が指摘する湘南ゼミナールさん(以下、「湘ゼミ」という)の広告宣伝活動等に関する問題点と裁判の経緯につきまして大きな関心を寄せてまいりました。ここに、「自主基準」「実施細則」の制定時のいきさつ等も踏まえて、私の意見を述べさせていただきます。

学習塾にとって重要な指標の一つである合格実績の広告宣伝は、その計上・表現に関する公正妥当なルールが徹底されないと、消費者に適正な情報が正確に伝わらず、消費者の利益に反することは言うまでもありません。と同時に、今回の湘ゼミのような手法を採られると、業界内のフェアな競争環境が損なわれ、きちんとルールを守っている同業者は不利な状況に陥って死活問題になりかねません。そうなっては斯界の健全な発展が阻害されると危惧して制定した「自主基準」「実施細則」でありましたが、その存在にも関わらずまさにそうした事態が生じたことは誠に遺憾であります。

さて、昨春の広告宣伝に見られる湘南ゼミナールさんの表現、表記には、「自主基準」「実施細則」に抵触する不明な点が、或いは一消費者としてみた場合、誤解・錯誤を生じさせかねない表現が多々含まれております。
まず、合格実績に係る合格者数のカウントの仕方に関しては、明らかに「実施細則」第2条第2項六号②アに抵触しています。この規定の「但し、受験直前に…受講時間数が50時間を超える…」の部分は、制定時に、私立中学校の受験生等が駆け込みで冬期講習或いは直前講習を受講するケース等を想定したもので、同一塾の生徒が別会場で受ける特別講習等での受講時間を規定したものではありません。全国の説明会(後述)の際にもこの箇所に質問があり、「受験直前の特別講習等を当該学習塾の生徒以外の生徒が受けた場合のみ算定できるもので、自塾のトップクラス生を集めて特別講習したり、自塾以外の生徒を講習料無料で招待する等しても合格者には含まれません。」と明確に回答しておりました。
制定後、全国で学習塾協会主催の「訪販法改定と自主基準」の説明会が開催されました。全て私が講師を務め、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡等で講演し、周知徹底を図ったものでした。その後も、「自主基準」「実施細則」に関しては、その改訂時や関連法令の改正時等に協会ニュース等を通じて会員への解釈説明、実務指導等が繰り返し行われています。
※改定訪販法は、その後「特定商取引に関する法律」と改称されました。(学習塾協会では、一年に一度開かれる「塾の日記念式典」において、「自主基準」を遵守している会員を年度毎に表彰していますが、湘ゼミもかつては受賞していました。)
「自主基準」第9条3項にも抵触します。「…生徒及び保護者に誤認をされるおそれのある紛らわしい広告はしないこととします。」という規定です。合格者数の重複計上、媒体毎に異なる、或いは時間経過に伴い変化する合格実績というのは、意図的であるにせよないにせよ、生徒及び保護者を誤誘引する結果を招くものとして、厳に慎まなくてはなりません。重複計上は注釈の有無にかかわらず認められません。

「自主基準」「実施細則」の制改訂に直接関わった者としては、他にも指摘すべき問題点は少なくありませんが、この場をお借りするのは以上といたします。

今回の事案の発端は、湘ゼミの広告が「保護者に錯誤を」与えたか否かの一点にあると思います。その問題点を適示するステップの行為が名誉毀損に当たるという湘ゼミの訴訟は、根本にある湘ゼミの広告が不適当であるという問題点を糊塗するというか論点をすり替える対処であり、これには強い違和感を覚えます。その点、先月、ステップが湘ゼミに対して起こした「不正競争防止法違反」「不当訴訟」の提訴は、まさに正鵠を射たものと言えます。肝心の生徒・保護者に対する広告の正当性をしっかりと議論していただきたいものと考えております。
以上です。

公益社団法人 全国学習塾協会HP
学習塾業界における事業活動の適正化に関する自主基準[PDF]自主基準実施細則[PDF]


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ジャンル:学校・教育